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Last-modified: 2012-09-10 (月) 20:10:34

それはある日、工務店での出来事だった
イレースは日頃の恋愛アピールをまったく物ともしない、
愛しのフラグクラッシャーを工務店裏に呼び出した
今日こそ彼と“特別な関係”になる為に

……来た。手紙に書いておいた通りただ一人で
アイク「イレースか。一体どうした?
    重大な話があると手紙にはあったが……」
日頃好意的な女性が男性を秘密裏に呼び出す
これだけで普通の男性なら何らかの期待を抱くものだが、
肝心のアイクは呼び出された理由がさっぱり分からないといった様子だ
わかっていたことだが、やはり多少のショックを受けた
しかしめげずに、イレースは肝心の内容について話し始めた
イレース「はい。その、突然のことで驚くかと思いますが……」

この人に回りくどい言い回しは駄目だ
ど真ん中ストレートの直球を投げ込まなければ
イレース「アイクさん……私を食べてください」
アイク「…………………何?」

あまりに予想外のことだった為か、
普段何事にも心を乱さないアイクも動揺を隠せないようだ
聞き間違えたのではないかと思ったのか、念のためもう一度聞き返す

アイク「すまんが聞き違えたみたいだ。……今、何と言った?」
イレース「……私を、食べちゃってください」

勢いで言ったとはいえ恥ずかしさが消えるはずもなく、
言い終わったイレースの顔は真っ赤に染まっていた
普段滅多に表情を変えない彼女なだけに、台詞と相まってその破壊力はすさまじい
並みの男なら一発で「喜んで!!」と答えてしまうに違いない
それか理性が邪魔をして、手を出さない
果たしてアイクはどちらを選ぶのかと思いきや
アイクの返答は違う意味で常軌を逸していた

410 :助けて!名無しさん!:2010/10/11(月) 16:29:02 ID:KlY0cCdR

アイク「…………こういうことを聞いていいものかわからんが………」
イレース「?」
アイク「お前は、旨いのか?」

………………
…………
……

イレース「試して……みます?」

そういって、彼女はそのほっそりとした二の腕をアイクの方へと差し出した
心なしか、いつもより妖艶な雰囲気が漂っているかのように思われる
ほっそりとした首から肩に掛けて、薄紫色の髪の毛が揺れる
てっきり、いつものように断られるかと思っていただけに、
予想外の好感触に内心喜びを隠せない

一方のアイクはいつもと何も変わらない
しかし、それで構わなかった
彼のそう言う所に惚れたのだから
いつものように大股で近づいてきて、いつもと同じ表情で、
アイクはイレースに近づき、そして……

アイク「では………」
そして何故か二の腕の袖の部分をまくり上げ始めた
イレース(…………え?)

イレース「あの、アイクさん?何を………」
イレースもこれは何かおかしいと思ったのか、慌てて彼の真意を問いただすが、
アイクは、その問いに彼らしく、言葉ではなく口で返してやった

がぶっ

イレース「!!!!!!!???????」
アイク「…………ん、別にそれほど旨くはないが……っておい!?」
予想外すぎるスキンシップのショックに耐えきれなかったのか、
イレースはその場で真っ赤になったかと思えば、そのまま気絶してしまった

その後、結局イレースは休憩所に運ばれ、その日アイクと話す機会はなかった
しかし、彼女は今回の失敗に対してあまり落ち込んでいなかった
腕についた愛しの人の歯型をうっとりと見つめ、
誰もいないのを確認してからこっそりその部分を甘噛みしてみる

イレース「はむ…………アイクさんの味………♪」

これはこれで、成功と言えるのかもしれない