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Last-modified: 2012-09-10 (月) 19:45:20

178 :幼女の旗の下に:2010/09/28(火) 16:33:49 ID:z1OvrOQG

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3 様子を見る  慌てるな!まだ俺が内偵してたって事はバレてねぇはずだ…

リフィス (ここは様子見…だな。ベルン署がいい具合に掻き回してくれるのを待ってやつらのお宝をかっさらおうか)
…となると周囲から怪しまれてはならない。
ギースの子分達に混じって慌てふためいて見せる。
元々小心者なので慌てているのはある意味事実だがそれだけにリアルな演技が出来た。
別室から子分達の騒ぎ声が響いてくる。

子分A  「サツだ!? サツの奴らがきやがった!!!」
子分B  「畜生! なんでここがバレやがったんだ!」
子分C  「シャッターを下ろして時間を稼げ! そしたらトラップを起動させて…」

隠れ家内部にはフレイボムや仕込み槍などのトラップ郡が設けられている。
だがそれらはサザやデューに解除されてなんらの効力も持たなかった。
フレイボムはどう解除するのかって?
全てリーフが自ら踏んで除去した。
リーフ  「コノヒトデナシー!」
デュー  「だってボスHP∞じゃんか」
サザ   「もはや弾よけ扱いなんよ。扱いの悪さにちょっとだけ共感したんよ」
リーフ  「まぁこれくらいのダメージには慣れてるけどさ。痛い物は痛いんだよまったく…
      進路クリアー。警察の皆さんを呼び込んで。シャッターは署長に壊してもらおう」

ちなみにリーフ達はベルン署に対してはギースの子分を名乗って味方している。
親分に愛想が尽きた…更正するためにも協力したい…そのために内部情報を提供し、突入にも協力する…というわけだ。
緑葉の存在は徹底的に隠蔽しなくてはならない。
ギースの子分を名乗っていると自らも捜査、摘発の対象になりそうだがそこは捜査協力の見返りに司法取引を済ませてある。

サザ   (…いよいよなんよ…シャッターを破ったら真っ先にギースを見つけるんよ…)

連絡を受けたゼフィールは署員たちを率いて突入を開始する。
重装備で固めた機動隊員たちは署長を先頭に地下通路を突き進む。
ゼフィール「一人も逃がすな!紋章町を凶悪犯から解放するのだ!」
署長の回転が始まりシャッターは粉々に砕け散った。
署員たちがなだれこみたちまち乱闘が始まる。
リーフ  「よし、僕らも行こうか。リフィスと合流して…」
だがリーフが言い終える間も無くサザが人ごみの間をぬって突っ込んでいった…
リーフ  「サザ!?ちょ…ちょっと待った!?」
デュー  「うわー先走っちまって…まさかお宝を独り占めしてドロンとかかます気かな?」
茶化すようなデューの言葉が響く。
リーフ  「いや…それはないよ…とにかく僕らも中に入ろう」

周囲では怒号と金属音が鳴り響く…
ベルン署機動隊は重装備と数の利を生かしてギースの子分たちを捕縛していった。
1人に対して4~6人ほどであたり、彼らの抵抗を盾で受け止めると数人がかりで殴り倒し圧し掛かって抵抗を封じ捕縛していく。
ある意味数の暴力だが悪党にかける情けは無い。
その手際のよさはさすがにゼフィールが育てた精鋭だった。

179 :幼女の旗の下に:2010/09/28(火) 16:34:37 ID:z1OvrOQG

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混乱の中、冷静に事態を見守ったリフィスは子分達が対応に追われてる隙にギースの隠し金庫を発見した。
周囲には誰もいない。見張り番もベルン署との戦闘に出たようだ。
リフィス 「おっしビンゴ!へ、へ、へ…コイツを確保すりゃこんなトコに用はねえんだ」
さっそく解錠にかかる。
リーフ  「リフィス!」
リフィス 「おうボス!デューも来たか!見ろよ…すげぇぜ…宝石と貴金属だ。一千万はあるぜ!」
デュー  「わお、やったね♪」
リーフ  「困ってる人に幾分かは施して後は山分けだね!ヒャッハーーー!!!!!」
リフィス 「そうと決まればズラかろうぜ!ベルン署に見つかる前によ!
      どうせギースもこれでお終いだし仕事は終わりだ」
リーフ  「うん…だけどその前に…サザ見かけなかった?」
リフィス 「んにゃ?」
リーフ  「そっか…うん。僕はサザを探してみるよ。デューとリフィスはソレを持って先にアジトに戻ってて」

なにやら嫌な予感…胸騒ぎがする。
リーフの首筋を嫌な汗が伝っている。
これが杞憂であることを願いつつリーフは再び混乱の渦中に乗り込んでいった。

その予感は当たった…ベルン署とギースの子分が放った流れ矢が数十発リーフに直撃した。
コノヒトデナシー!

地下水路に水飛沫が舞う。
膝まで満ちた汚水を疎ましく思いつつもギースは水路を駆けていた。
ギース  「くそったれ!誰が裏切りやがった!」
この短期間でアジトを嗅ぎ付けられた以上裏切り者がいると考えるのは当然の事であった。
だがそれはともかく今は逃げ延びなければならない。
隠し扉を使ってここまで来ている。おそらく扉の発見には時間がかかるはずだ。
その間に他のアジトに潜伏して…隙を見て国外に出よう。
後は秘密口座や隠し資金を使って…闇商人や海賊とつなぎをとって…必ず再起してやる。

ギース  「捕まってたまるかってんだ…ようやく…ようやくここまで来たってのによ…」

その時である。耳が空気を裂くような音を捉えた。
ギース  「っ!?」
とっさに身をよじって避ける。
短剣が壁に当たって汚水の中に落ちる。
サザ   「俺の短剣をよけるなんてさすがは盗賊王なんよ。だけどお前はここで終わりなんよ…
      ボッコボコにしてやんよ!」
 ∧_∧
 ( ・ω・)=つ≡つ
 (っ ≡つ=つ
 /   ) ババババ
 ( / ̄∪

ギース  「てめぇ…どうみてもサツじゃねぇな…そうかてめぇ…緑葉とやらか!」
サザ   「そうなんよ!緑葉のエース緑風のサザとは俺の事なんよ!さあ観念するんよ!」

180 :幼女の旗の下に:2010/09/28(火) 16:35:25 ID:z1OvrOQG

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地下水路の一角にエフラム達は待機していた。
サラから割り振られた水路は現在ギースが走っているルートだった。
このまま待っていれば恐らくギースと戦う事になっただろうが…
ギースとサザが戦いを始めたのはエフラム達より三キロほど離れた場所であった。
エフラム 「…誰か来るか?」
ロイド  「んにゃ…突入から30分はたってる。このルートを通って逃げるならもう誰か来てもいい頃だが…」
ライナス 「逃げる間もなく捕まっちまったんじゃねぇのか?」
エフラム 「それならそれでよいが油断はしないで置こう。万一の備えとして俺たちはここにいるんだからな」

ギース  「うおりゃあ!!!」
大剣が空気を切り裂きサザの鼻先を掠める。
サザ   「あたらないんよ。俺の素早さを見るんよ!」
…などと余裕を見せてみたが実際はギリギリの回避だった。
こそ泥から身を起こし、いくつもの修羅場を掻い潜って大頭目となったギースの剣の腕は決してあなどれるモノではなかった。
サザ   「次は俺の番なんよ!」
汚水を蹴ってバックステップすると短剣を投げつける。
ギース  「食らうか糞ガキ!」
一本は剣で弾き、一本は避けた。
だが3本目が飛んでくる。
中々の早業だ。
ギース  「っ」
頬を赤いものが伝う。
かろうじてかわした…が、完全には避けられなかった。
サザ   「もういっちょういくんよ!」
ギース  「くそが!舐めるんじゃねぇ!」
投擲に入る前にギースが魔戦士特有の跳躍を見せる。
高く掲げられた剣が勢いよく振り下ろされる。まともに受けたら頭から真っ二つにされてしまう。
サザ   「おっとなんよ!?」
右に飛びのいて避けた…だがすぐに横なぎに斬撃が飛んでくる。
身を屈めた…頭の上で数本の頭髪が切れた…一瞬でも回避が遅ければ首を跳ねられるところだった。
ギース  「ちょこまかと…」
サザ   「これが俺の実力なんよ!」
再び短剣を投げつける。
距離が近いためかこれは避けられなかった。
ギースの脇腹に短剣が突き刺さる。
ギース  「ぐっ…こんなかすり傷ごときでやられるかよ!」
サザ   「強がるんじゃないんよ!」
     (とは言うものの俺の攻撃力が低めなのは事実なんよ。このままじゃ時間がかかるんよ。
      いらない時に出る瞬殺は出て欲しいときには出ないんよ…)

181 :幼女の旗の下に:2010/09/28(火) 16:36:42 ID:z1OvrOQG

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ギースのアジトの摘発は完了し、全ての子分が逮捕された…だがギースの姿は無い。
ゼフィール「調べろ!隠し通路や隠し部屋の類が必ずあるはずだ!」
署員達が慌しくアジト内を調べている…そんな中でリーフはサザの安否を追っていた。
リーフ  「まったく…どうしちゃったのさサザ…」
活躍の場を焦るサザの気持ちをリーフは把握していなかった。
その時である。恐らくはギースのものであろう豪奢な椅子の側に風を感じた。
リーフ  「当たり…かな?恐らくはここから逃げたんだ…」
どこかしらの通路には抜け道は繋がっているはず。
だが張り込ませた誰からも連絡は無い。
…となると逃走中のギースはどこかで足止めをくっているのだ。
誰が足止めを?
状況的にサザしかありえない。
リーフは椅子の側の床板をひっくり返すと地下通路にもぐっていった。

一進一退の戦いを続けていたサザとギースだが…ついに転機が訪れた。
短剣を避けた際にギースがバランスを崩してよろめいたのだ。
サザ  「きたんよ!俺のしゅんころ…もとい瞬殺をくらうんよ!」
ついにチャンスを得たサザは奥義を持って襲い掛かる!
だが…ギースの目がギラリと光った…
故意に隙を作って見せたギースはまんまとサザが乗ってくるのを見ると思い切り汚水を蹴り上げたのだ!
飛び散った汚水がサザの目を襲う!
サザ  「!?」
ほんの一瞬目を庇った…その一瞬で充分だった。
足を払われてよろめいたサザの首筋には剣が突きつけられていた。
ギース 「動くな…武器を捨てろ…」
サザ  「…っ」
悔しげに顔を歪めつつも短剣を投げ捨てる。
ここにきて…経験の差が出た…くぐった修羅場の数が違うのだ…

182 :助けて!名無しさん!:2010/09/28(火) 16:37:10 ID:re62PME8  
セリス「はあぁっ!!」
アイク「今の良い打ち込みだったぞセリス」

マルス「…珍しいねぇ。セリスとアイク兄さんが手合わせしてるなんて」
リーフ「そうだね。エフラム兄さんが過保護だから、留守中以外だと出来無いんだよね」
ロイ  「セリス兄さん見くびられがちだけど、かなり強いよね。セリス兄さんと手合わせして数える程度しか勝った事無いし僕」
リーフ「僕も相性の良い槍以外だとガクッと勝率下がるなぁ。魔法に対する抵抗力も高いから魔法もロクに効かないし」
マルス「そういやちょっと前にシグルド兄さんから一本取ってたね。セリスって絶対顔で損してると思うよ」

アイク「腕を上げたなセリス。じゃあ次はどうだ!」
セリス「…!」

ロイ  「ちょ、まさかアイク兄さん、天空を打つ気!?いくらセリス兄さんでも無理だって!」
リーフ「いや、以外とそうでもないんだよねこれが」
ロイ  「え?」

ズガァン!

アイク「む…」
セリス「……ッ!」

ロイ  「当たる寸前で一歩下がって避けた!」
マルス「でも天空は隙を生じない二段構え、次はどうかな?」
リーフ「どっかの漫画みたいな言い方だねそれ」

ガキィン!

アイク「…!」
セリス「くっ…!!」

ロイ  「受け流した!?」
マルス「天空の二段目は月光、受け流しなんて出来ずにまずやろうとしたら剣は叩き折られるもんだけど」
リーフ「でもアイク兄さん、単純な力も強いからね。受け流したセリス兄さん、痺れちゃってるよ」

アイク「ぬぅん!」
セリス「うわぁっ!!」

ロイ  「あぁっ!セリス兄さんが吹っ飛んだと同時に弾かれた木刀がリーフ兄さん目掛けて飛んできた!!」
リーフ「甘いわぁっ!!(カキィン)何度もこの人でなしーと叫ぶ程ワンパターンな僕では無いわッ!」
マルス「それはそれでつまらないよね。それはともかく二人の下へ行こうか」

セリス「痛たた…」
アイク「大丈夫かセリス?」
セリス「このぐらいは大丈夫だよ。でも失敗したなぁ。あそこは受け流しせずに回避を選択するべきだったよ」
ロイ  「と言うか、天空を受け流し出来た時点で凄いよセリス兄さん」
アイク「昔からセリスには天空が通用せんからな。だからと言って、受け流しをされた時は少し肝を冷やした」
リーフ「アイク兄さんいるから忘れがちだけど、こう言った技の見切り能力高いよね昔から」
マルス「そう言えばしっこくさんの月光すらも見切ってたねセリスは」
ロイ  「マジですか…」
セリス「アイク兄さんとしっこくさんの手合わせはよく見るから、だから見切れただけだよ」
ロイ  「いや、よく見るだけじゃ普通は見切れないよ…」
リーフ「うん、やっぱりあれだね」
マルス「スキル『見切り』恐るべし」

ヒューン…ガスッ!!

ロイ  「あぁっ!リーフ兄さんが弾いた木刀が落ちてきて結局リーフ兄さんに直撃した!」
リーフ「いくらオチが無いからってこれは酷すぎるよこの人でなしー!」

183 :幼女の旗の下に:2010/09/28(火) 16:37:24 ID:z1OvrOQG

253

サザ  「くそ…俺をどうするんよ…人質にでもするつもりなんよ?」
ギース 「いらねぇよ。人質なんざ逃げる邪魔にしかならねぇ。それよりもどうだ…俺の手下にならねぇか?」
サザ  「な…なに言ってるんよ!?」
ギース 「ガキ…てめぇスラムの出だろ?雰囲気でわかるさ。俺もそうだったからな。
     親も知らねぇ…ゴミを漁って他人の懐を狙って食いつないできたんだろ?」
まったくその通りだった。
サザ  「ば…バカ言うんじゃないんよ!だからってなんでお前の手下に…」
ギース 「再起には手下がいる。そういうこった…それによ。同類の俺様にはてめぇの気持ちがわかるのよ。
     小銭目当てにドブを這い回って鉄くず拾いをした惨めさ…年の近いガキが親に遊んで貰ってるのを指咥えて見てた事もある。
     腹いせにガキの菓子を盗んで逃げたっけな。
     飢えてパンを一切れ盗めば”善良な市民”のパン屋の親父にクズ呼ばわりされてキツイ蹴りを見舞われる」
サザ  「……っ」
ギースの言葉は実体験を持っているだけに重みがあった。それは同時に全てサザが味わってきたものでもある。
ギース 「野良犬同然の俺達浮浪児は死ねば見取る者も葬式も無くただ忘れられる。惨めなもんだ。
     わかるだろ? その惨めさを救ってくれんのは金だよ。金だけが乾いた心を癒してくれる。何をしたってこの世は金のあるもんの勝ちなんだよ。
     俺についてきな。そうすりゃゴミ呼ばわりした連中を見返してやれる。子分を引き連れて胸を張って歩ける。
     俺の配下の大幹部を誰もが恐れて上目遣いにゴマをする。胸に札束入れて酒も女も思いのままだ。それでやっと惨めさを忘れられる」
サザ  「だ…だからってお前みたいに…人もクスリも売って…船を襲って…他人の人生を食い物にしてまで金を…」
ギース 「なら聞くがよ。今まで生きてきてなんかいいことあったか?
     義賊なんつって偽善ぶっても満たせるのはてめぇの自己満足だけよ。俺達野良犬は世間の奴らとは違う。
     どんなことだってやらなきゃのし上がれねぇんだよ…俺が情けを見せることなんて滅多にねぇんだ。
     迷うこたねぇよ」
サザ  (俺は…俺は…生まれた時からずっと底辺を這い回って…緑風(笑)とバカにされて…
     終章?サザ外してぇ!強制出撃邪魔!とか言われて…しゅんころ(笑)とか誰からもいらない子扱いされて
     …涙目で…今だって活躍できずにやられて…うう…ううぅぅぅぅぅぅぅ…(´;ω;`) )
ギース 「あまり時間もねぇ…10数えるうちに選びな。断るならここで死んでもらうがな」

首もとの刃が冷たい輝きを放っている…

続く

1 ギースの手下になる こうなったらグレてやるんよ。ダークサイドに堕ちて世間に復讐してやるんよ(´;ω;`)
2 ミカヤを想う    ちょっと待つんよ…人生悪い事ばかりじゃなかった気がするんよ
3 神に祈る      神様助けて欲しいんよ!
4 暴れる       こうなったらいちかばちかなんよ!