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Last-modified: 2012-09-03 (月) 19:01:32

73 :アイネの日記:2010/08/22(日) 01:04:33 ID:vdDNFW51

○月×日

クリス(男)とクリス(女)……
闇の中に沈んでいた私を照らしてくれた光。
昔の偉い人が人間は常に希望を持って生きるべきだと言っていました。
2人の人を愛してしまう事は罪の深い事でしょうか?
私はそうは思いません。何故なら…2人は私にとって分かちがたい2人なのです。
2人は魂も体も分かち合って生まれてきました。分けて考える事なんて私にはできません。

2人はいつも訓練をしています。
将来はベルン署か…それとも軍人にでもなるつもりなのかはわかりません。
でも2人がそうするなら私はついていくだけです。
日陰者の私は学校には行ってません。
だからいつも校門の前で待ちます。

クリス(女)「今日も終わったわね。帰ってさっそく訓練をしましょ」
クリス(男)「そうだな。今日こそ姉さんとの勝率5対5を破ってやる!」

2人が出てきました。早速声をかけて……

マルス「あ…2人とも今帰り?」
クリス(女)「あ、マルス様!ええ、これから帰って訓練でもしようかと…マルス様もいかがですか?」
マルス「全力で遠慮しとくよ。それより頼みたい事があるんだ。ちょっといいかな?」
クリス(男)「ええ、構いませんよ。マルス様の頼みならなんでも成し遂げてみせます!」

カタリナ「あ…待ってっ!?」

……3人は私に気付かず行ってしまいました……
マルス…高校でクリス達が出会ったクラスメイト…ただそれだけの相手…他人…のはず…なのに…
2人は彼をマルス様と呼んで…熱心に尽くしています…どうして…どうして…私を置いていかないで…

調べてみると2人だけじゃありません…ただの高校生なのに…他にも赤と緑の騎士とか…アーマーとか…
色んな人が彼に忠誠を尽くしているみたい…どうして…

わかりません…ですが…この瞬間私の心を満たしたものは…どうしようもないほどの嫉妬でした。
私のクリスを奪わないで…

74 :アイネの日記:2010/08/22(日) 01:05:26 ID:vdDNFW51

○月△日

クリス達が私のアパートを尋ねてくれました。
こんなに嬉しい事はありません。
クリス(女)「ごめんね急に訪ねちゃって」
カタリナ「いえ…私は嬉しいですから…」

クリス(女)の優しさに私は救われています…穏やかな微笑み…その全てが私の心を満たしてくれます。
私は彼女を愛しています…

クリス(男)「今日は時間あるか?」
カタリナ「ええ、勿論…」
クリス(男)の強さに私は憧れています…自信に満ちた表情…その全てが私の心を満たしてくれます。
私は彼を愛しています…

だから…2人を奪おうとする人を憎まずにいられません…

クリス(女)「どうしたの?何か考え事?」
カタリナ「い…いえ!?それより用事は…」
クリス(男)「ああ、ちょっと一緒に来て欲しいところがあるんだ」
も…もしかして…3人で…デートでしょうか?
天にも昇りかけた私の気持ちはすぐに沈む事になります…
クリス(男)「マルス様の家なんだが…」
カタリナ「…そう…ですか。何の用事でしょう?」
クリス(女)「それは…」
クリス(男)「ね…姉さん!」
クリス(女)「わわわ…!?ごめん…くわしくは向こうでね」
カタリナ「……わかりました…ちょっと準備するので待っててくださいね」
…私も元暗殺者です…表情を隠す事には長けてます…
昨日…マルスさんが2人になにか用事を頼んでいたので…その手伝いかなにかでしょう…
2人は昨日も今日もマルスさんのために時間を割いて働いて…そこまで2人の心を捉えてしまったその人が…
だから私は…支度と称して魔法書を隠し持ちました…二人が知らないうちに…マルスさんを…これでも暗殺者ですので。

陰惨な決意を胸に私はクリス達と兄弟家の門をくぐります。

そこには…

75 :アイネの日記:2010/08/22(日) 01:06:25 ID:vdDNFW51

マルス「ようこそ、紋章町へ」

色とりどりの料理と飾りつけ…
マルスさんの兄弟たち…だけじゃありません。
クライネ…ローロー…エレミヤ様…!?

ガーネフ「…まったく…ワシにこんな席は似合わんわ」
マルス「僕だってそう思いますよ。
    ですが今回の新キャラはほぼ敵キャラなんだから知ってる人に同席して貰ったほうがいいと思いましてね。
    既存の悪役では貴方が一番彼らと親しいでしょう?」
ガーネフ「フン、今日だけは休戦してやるわ」
エレミヤ「まぁガーネフ様の気紛れなんて珍しい事」
カタリナ「クリス…これは?」
クリス(男)「俺達新紋章組の歓迎会を開いて下さるそうだ」
クリス(女)「驚かそうと思ってね。秘密にしてごめんなさい」
クリス(男)「まったく姉さんは隠し事がヘタだ。俺も人の事は言えないけどな」
クライネ「ふん、別に頼んでないけどね。よるな葉っぱ!汚らわしい!」
リーフ「あふあふもっと踏んでください…」
マルス「できればクリス達にも秘密にしたかったんだけどね。顔見知りの君らの方が他の皆を誘いやすいと思ってね」
エリンシア「さ、どうぞお席の方へ」
カタリナ「は…はい!?」
ローロー「ウキキ飯だ」
セリス「ローローさんは一杯いるから作りがいがあったよ」

マルス「ま…色々変な人も多い町だけど住んでれば楽しい事も多いよ。
    よろしくね」
カタリナ「は…はい」
少しだけ…少しだけ…ただの人であるこの人に多くの人が尽くすのが分かった気がします。
きっとクリスも…
私はそっと魔法書を手放しました。

ガーネフの台詞じゃないけど…今日は休戦です。
私はそっと胸の中の殺意とサヨナラしました。
でもクリス達は…私のですのでそこだけはご了承を…取っちゃ嫌ですよマルスさん?

終わり