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Last-modified: 2012-09-04 (火) 20:38:30

416 :お礼はキス? 3章 1/2:2010/09/14(火) 21:51:26 ID:qvBePxv5

急降下しながら手始めに1番近い斧を持った男の顔を蹴り飛ばす
「ハッハッハ…ぶげぇ!?」
「おう、セリノスの森には行かせねえぜ」
「き、貴様!我々の誰だか知っての所業か!?我々はあのベルクローゼンだぞ!」
槍を持ち、鎧に身を包んだ男が高圧的な態度で尋ねる
「あいにく女子高で毎回やられる連中は詳しくなくてね」
「き、貴様…死にたいようだな」
別の男が剣を抜き、大きな盾を構える
「はっ、鴉王を舐めるなよ!」
「馬鹿め!もうすぐ日が暮れるぞ!鳥風情が生意気な!」
「貴様らを倒すのに時間はいらねえさ。くらえ滑翔!」
ネサラは化身した嘴でレイドリックの首を狙い突っ込む
しかしレイドリックは余裕の笑みを浮かべていた
すると隣にいたブラムセルが大きな盾を構え、突撃を弾いた
「馬鹿め!ゲブとは違うのだよ!ゲブとは!」
「大盾か…なら普通に首を!」
「無駄だ!我がロプトの剣は貴様の攻撃など効かぬわ!」
ネサラの嘴も蹴りもレイドリックのロプトの剣で弱体化されてしまう
滑翔もブラムセルに無効化され、なかなか倒せずに焦るネサラ

夜になると俺達鳥翼族は目が見えなくなる…鳥目ってやつだ
そう考えて必死に倒そうとしていたネサラ。さらに持久戦は不利である
こちらの攻撃は効かず、向こうの攻撃は当たると少しずつダメージが溜まるからだ

しかし、非情にも日は沈み、近くに光源のない森近辺は闇に包まれる
「ははは、残念だったな鳥!日は沈んだぞ!」
「くそっ…まだだ…まだ終わったわけじゃねえ!」
「強がるな…だがそれがいつまで続くかな?」
余裕を見せるレイドリック、だが俺は諦めねえ!
鴉の王は千載一遇のチャンスを狙い飛行をやめないのであった…

その頃、セリノスの森にいたリアーネはリュシオンに叱られていた
「まったく…キスなんてどこで覚えてきたんだ」
リュシオンはリアーネにそういう知識を教えていなかった
森で眠りについていたリアーネの精神年齢は見た目よりも幼い
そういう知識は現代語を覚え、しかるべきタイミングで教えるつもりだった
だが、リアーネはキスを知り、あまつさえネサラにしていたのだ
「だって…私ネサラのことが好きだもん」
「だがなぁ…お前にはまだ早い」
「兄様の馬鹿!もう知らない!」
「あ、おい!待て!もう日が暮れて外は危ないぞ!」
怒ったリアーネは闇に包まれた森を走っていくのだった…

417 :お礼はキス? 3章 2/2:2010/09/14(火) 21:54:01 ID:qvBePxv5

兄様…私がキスしたぐらいでそこまで怒らなくたっていいのに…
リアーネは歩き慣れた森の道を1人ぽつんと歩いていた
すでに日は沈んだとはいえ、歩き慣れた道なら見えなくても問題ない
むしろ今の私の顔を見られる心配がないから安心である
リアーネは泣きながら歩いていた。ミカヤさんから教えてもらったことを思い出しながら

「キスっていうのはね。相手のことが好きだからするのよ
もちろん相手が嫌ならしちゃいけないわ。互いに好きだからするの」
「ミカヤさんは誰かとキスしたことあるの?」
「私?私は内緒」
「どうして?」
「キスをしたってことは相手と結婚したってことだから」
「そうなんだ」
それは結婚式の時にする誓いのキスだよ…とロイがいたらつっこんでいただろう
なんだかんだでミカヤも結構うぶで純粋なのである

そんなことを思い出していると森のどこかから何かの動く音が聞こえた
「DARE?」
迂闊なリアーネはつい足音の主に話しかけてしまったのであった…

「ぐっ!あぶねえ…」
「なかなか粘りますな。視界がないのに避けるとは」
ネサラはブラムセルとレイドリックの攻撃を躱し続けていた。音と今までの経験を頼りに…
「けっ!お前らの攻撃なんて誰が当たるもんか!」
「強がりを…」
「レイドリック!待たせたな!」
レイドリックと話していると先程気絶させた男の声が聞こえてきた
「はっ、ようやくか。遅かったじゃないか」
「すまん、すまん。ちょっと出るのに手間取ってな」
出る…?こいつ…さっきまで気絶していたはずじゃ…
「だが、そのかわりきちんと連れて来たぞ」
「DAREKA!TASUKETE!」
ネサラの耳に聞き覚えのある声が届く。その声は…
「リアーネ!?何でここにいるんだ!?」
「ホッホッホ、この鷺の娘は森にいたからの。美しくてつい連れて来てしまった」
「貴様!そんなことをしてただで済むと思うのか!」
「はっ、それはこちらの台詞だぜ。この娘がどうなってもいいのか?」
「IYA!HANASITE!」
「くそっ…どうすればいい?」
「なに、貴様が抵抗をやめ、降りてくればいい」
「ただしそのあと貴様のことは散々痛め付けてからから殺すがな」
「…ちっ…約束は守れよ」
そういって俺はゆっくりと地上に降りた。その直後鈍い痛みが腹を襲う
「散々邪魔しやがって!くらえ!」
「へへ、鳥風情が生意気なんだよ!」
「YAMETE!NESARAWOいじめ…いで!」
リアーネの悲痛な叫びはネサラを暴行する音に掻き消されたのだった…

続く…