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Last-modified: 2012-09-04 (火) 20:30:33

367 :幼女の旗の下に:2010/09/10(金) 02:07:29 ID:8C1y7Ubf

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4 家庭訪問する     抜き打ちで牙の屋敷を訪ねてみよう。なにか判るかも知れん

エフラム 「よし、明日抜き打ちで家庭訪問するぞ!」
ターナ  「なんか学校の先生みたいね…」
エフラム 「だが家庭の事情に一歩踏み込むにはこれがよかろう。明日は一緒に来てくれ」
ターナ  「りょーかいっ!」
     (…ってポンと答えちゃったけど…それってヤ○ザの屋敷に乗り込むって事よね…
      …まぁ殴りこむわけでもないし穏当に行くとは思うけど…)
こうして2人は翌日に黒い牙の本拠を訪ねることとした。

寒風吹きすさぶトラキア駅前にワープアウトしたリーフはふと見覚えのある後姿に目を留めた。
駆け寄って声をかける。
リーフ  「フィン!?」
フィン  「リーフ様っ!?どうしてこんなところに…」
リーフ  「そんな事よりキュアンさんは一緒じゃないの?」
フィン  「はい…あの方は護衛など不要と申されまして我らを出し抜いて行かれまして…
      やむなく後の汽車で追ってまいりました」
リーフ  「よりによってこの時期に…追うよ!トラバントの自宅方面ならこの道だよ!」
2人は連れ立って裏路地へと入っていく。
進むにつれて…両脇の塀や建物の壁に傷跡が増えていく…
フィン  「これは…見たところ槍や刀傷…と見受けられます…」
リーフ  「なにか…あったね…」
その風景は相当な激戦がここで行われた事を予感させる。
並みの者では石作りの建物にこれほどの後を残す事は無いだろう。

やがて2人は路上に倒れ付すチャドとキャスの姿を見出した…
周囲には人影は無い…
リーフ  「チャド?…キャス!」
揺さぶっても返事が無い…
フィン  「リーフ様…この2人はバルキリーで蘇生させねばなりますまい…
      私が一人抱えますゆえリーフ様はもう一人を!」
リーフ  「うん…そうだね…2人ともすまない…僕が増援を向けていれば…」
痛恨の思いが胸を駆け巡る…悔いてみても時は戻せないが…
そうと割り切れるものではなかった。
リーフ  (仇は討つよ…)

キュアンの安否も気にはなるが…周囲には人の気配は感じられない。
今は早く2人を助ける事だ。
フィンにしてみてもその思いは一緒だ。
主君が心配でないはずはないが子供を助けずにおいて探しに行くわけにもいかない。
キュアンなら自力で切り抜けているはず…そう願わずにはいられなかった。

フィン  (槍騎士ノヴァのご加護がありますように)
小さく口の中で祈りの言葉を唱えるとフィンはチャドを抱え上げた…

368 :幼女の旗の下に:2010/09/10(金) 02:08:10 ID:8C1y7Ubf

238

ゼフィール「ぬううううううううんっ!!!」
牙の下っ端「うぎゃああーーーっ!!!」
巨大な剣が竜巻の如き暴風を巻き起こす。
次々と人間が宙に舞う姿は何度見ても慣れることは無い。
警官A  「はぁ…」
警官B  「すげえ…」
ゲイル  「感心してる暇はないぞ。吹っ飛ばされた奴らが落ちてきた所を逮捕しろ」
警官A  「はっ!」

駆け出した警官たちが次々と犯人たちの身柄を確保していく。
もっとも全ての者が瀕死であり抵抗の心配もない。むしろ手当てをしてやらねばならないくらいだ。
ツァイス 「エリンシアさんの慈悲を借りてきた甲斐がありましたね。
      署長が出るとバルキリー代がかさんでしかたありませんし」
ゲイル  「警察も予算の枠でしか動けないからな…署長。これで騒乱は全て鎮圧しました」
ゼフィール「よし…ではこのまま非常線を張り続けろ。まだギースが残っておる。
      牙の幹部も見つかってはおらん。必ず見つけ出せ…紋章町を犯罪から解放せねばならん!」
ゲイル  「はっ!」
ツァイス (牙か…ヤクザには違いないが一昔前はカタギに迷惑かけるような組織じゃなかったんだがなぁ…)
ゼフィール「むっ!」
一瞬…その鋭い眼光が側のビルを睨みすえた。
ツァイス 「署長?」
ゼフィール「いや…なんでもない…ワシは現地対策本部に戻る。ここの指揮は任せたぞ」

そのビルの屋上では…とっさに姿勢を低くしたヒースの姿があった。
背筋を冷や汗が伝う…
ヒース  「……っ…生きた心地がしませんね…」
ヴァイダ 「だから言っただろ…油断するなって…」
ヒース  「はぁ……っ……骨身にしみましたよ…どうしますこれから?」
ヴァイダ 「今は警察無線の傍受に専念しな。今のベルン署は優秀だよ。必ずどっかでギースの尻尾を掴む…」

369 :幼女の旗の下に:2010/09/10(金) 02:09:03 ID:8C1y7Ubf

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牙の屋敷は古風な門構えをしていた。
正門にはグラサンの若い衆が立って周囲に威圧的な視線を放っている。
エフラム 「よし行くぞ」
ターナ  「あはは…知り合いの家って言っても…ちょっと緊張しちゃうわね…」
エフラム 「同志の家を同志が訪問するだけだ。何も気にする事は無い」
ターナ  「いや…まぁ…そうだけど…」
まったく怯む色も見せずエフラムはいかにも裏世界の住人っぽい門番に声をかけた。
エフラム 「失礼だがここは牙の館で間違いないか?」
牙の下っ端「ああん? なんじゃいおどれは」
エフラム 「俺はエフラム。ロイド、ライナス、ジャファルの友人だ。3人に会いに来たのだが…」
牙の下っ端「若頭の? し…失礼しやしたっどうぞお上がりになっておくんなさい」
エフラム 「ああ…邪魔させてもらう」
ターナ  (さすがというか…肝が据わってるわね…それともここがヤクザの屋敷なんて意識してないのかしら…
      まぁ…竜やら魔物やらが闊歩する紋章町じゃ今更ヤクザなんてなんてことないけど…
      それでも普通の人にとっては怖いものだけどね…)
2人が通されたのは応接室だ。
畳敷きの和風の間取りに竜を描いた水墨画が飾られている。
なかなか風流だ。
エフラム 「ふむ…なかなかよいな…ワビサビを感じる…」
ターナ  「いや…それはいいんだけど…もう少し緊張してもいいんじゃない?
      3人の悩み事がなにかもわからないんだし…」
エフラム 「平常心は大事だぞ?」
ターナ  「そりゃそう言われると何も言えないけど…」
エフラム 「だが…そうだな。こうして電撃訪問したんだ。何か掴まないとな。
      そろそろさっきの男が3人を呼んで来るだろう。だからお前が話をしてくれ」
ターナ  「へ?」
エフラム 「俺はその間に牙の屋敷を調べてみる。何かわかるかもしれんからな」
ターナ  「ちょ…ちょっと!?ここはヤクザの屋敷なのよ!?」
エフラム 「そうだが…それがどうした? 前に直接話を聞いても話しそうに無いと言ったのはターナだぞ?
      だから調べるのだ。驚く事のほどでもあるまい」
ターナ  「…………どこまで豪胆なのよ……」
エフラム 「よし、それじゃ行って来る。奴らが来たら俺はトイレに行ってるとでも言っておいてくれ」

なにか諦めたような顔のターナを置いてエフラムは襖を開けて廊下に出た。
調べるとは言ったが考えてみれば初めてくる屋敷だ。どこになにがあるかなんてよくわからない。
エフラム 「む…まぁいい…どこから手をつけるか…」

続く

1 庭に見える蔵を調べる   アレはなんだ? 入ってみるか
2 二階を調べる       廊下の奥に階段があるな…上に行ってみるか
3 地下に降りる       地下への階段もある…降りてみるか?
4 裏庭に回る        こういう時は裏側も調べるものだ
5 右手に見える部屋を調べる なんだ…雷と扉に書かれている…誰の部屋だろうな?
6 左手に見える部屋を調べる およそ飾り気のない扉だ…ここも個室のようだが…
7 本当にトイレに行く    先にトイレを済ませておくか