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Last-modified: 2012-09-07 (金) 20:25:27

142 :ヤン→デレ 承:2010/09/25(土) 02:04:57 ID:u57Oq7wR

翌日。

エイリーク「さあ兄上、起床直後は1日で最も脳がクリーンな状態であり、暗記するのに適した時間帯です。
         これらの公式と年表を丸暗記してください」
エフラム「いやエイリーク、まずはランニングでもして汗を流してだな……」
エイリーク「何か文句でも? 私に兄の威厳を示してくださるんですよね? そうですよね?
         ま・さ・か・泣き言を言ったりなんてみっともないことはしないですよね?」
エフラム「あ、ああ」

エイリーク「さあ兄上、午前中は朝食で摂った糖分が脳に回り始めて、1日で最も脳が活発に活動する時間です。
         これらの数式を解いてください」
エフラム「いやエイリーク、午前中は俺は普通に学校に行っている時間帯だろう?」
エイリーク「普段の兄上はどうせ居眠りしてばかりでしょう。でしたらこの問題を解いておいてください。
         大丈夫ですよね? ま・さ・か・文句なんて言ったりしないですよね?」
エフラム「あ、ああ」

エイリーク「さあ兄上、午後は昼食を摂ったことによって最も眠気の出る時間です。
         そういうときは眠気に負けない思考力が大事な物理、化学の問題を解いてください」
エフラム「いやエイリーク、なんで普通にお前がここにいるんだ? お前は聖ルネス女学院にいるはずでは……」
エイリーク「細かいことはいいんですよ兄上。さあ、真剣に問題集に向かってください。問題ないですよね?
         ま・さ・か・居眠りするなんてことはしないですよね?」
エフラム「あ、ああ」

エイリーク「さあ兄上、夜は1日の活動によっていちばん脳が疲れている時間です。
         脳が疲れているときには語学がいちばんです。このグラマーを解いてください」
エフラム「いやエイリーク、なんか1日中お前に張り付かれているんだが、俺はいつ休めば……」
エイリーク「なにか言いましたか、兄上?
         惰眠をむさぼるようなみっともない姿、ま・さ・か・そんな兄の威厳のかけらもない姿を、
         妹である(←ここ強調)私に晒すような真似はしないですよね? そうですよね?」
エフラム「あ、ああ」

143 :ヤン→デレ 承:2010/09/25(土) 02:08:13 ID:u57Oq7wR

こんな感じが1週間ほど続いた後(ちなみにエフラムはエイリークの協力もあり、
アメリアの家庭教師をやり遂げ、アメリアに対する兄の威厳は無事に示せた)。
夕食後。
エフラムはエイリークに背中を押されて自室に監禁(?)されたので、ふたりを除いた家族会議が開催された。

リーフ「エイリーク姉さんYABEEEEEEEEEE!!!!」
マルス「まさかエイリーク姉さんがここまで容赦なくエフラム兄さんに勉強を仕込もうとするとは。
      このマルスの目をもってしても見抜けなかった」
エリウッド「大丈夫だろうか、ちょっと行き過ぎなんじゃ……」
セリカ「わたしはエイリーク姉さんの気持ちは分かるわ。好きな人にはいいところを見せたいし、
      見せてもらいたいもの」
アルム「セリカ、僕はいいところを見せられているかな?」
セリカ「当たり前じゃない。アルムの普段の仕草も、農作業をしているときの汗のきらめきも、
      その影の薄さでさえ、世界一素敵よ」
アルム「セリカ……」
セリカ「アルム……」
シグルド「KINSHINは許さんぞーーー!!!」
ヘクトル「あっちのお約束は放っておくとして、実際どうするよ?」
ミカヤ「まあ定期試験でいい結果出せばエイリークも納得するだろうし、もう少し様子を見てもいいんじゃない?」
リーフ「いやーエイリーク姉さんのあの束縛のきつさを考えると、
      その次は『私と同じ大学に入ってもらいます!』とかになりそうな気も……」
マルス「そこまで行ったら完全にヤンデレだね。このままエスカレートしたら、空鍋かき回したり
      『兄上どいて! そいつ(ミルラ)殺せない!』とか『(サラの)中に誰もいませんよ?』やったり……」
エリンシア「そ、それはヤバすぎますわ。ヤンデレを通り越したヤン殺なんて、テレビの中だけで十分です!」
ロイ「エリンシア姉さんそういうの観てたの?」
ミカヤ「ねえところで、この前も話に出てたんだけど『やんでれ』ってなに?」
マルス「ヤンデレというのはかくかくしかじか」
ミカヤ「そ、そんな! 我が家でいちばんまともだと思ってたエイリークまでそんなビョーキに!?
      ああ、お父さんお母さんごめんなさい。ミカヤは弟妹たちをひとりもちゃんと育てられないダメな子でしたorz」
リン「ミカヤ姉さん落ち着いて! まだそうと決まったわけじゃないし、
    もしそうだとしてもロリコンとかKINSHINとかホモに比べれば……」
ミカヤ「レズのあんたが言っても説得力ないわぁぁぁ!」
リン「ちょ、『疑惑』消さないでよ!」
ヘクトル「レズの疑惑自体は否定しないのかよ……つーか俺はホモじゃねえ!」
リーフ「その前に、さりげに僕たちディスられなかった? まあ反論できないのがアレだけど」
セリス「話が脱線してるよ。今はエイリーク姉さんのことでしょう」

144 :ヤン→デレ 承:2010/09/25(土) 02:10:19 ID:u57Oq7wR

一同ぎゃーぎゃー騒ぎながら対処法を考え中。と、そこへ!

ラケシス「お困りのようですわね!」
プリシラ「我々AKJは兄を愛する全ての妹の味方です!」
クラリーネ「というわけで、準会員のエイリークさんを支援すべく参上しました!」
シグルド「KINSHINは許s」
アイク「余計に話をこじらせる連中は帰れ。ぬぅん!」
ラケ・プリ・クラ「あーれーー!!」
リーフ「なんで僕までーーー!!! このひとでなしーーー!!!」
マルス「『そこにリーフがいたから』じゃないかな」
ロイ「さすがアイク兄さん! あのAKJをも一撃で粉砕するッ! そこにシビれる、あこがれるゥ!」
シグルド「出番なかった(´・ω・`)」
エリウッド「ああ、屋根が……また家計が……あばばばばばばば蝶サイコー!」
アルム「つ『胃薬』」
セリス「というか、あの人たち何しに来たんだろう……」
リン「邪魔しに来たんじゃない?」

唐突なAKJの乱入ではあったが、これによってシグルドは重大なことに気がついた。

シグルド「そうだよ。AKJが来たってことは……よく考えてみたら、四六時中エフラムとエイリークがべったりって、
        見事にKINSHINじゃないか! KINSHINは許さんぞォーーー!!!」
セリカ「ちょ、今さら気づいたの?」
アルム「そういうんじゃないと思うんだけど……」
マルス「うん。エイリーク姉さんのほうはともかく、エフラム兄さんはねえ」
シグルド「ええいやかましい! いつ何時『兄上……』『エイリーク……(ガバッ!)』とか言って
        KINSHINに発展するかわからんだろう! こうしてはおれん! KINSHINは許さんぞーー!!」
セリカ「独り芝居似てない上にキモいわよシグルド兄さん……」
ヘクトル「兄上! うーん、今のエイリークはまじおっかねえぞ……」

145 :ヤン→デレ 承:2010/09/25(土) 02:12:46 ID:u57Oq7wR

シグルドは勢い込んでエフラムの部屋に突進した。
はたしてそこでシグルドが見たものは、一週間前にヘクトルが見た光景と全く同じものだった。
つまり、机に向かうエフラムと、教育ママよろしく横で監視しているエイリークである。

シグルド「ふたりとも! 勉強熱心なのはいいが、KINSHINは許さんぞーー!!」
エイリーク「シグルド兄上? 今は直前期で、わずかな時間も惜しいのです。戯れは弟達とお願いします」
シグルド「ええい言い訳はいい! とにかくKINSHINは許s」
エイリーク「シ・グ・ル・ド・あ・に・う・え? 聞こえませんでしたか?」
シグルド「すいませんごめんなさい」

※この日のシグルドのポエム☆日記より抜粋
 ありのままそのとき起こったことを記す。
 私は『KINSHINは許さんぞー!』と言ったと思ったらいつの間にか謝っていた。
 何を言っているのかわからないと思うが、私も何があったのかわからなかった。
 頭がどうにかなりそうだった。
 魔王(笑)だとかロプトウス(笑)だとか、そんなチャチなものでは断じてない、
 もっと恐ろしいものの片鱗を味わった。

そんな2人のやり取りを全く意に介さず机に向かうエフラム。
しかし、シグルドは気づいただろうか。
1週間前にヘクトルに助けを求めたような弱気がエフラムの背中から消え去っていたことを。

リーフ「エイリーク姉さんTSUEEEEEEEEEEE!!!!!」
エリンシア「リーフちゃんったら、いつ戻ってきたのかしら」
ミカヤ「KINSHINモードのシグルドを全く問題にしないなんて……エイリーク、恐ろしい子……!」
シグルド「しくしく……」
セリカ「まったく情けない。あたしたちには厳しいくせにエイリーク姉さんには甘いんだから!」
ヘクトル「気持ちは分かるぜ兄上。あのエイリークはまじヤバいもんな」
セリス「振り出しに戻ってしまったんだけど、どうしよう? シグルド兄さんでもダメなら、あとは……」

全員の視線がアイクに集中する。しかし当の本人は。

アイク「いや、これはエフラムに与えられた試練だ。
      理由はどうあれ、男が一度約束したのなら、それを守り通さなくてどうする。
      あいつが自力でこの試練に打ち勝ってこそ、男として成長できる。俺たちは見守るのみだ」

なんか……ズレてる……
アイク以外全員が心の中でツッコんだ。

続く