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Last-modified: 2012-09-04 (火) 20:22:18

321 :策謀の休日:2010/09/06(月) 22:29:39 ID:u/iW+Rqh

今回は都合によりオルエン視点でお送りします

夜の紋章町、路地裏の闇夜の中で会話をする者達がいた

「うむ、ではかねてからの手筈通りに頼む」
「わかりました。では早速ターゲットに行動を仕掛けます」
「ああ、代わりは既に用意した。ではまた明日に」

翌日、天候は快晴。世間一般では休日の日曜日。オルエンは自室のベッドで目を覚ます

ふぁー…昨日はイリオスの家に弁当を置いただけで終わったわね
せっかくだから遊びたかったのだけれど…まあ忙しいみたいだし仕方がないわね
ベッドから起き上がった私は既に用意されていた部屋着に着替える
朝、私が起きる前にメイドの人が用意してもらった服だ
着替えたらすぐに食堂へ向かう。きっと兄上がいるはずだ

食堂に入ると予想通り兄上がいた。ゆっくりと朝食を食べていた
「おはようオルエン。今日は早いね」
む…確かに普段はフレッドに起こされるまで寝てるとはいえひどい
「普通の方は休日はもっと遅くに起きます。兄上が早過ぎるだけです」
「ははは、冗談だよ。今日はどこかに行くのかな?」
「いえ、今日は家でのんびりしてようかと思ってます」
「そうか。ならたまには…」
兄上が何かを言いかけた時にフレッドがどこか怒ったような表情で食堂に来た
「お食事中失礼します。お嬢様に来客です」
「あら…こんな朝に来るなんて珍しいですね。どなたかしら?」
「…その…あの例の平民です」
「イリオスが?わかりました。すぐに行きます」
イリオスが家に来るなんて珍しい。きっと何かあるのだろう

屋敷から出て玄関口の門に行くとタキシードを着たイリオスがいた
「おはよう、オルエン。突然訪ねてすまないね」
「おはようイリオス。今日はどうしたの?」
「いや、昨日の弁当箱を返しに来たんだ。あとそのお礼に…」
そう言ってイリオスは丁寧に包まれた弁当箱と2枚のチケットを出した
「たまたまオペラのチケットが手に入ってね。昼からだけど行かないか?」
オペラ…最近職場でも話題のあの劇場だ。今は何をやってるのかしら?
「ありがとう!行くわ。待ってて、着替えてくる」
急いで屋敷に戻ると私は自室に戻り外出用のドレスに着替える
あのオペラならそれなりに正装する必要がある。イリオスはタキシードね
着替え終わったら食堂にいる兄上に出かけることを伝える
どこか残念そうに見えたのは気のせいでしょうか?
急いで玄関口に行くとイリオスが笑顔で待っていた
「お待たせ。じゃあ行きましょう!」

322 :策謀の休日:2010/09/06(月) 22:32:20 ID:u/iW+Rqh

まだ人が疎らな商店街、その路地裏で誰かが電話をしていた
「報告します。ターゲットは例のIと行動した模様です」
電話越しから通話相手が怒りのあまり何かを殴る音が聞こえてくる
「は、ターゲットとIはオペラを見に行くようです。ええ、はい」
通話相手はそう聞くとすぐに行動を始めようとしていた
「了解です。引き続きこちらも行動します」
何かが…紋章町で起こり始めていた

どうも今日のイリオスはおかしい。何と言うか普段よりも気障だ
もちろん貴族になりたがっているのだから気持ちはわかる
けどいくらなんでもあれはどうかと思う
「どうした?」
「いや、何でもない」
今だってイリオスがレンタルしてきた車に乗っている
しかし高級リムジンなんてどこから借りてきたのかしら…

2人の乗ったリムジンの後方をぴたりとマークする車がいた
「ええ、ターゲットは無事Iとオペラ観賞に向かいました」
車には2人の男が乗っていた。1人は誰かと電話をしていた
「了解です。引き続き任務を続行します」

オペラの前にイリオスはあるお店に立ち寄った
「たしか、しっこくカレー好きだったよな?」
…そういえばここで旅行券を当てたりしたっけ
「うん、じゃあ行きましょうか」
イリオスがドアを開き私を先に通す。店内にはそこそこ人がいた
空いている席に座り、漆黒の騎士さんに注文を頼む

「こちらタンゴ。ターゲットはIとカレーを食べています」
店内の片隅で無線で連絡を取り合う少女がいた
「は、了解です。Iの料理にハバネロを混ぜときます」
少女は料理を運ぶ漆黒の騎士の横をすれ違い、目にも留まらぬ早さでハバネロを混ぜる
さすがの漆黒も気がつかず、そのままイリオスとオルエンに運ばれた

「いただきます」
「いただきます」
イリオスとカレーを食べはじめるとイリオスはおいしいか?と聞いてきた
素直にうん、と答えるとイリオスは嬉しそうに微笑んでいた

「タンゴよりロメオへ。Iは気にせず食べています…失敗です」
会計を済ませた少女は無線でそう話しながら店を去っていった

「アルファワンからシーエアラへ。例の組織からの妨害がありました」
先程の少女がいた反対側の方に1人の男が無線で会話している
「は、了解です。アルファツーに連絡しておきます」

会計を済ませたイリオスとオルエンにはその会話は聞こえていなかった…

続く