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Last-modified: 2007-06-30 (土) 22:13:24

十五じゃないけど

 

セリス  「ロイ、ロイ!」
ロイ   「どうしたのセリス兄さ……うわぁっ、何その格好!?」
セリス  「どう、格好いいでしょ?」
ロイ   「特攻服……愚乱辺流(グランベル)ですか……」
セリス  「そう。ラナに頼んで作ってもらったんだ」
ロイ   「なんでまたそんなことを」
セリス  「うん、僕もね、ヘクトル兄さんみたいなたくましい男になりたいんだよ」
ロイ   「はあ。それで、何で特攻服……?」
セリス  「友達のデルムットに相談したら、
      『たくましい男ったらやっぱこれしかねーっスよ、全開バリバリマジシビィーッスよ』ってこれを」
ロイ   (いろんな意味で相談する相手を間違ってるんじゃないかな……)
セリス  「ヘクトル兄さんの部屋にも、これと同じような格好したキャラの漫画がたくさんあったし……」
ロイ   (と言うと、BADBOYSやら特攻の拓やら……ヘクトル兄さんも結構ヤンキー漫画好きだもんなあ……)
セリス  「これで僕も少しは兄さん達に近づけたかな?」
ロイ   「むしろ遠ざかってる気がするけど……
      大体、セリス兄さんにはその特攻服ぶかぶかで、格好いいってよりはむしろ可愛いし」
セリス  「うん、でも僕は強くなる。皆を守るために、兄さんたちみたいに強くなるんだ……」
ロイ   (その格好で決められてもなあ……)
セリス  「そういう訳だから、ロイ、僕が一人前の男になれるように協力してほしいんだ」
ロイ   「……まあ、別にいいけどね、暇だし……」

 

ロイ   「で、町に出てきたけど……その格好で歩くの、恥ずかしくない?」
セリス  「え、どうして?」
ロイ   「本気で聞いてるんだもんな……まあいいや」
セリス  「うーん……」
ロイ   「……ところで、さっきから何を探してるの?」
セリス  「バイクだよ」
ロイ   「バイク?」
セリス  「うん。この特攻服の図案を出してくれたデルムットが、
      『やっぱ男なら盗んだバイクで走り出すべきッスよ、マジシビィーッスよ』って」
ロイ   「その人いつ時代の人なの……え、じゃあバイク盗むの?」
セリス  「ダメだよロイ、盗みはいけないことなんだよ?」
ロイ   「……じゃあどうやって『盗んだバイクで走り出す』の?」
セリス  「うん、だから『盗んだバイク』を誰かに貸してもらおうかと」
ロイ   「訳が分からない……」
セリス  「あ、あんなところにバイクが落ちてる!」
ロイ   「都合よすぎ! しかもキーが差し込まれたままだし……
      なんなんだこれは、ユンヌ神のご神託か、それとも『げぇっ、ヘクトル!』的なマークの罠か……」
セリス  「拾ったバイクなのが少し不満だけど、これで走り出せる……あっ!」
ロイ   「今度はどうしたの?」
セリス  「どうしようロイ……僕免許持ってないよ、バイク運転したらお回りさんに捕まっちゃう」
ロイ   「……」

 

リン   「拾ったバイクを手押しで交番に届けたんですってね、偉いわセリス」
セリス  「えーっと……」
ヘクトル 「へえ、相変わらずいい子ちゃんだなお前も。
       俺みてえにちっとは悪い遊びも覚えねえと、面白い大人にゃなれねえぜ?」
リン   「ちょっとヘクトル、セリスに何吹き込んでるのよ! この子は絶対あんたみたいにはならないわよ」
セリス  「そ、そんなあ、ひどいよリン姉さん!」
リン   「えっ、なんでわたしがひどいの!?」
ロイ   「……」
マルス  「なにこの訳ワカメな状況……」
リーフ  「何とか言ってくれ、ロイ!」
ロイ   「……僕にだって……突っ込みきれないことぐらい、ある……」