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Last-modified: 2009-12-11 (金) 18:14:15

ロイ  「エリウッド兄さーん......あれーいないなー」
セリス 「エリウッド兄さんならニニアンさんとお出かけだよ」
ロイ  「デートってこと?うひょーっ、珍しいね」
セリス 「相変わらず胃を酷使してるからね......見かねたニニアンさんがケアしてあげるってわけ。
     こんな時に、こっ、こいび......あぁぁぁぁぁ恥ずかしいぃぃぃ!」
ロイ  (重症だなぁ......)
セリス 「そ、そういう人がいたらやっぱり心も安らぐんだろうね」
マルス 「おやセリス、何を他人事のように」
セリス 「なななななななマルス兄さん!!」
マルス 「君も青いなぁ、いや、正確にはフリかな。まったく計算高い女は......じゃない、男か」
セリス 「そ、そんな!どういう意味!?」
ロイ  (......まぁいいや、ミカヤ姉さんかエリンシア姉さんにでも伝えておくかな......)

 

ロイ、場を離れる

 

セリス 「あっ、ロイ......」
マルス 「......怪しいな、ふふん」
セリス (歯が輝いた......また何か企んでる......)

 

ロイ   「あ、エリンシア姉さん」
エリンシア「まぁ、ロイちゃん。何か御用ですか?」
ロイ   「明日からテストなんだ、でもここじゃうるさくて集中できないだろうし......
      そう考えあぐねてたらリリーナが一緒に勉強しようって。だから今から出かけるね」
エリンシア「ふふ、構いませんよ。でも暗くならないうちに帰るのですよ」
ロイ   「はーい」
エリンシア(お友達の家に参るだけだというのにわざわざ私に申される......本当にいい子なんだから)

 

マルス  「やっぱりね」
セリス  「何が?別に大したことじゃないじゃない」
マルス  「何がって......セリスもかなり滑稽だな、いいかい?ロイは女の子の家に行くんだよ?」
セリス  「......えっ、だから、それがどういう......」
マルス  「全く、男女が一つ屋根の下で二人っきりだったらすることは一つしかないじゃないか
      ......君には分かりにくいかな、不純異性交遊」
セリス  「えぇっ!(ボッ)そ、そんな!だってロイはまず僕よりも年下なんだし......」
マルス  「年なんか関係ないさ、平安時代には初体験が12歳とかザラだし」
セリス  「......そんな、あぁ......言葉が出てこないよ......」
マルス  「ジェイガン情報によればリリーナは今、一人で留守番中らしいから、なおさらリリーナの貞操が危ない」
セリス  「だ、だから......な、ないんじゃないかなそんなこと......
      っていうかジェイガンさんどこからその情報を!!!!!!!!」

 

(遠くから)ロイ「行ってきまーす」

 

マルス  「そんなことを言ってる間にロイが行っちゃうよ!早く追いかけよう!!」
セリス  「なんでそんな乗り気なの!?」

 

マルス  「絶対気付かれないようにね」
セリス  「うう......帰りたい......」
マルス  「君も大人になる第一歩さ、がんばらないと駄目だよ」
セリス  「弟に学ぶのも変じゃないか......その、れ、れんあ......あぁぁぁぁぁ......」
マルス  「ふぅ......いいかいセリス。と、言いたいところだけど......今は見失っちゃまずい!!
      テロレレーローレー、盗聴器~」
セリス  (なんで武器が壊れた時の効果音なんだろう......)
マルス  「これを取り付ければ喘ぎ声も簡単に聞き取れるよ」
セリス  「いや、ちょっ、犯罪でしょ!」

 

マルス  「上手い具合になるかな......こんな時にヘクトル兄さんかエフラム兄さんがいたら間接攻撃武器にくっつけて......」
セリス  「......死ぬから死ぬから!!もう尾行の意味すらないよ!」
マルス  「分かってるよ、じゃあパッパッとつけてくるね」
セリス  「パッパッとって......」

 

数秒後

 

マルス  「よし、オッケーィ」
セリス  「えぇぇぇぇぇぇ、すごいなぁマルス兄さん」
マルス  「僕はこのエムブレムのおかげでシーフスキルを持っているのさ」
セリス  「誇らしげに翳さなくても」
マルス  「じゃあそこのカフェで盗聴しようか、はい、イヤホン」
セリス  「......本気なんだね」
マルス  「あ、駄目だこのカフェ......」
セリス  「どうしたの?」
マルス  「セリカがアルムのほっぺに食べかすがついてたから舐めてとってあげてる」
セリス  「あはは......相変わらずだね、確かに入りにくいかなぁ」
マルス  (アルムとセリカも十分ラブラブなんだけど......セリスは気付いてないのかなぁ......)

 

マルス  「じゃ、何にする?セリス」
セリス  「じゃこの王子様カレーで......ってなんで僕たちカレー屋に入ってるの?」
マルス  「ここの主人は彼女に逃げられたみたいで面白そうだから」
セリス  (悪魔だ......)
???  「ご注文はお決まりでしょうかー」
マルス  「えーっとハバネロカレーと王子様カレー」
セリス  「ってハーディンさん、先生やってるんじゃなかったの」
ハーディン「マルスじゃないか!ならサービスだ、お金は払わなくていいよ」
セリス  (流された......)
マルス  「悪いね」
ハーディン「いやいや、そんなことはない、気にしないでくれ」
マルス  「構わない、ところでハーディン」
ハーディン「ん?」
マルス  「“ニーナ”」
ハーディン「グァァァァァァァ!!......カレー屋を侵すとは見下げ果てたやつ。
      お前も地に落ちたものだな」
セリス  (ターバンが消えた!!)
マルス  「あーもうめんどくさい......」

 

ロイ   『こんにちはー』
リリーナ 『あらロイ、早かったのね』
ロイ   『なんだか背中に悪寒を感じてね......』
リリーナ 『?』
ロイ   『あっ、なんでもないなんでもない、それで数学なんだけど......』

 

マルス  「うーん、つまらない奴らだ、ちゃんと勉強してやがる」
セリス  (見事に返り討ちにあったハーディンさん大丈夫かなぁ......)
マルス  「何が“こんな公式習ったっけ”だよ......」
セリス  (こっちはこっちでカレー貪りながら愚痴言ってるし......)
マルス  「セリス、まだ二人の愛が育まれるにはもう少しかかるよ、期待に添えなくて、ごめん......」
セリス  「き、期待してなんかないよ!!それに妙に感傷的にならないでよ!」
マルス  「シッ......静かに」

 

ロイ   『えっ、じゃあこれはxが2だから......』
リリーナ 『ちょっと待って、そこに代入したら面倒よ』
ロイ   『なんで?こっちでもいいじゃん』
リリーナ 『だからこっちに入れたら......あっ』
ロイ   『ごっ、ごめん......』
リリーナ 『......』

 

セリス  「な、なになに?何で急に雰囲気が!?」
マルス  「決まってるだろう?二人の手が当たっちゃったのさ、まったく初々しいね」
セリス  (声だけでここまで想像できるものなのかな......)
マルス  「まったく一緒にやるなら保健の勉強にしてくれ......」

 

―3時間後

 
 

セリス  「マルス兄さん、僕が寝ないように激辛カレーをちらつかせるのやめて、寝ないから」
マルス  「いや、念のためね。もし寝たら鼻から入れるから覚悟しといてよ」
セリス  (死んでも寝ないぞ)

 

ロイ   『やっと終わったぁぁぁぁ、これであとは明日に臨むだけだね』
リリーナ 『お疲れ様、何か飲む?』
ロイ   『えー、いいよいいよ、そんな気を遣わなくても』
リリーナ 『いいの、何か適当に持ってくるわね』
ドアの閉まる音が聞こえる
ロイ   『あ......行っちゃった。
      でもよかった、うちだったら徹夜しても無理だっただろうな、
      まだ明るいし、ゆっくりしても大丈夫だよね』

 

マルス  「......」
セリス  「ねーマルス兄さん、やっぱり何も起こらないよ......」
マルス  「ロイはエリンシア姉さんに暗くなるまでに帰れって言われてるしなぁ、
      停電で抱きつくシチュエーションができないのが残念だ」
セリス  (本気だ......)
マルス  「あ、そうだセリス」
セリス  「と、何?兄さん」
マルス  「リリーナがロイのこと好きだってことは......知るわけないか」
セリス  「ほ、本当に?でもそれは友達としてじゃないの?」
マルス  「やれやれ、異性に好きっていう時はたいていは強い思慕の念があるんだよ」
セリス  「そ、そうなんだ。気をつけなきゃ......」
マルス  「ん?何か言いたそうな顔だね」
セリス  「い、いや、なんでもないよ」
マルス  「はは~ん、さては言われたことがあるんだね?」
セリス  「......教えない」

 

リリーナ 『きゃーっ!!』
ロイ   『リリーナ!?どうしたんだろ......』

 

マルス  「よし、かかったかかった」
セリス  「兄さんの仕業か」
マルス  「当たり前だよ、何もないのはつまらないからね、ちょっとした細工を施しておいたのさー」

 

ロイ   『どうしたのリリーナ!?......はっ、この夥しいほどのバナナの皮は......』
リリーナ 『た、助けてロイ!滑ったらさらに他のバナナの皮を踏んでしまって二次災害に遭うの!!』
ロイ   『誰に説明してるの!とにかくこのバナナの皮をあつめなky......うわぁっ!!』
リリーナ 『ろ、ロイ!!』

 

セリス  「バナナの皮って......」
マルス  「ジェイガンに頼んだ甲斐があったよ」
セリス  「またジェイガンさん!?っていうか聞こえてくる音からして確実に10本はあるよね!?」
マルス  「3時間前にジェイガンにバナナ50本渡して......」
セリス  「ちょっと待って」
マルス  「分かってるよ無茶だって、だからドーガを呼んで半分ずつ食べてもらったんだ」
セリス  「それでも25本だよ!!」
マルス  「そう、老体にはつらいかもしれない、だからたぶん......ドーガが1本多く食べてあげたんじゃないかと思う」
セリス  (もう突っ込みたくない......)

 

ロイ   『あ......』
リリーナ 『......』
ロイ   『......』
リリーナ 『......ロイ、だいじょう......』
ロイ   『あっ、ご、ごめん!』
リリーナ 『......』
ロイ   『......』
リリーナ 『拾おっか......バナナ』

 

セリス  「あーあ、気まずくなっちゃった」
マルス  「君は本当に想像力がないな」
セリス  「え?」
マルス  「さっきのシチュエーションはこうだよ、
      ロイがバナナの皮によって滑ったけど、なんとか二次災害(またバナナを踏む)は免れることはできて、
      バナナの皮の間を縫って四つんばいに着地。
      しかしちょうどロイの真下にリリーナがいて、超接近!!
      お互い顔を赤らめて、しばらく何も言えずに固まってしまったのさー」
セリス  「マルス兄さんの想像力豊かすぎるんじゃないの!?」
マルス  「そんなことより、セリス、君はこの状況に危うさを感じなかったのかい?」
セリス  「危うさ?......ケガってこと?」
マルス  「違うよ、もしロイが二次災害に遭ってそのままコケたら、抱き合う形になってたじゃないか」
セリス  「............(ボッ)......な、ななな......」
マルス  「くっ......つまらないなぁ、なんでジェイガンはこう上手い具合に......」
セリス  「......だ、だいたい音だけじゃ本当にそうなのか分からないじゃないか!」
マルス  「セリス......このくらいの想像はできて当たり前さ、会話のほかにも物音とかあるよね。
      リーフがいたら今日何回鼻血を出しているか......」

 

ロイ   『っと、これで全部かな......』
リリーナ 『ロイ、あの......このバナナは、その......私知らなかったの!!
      来てみたらその......これだけのバナナあって......うちがこんなに雑多じゃなくて......
      というかそれ以前にこんなにバナナ食べてるわけじゃ......』
ロイ   『リリーナ、落ち着こう?』
リリーナ 『え......?』
ロイ   『何が起こったのか分からないけど、リリーナの家でこれだけ食べるなんて
      たとえリリーナが直接僕に言っても信じないと思う。
      バナナバナナって僕たちは何を言ってるのかって感じだけど
      滑ってるリリーナも少しかわいかったし......あはは』
リリーナ 『.....ロイ......』
ロイ   『......床もちょっとヌメヌメしてるね、拭こうか。雑巾、雑巾......』
リリーナ 『.....あ、私がするから』
ロイ   『いいよ、逆空き巣みたいなものだからね。それにリリーナ困ってるんだし......』
リリーナ 『ありがとう、でも二人でしましょう。はい......雑巾』
ロイ   『あーあ......誰なんだろうなぁ、まさか兄さんの誰か......』

 

マルス  「ご名答」
セリス  「いやいや......」

 

リリーナ 『......』
ロイ   『......』
リリーナ 『ねぇ、ロイ......』
ロイ   『ん?なに?』
リリーナ 『ロイって、その......好きな人とか、いるの?』

 

マルス  「よしきた、よく言ったぞリリーナ」
セリス  「おかしくない!?だいたいそういう流れじゃないでしょ!?」
マルス  「分かってないなセリス、このくらいの女の子は少し男がドキッとさせるような仕草をしたら切り出すものさ」
セリス  「そ、そんな仕草、した?」
マルス  「急接近とか、優しさとか、“かわいいね”とか......いくらでも要素はあるよ」
セリス  「ぜ、全然分からないよ」

 

ロイ   『そうだね、いるよ』
リリーナ 『!!そ、そうなんだぁ』
ロイ   『うん、えーっと、まずリリーナ』
リリーナ 『えっ!?......って、“まず”?』
ロイ   『それからシャニーと......』
リリーナ 『ふ、二人!?』
ロイ   『......と、......と』
リリーナ 『......』
ロイ   『それから、ミカヤ姉さんと......』
リリーナ 『お、お姉さん!?』
ロイ   『エリウッド兄さんと、あと......』
リリーナ 『男!?』
ロイ   『うーん......他にも数えられないくらいたくさんいるよ、みんな大好きなんだ!』
リリーナ 『......そ、そうなの......』

 

マルス  「......ロイの馬鹿」
セリス  「どうしよう......これって、リリーナは誤解してるんだよね?」
マルス  「やっと分かるようになってきたね、じゃあロイは“好き”をどう勘違いしてるでしょうか」
セリス  「えぇっと、英語で言う“LIKE”みたいな」
マルス  「はい、よくできました。この調子で愛を学んでいきなよ、我が弟」
セリス  「あぅぅ......」

 
 

ロイ   「ねぇ、なんかリリーナに“もう来なくていいよ”って言われたんだけど」