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Last-modified: 2012-09-10 (月) 20:00:10

340 :ネサラ、風邪を引く 後編1/3:2010/10/08(金) 18:15:57 ID:7rFJZuzS

ネサラの家で各地域の大物が宴会をしている中にサナキはいた。
そういえばネサラは大丈夫なのだろうか?と思い、こっそり抜け、ネサラの部屋に向かう。
そしてドアを開くと目の前には息を荒げたネサラがリアーネを押し倒していた…

「サ、サナキ!ちょうどい…」
「すまぬ、邪魔したようじゃな。お詫びといってはなんじゃが…セフェラン!」
「ハッ、何でしょうかサナキ様」
サナキが手を叩いてセフェランを呼ぶと颯爽と現れる。
ネサラはどこから現れたんだよ…と思いながら流されていた。
「この部屋の亡霊戦士を排除せよ。あ、あとサイレスも頼むかの」
「かしこまりました」
「うむ、では仲良くな」
そういって静かに部屋を去るサナキ。やや遅れてセフェランもリワープで消えた。
「…ちょ…助けてくれよぉぉ!!」
ネサラの悲痛な叫びはサイレスに掻き消され、誰にも届かなかった…

少し前、ネサラがリアーネにブランデーを飲ませたのが事の発端である。
リアーネはぐいぐい飲んでいくのでネサラはリアーネでも飲める酒を飲ませていく。
そしてすっかり酔いが回ったリアーネはネサラにくっつきはじめた。
ネサラも始めのうちは昔のように可愛がっていたのだが徐々に焦りだす。
目が据わり、呂律がまわらない口調でネサラに抱き着いたりしてくる。
それはたいして酔っ払っていないネサラにはなかなかに刺激的である。
焦りだしたネサラは慌ててリアーネから酒を取り上げ、寝かせようとした。
リアーネは抵抗してきたので多少力ずくで無理矢理ベッドに寝かせようとしたのだが、
あまり強くやると怪我してしまうので慎重にやらざるをえない。
しかし、そうなるとじゃれてくるリアーネを寝かすのはかなり大変であり、

たまたまネサラがマウントを取ったところをタイミング悪くサナキに見られた。
だからネサラはサナキに協力を頼もうとしたのだが…勘違いされた。
ニアルチを呼ぼうにもサイレスで呼べず、かといってリアーネから目も離せない。
八方塞がりでネサラはリアーネを寝かせようと奮闘するのだった…

341 :ネサラ、風邪を引く 後編2/3:2010/10/08(金) 18:16:57 ID:7rFJZuzS

「ネサラ…」
「な、なんだ?」
何とか抵抗が弱まり、リアーネを寝かせた直後、リアーネが俺の名を呼ぶ。
「…キスして」
「な、なんでだよ!?」
「風邪って誰かにキスすれば治るってユンヌ様が言ってたの!」
あの鳥め…今度会ったらメダリオンに封じてやる…
「ネサラの風邪治してあげたいの!」
「それは嬉しいけどな…お前に移ったら俺が困るんだが…」
「そ、それは…」
「それにな…そんなことしなくても卵酒で治ったさ」
「本当?」
「ああ、もう熱も下がったしな」
「あ、本当だ!」
不意にリアーネが俺の額に自らの額を当てて確かめる。
「うわっ!?びっくりするからやめろ!」
「はーい」
く…酔っているせいかリアーネがやけに積極的だ。早く寝かせるか…
「と、とにかく早く寝ようぜ」
「うん、わかった」
リアーネはおとなしく従い、ベッドに寝る。ふぅ…やっと寝たか。
しばらくして、リアーネが寝付いたのを確認すると、静かにベッドから抜ける。
リアーネが寝ているのでは俺の寝場所がない。仕方がないから宴会にでもい…ん?
よく見るとドアが半開きになっている…そして目を凝らすと…
「おい、何してるんだ?」
ドアを思い切り開くと宴会をしていたはずの連中が揃ってのぞき見していた。
「げ、元気そうだな鴉王」
「あ、ああ…てっきり弱っていたかと心配でな…」
貴様ら…本気でそう思ってるなら病人の家で宴会するわけないだろうが!
「てっきり面白い展開かと思ったのにつまらんのう」
あんたか、あんたが言い触らしたんだな?
「貴様らの気持ちはよーくわかった。お礼に一戦付き合ってもらおうか」
スクリミル、ティバーン、サナキ、ワカメヘアー…今宵の嘴はよく突けるぞ。
「あ、僕は…かえr…ぐふっ」
「ワカメェェ!?」
「サナキ様…僕の名はペレア…」
「さあ、どんどんいくぜ!死にさらせぇぇぇ!!」

この日、ネサラの家はネサラの部屋を除いて壊滅した。
翌朝、頭痛で頭を押さえながら起きてきたリアーネの目に映った光景は
黒焦げになって倒れたネサラやボロボロになったスクリミル、
時折痙攣している俯せのティバーン、セフェランに介抱されたサナキ、
そこらへんの瓦礫に埋まるペレアスとグレイル工務店に電話するニアルチだった…

342 :ネサラ、風邪を引く 後編3/3:2010/10/08(金) 18:18:08 ID:7rFJZuzS

「すごいものだな…」

アイクは仕事とはいえ昨日来た場所に再び来たが、昨日まで存在した家が一晩で壊滅していた。
残骸を見るとかなりの腕前を持つ者達の争いだとわかる。是非、手合わせしたいものだ。
工務店のメンバーで瓦礫を撤去しながらアイクはそんなことを考えていた。

「では本日の工事費ですが…このぐらいです」
セネリオが差し出した紙にはネサラが見たら絶句するような金額が書かれていた。
「むぅ…もう少し安くならんかの?常連ではないか」
「これでもギリギリです」
「仕方がないのう…セフェラン、頼む」
サナキが指を鳴らすとセフェランがどこからともなくスーツケース持参で現れる。
「では、10000000Gです」
スーツケースを開いて10000G札を確認するセネリオ。
「たしかに。毎度ありがとうございます」
「さて…せっかくだしアイクを見てくるかの」
そういってサナキはアイクのいる方向へ駆け出す。残されたのはセフェランとセネリオだ。
「やれやれ…まさか本社以外のことで修理費を払うとは思いませんでした」
「まさかサナキ様の依頼がベグニオン社ではない場所とは思いませんでしたよ」
「ところで…この家の主はどこに行かれたのですか?先程から見かけませんが」
「鴉王ですか?鴉王ならリアーネ姫をセリノスの森で介抱してるそうです」
「介抱?何かあったのですか?」
「それが…二日酔いと風邪だそうです」
「ふ、二日酔い?鷺の民が?」
「ええ…頭痛と熱で酷い有様です」

森では看病されるリアーネと看病するネサラ。説教するリュシオンがいた。
リアーネは眠り、脇でネサラはリュシオンに怒られている。
「まったく…リアーネに酒を飲ますなんて」
「悪いって言ってるだろ?お前だって昔飲んだじゃないか」
「う…それはそうだが…」
「けどな、もうリアーネには酒を飲まさない方がいいぜ」
「ん?何故だ?」
「ありゃあ俺の身体がもたん」
「……そうか。どうやら貴様は死にたいようだな」
「え…ちょ、リュシオン?お前何か勘違いしてないか?」
「そこに座れ!貴様にはこれから24時間耐久超兄貴大会だ!」
「ちょ、お前、それはやめ…」
「鴉王様のKINNNIKUハァハァ…さあ私と一緒に参りましょう」
「エリンシアさん!?あんたどこから…」
こうしてネサラは連れ去られた。その後のことをセネリオはこう語る。
「ひどい有様です」

終わり