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Last-modified: 2012-09-10 (月) 20:13:28

429 :レテ、デートに行く 1章1/3:2010/10/12(火) 16:13:50 ID:obZy/om6

「む、この剣はなかなかいいな」
私は今武器屋にいる…アイクに行きたい店を聞いたらこうなったからだ。
ラグズは武器を使わないからあまり武器屋には来ない。
私みたいに肉を食べる時に使うナイフを買いに来るぐらいだろうか。
だがまあ、好きな人と買い物に来れたってだけでも幸せなのかもしれない。
「なあレテ。この鋼の剣と鉄の剣ならどっちがいい?」
「へ、私にわかるわけないだろ!?」
「む、すまん…そうだよな」
ああ、私の馬鹿馬鹿馬鹿!素直にわからないって言えばいいのに!

「うーん…こりゃやっぱり難しいか」
「まあアイク兄さんも相変わらず空気を読めないから仕方ないですよ」
「普通デートで武器屋に行かないよ…兄さん」
店の陰にはライ、マルス、リーフが2人を尾行するために潜んでいた。
「ちょっとテコ入れでもしますか…あ、もしもし」
マルスが携帯電話を取り出し、何者かと会話を始める。
2分程通話し、話し終えたマルスは携帯をしまい、ニッコリと笑って一言。
「ふぅ、コネって便利だよね」
*1

程なく、アイクは鉄の剣を4本選び、カウンターへと持って行く。
「これを頼む」
「あいよ。ああそうだ、遊園地のペアチケットが余ってるんだがいるか?」
「いいのか?ララベルが怒りそうだが…」
「なに、ララベルなら抑え…か、風邪ひいて寝てるんだ」
「そうか。ありがたくいただこう。ララベルによろしく頼む」
「まいどあり~」
「よし。レテ、せっかく遊園地のチケットをもらったし行くぞ」
「ふにゃ!?へ、う、うん」

「いやー見事だな。さすがアイクの弟だ」
「まあ僕の力をもってすれば余裕ですね」
「…ねえ、ララベルさんはどうしたの?」
「んーリィレさんに頼んでとりあえずガリアまで拉致してもらったのさ」
「……よくリィレのやつが承諾したな」
「ええ、ライさんとのデートを条件にしたらあっさりと」
「………………おい」

「離して!アイクが、アイクがぁぁぁ!!」
「ライ隊長とデート!隊長とデート!幸せだにゃん!」

430 :レテ、デートに行く 1章2/3:2010/10/12(火) 16:14:54 ID:obZy/om6

「ふむ、このジェットコースター。かなり、やる」
「そ、そうだな…」
最高時速200kmを記録したギネス級のジェットコースターに乗った2人。
楽しんだアイクとは対照的にふらふらなレテ…
当然尾行しているマルス達もジェイガンが持ってきたチケットで入り、
件のジェットコースターにも乗った……リーフが。
「…コ…コノ…ヒトデナシー…」
「いやぁ、お疲れ。どうだった?」
「あんなのを楽しめるのはアイク兄さんぐらいだよ…うえっぷ…気持ち悪い」
「なあ…さっきからアイクが選ぶ乗り物なんだが…」
「ええ…ことごとく一般人には不評…というか寄り付かないやつですね」
「さすがアイク兄さん、僕たちにできないことを…」
「JOJO自重。それよりもレテさんのライフがやばいですね」
前方500mを歩くアイクとレテなのだが、レテはふらふらである。
普通なら休ませてもらうなりするのだが…しかし、レテ…というか恋する乙女は
好きな人とのひと時を楽しむためにそんなことを言えない。
マルス達がレテのために尾行をやめ、アイクに休むよう伝えようとした時だった。
「なあレテ…大丈夫か?」
「…な、軟弱なベオクと一緒にするな!」
「いや、やっぱり無理するな。そこに座ろう」
「…だ、大丈夫だから」
「いや、やっぱり休もう。そんなふらふらな身体ではよくないだろう」
「す、すまない…」
アイクはレテの肩を掴み、多少強引にだがベンチに座らせた。
「ちょっと待ってろ。飲み物を買ってくる」
「あ、ああ。ありがとう」

「心配しすぎでしたか…」
「ああ、アイクもそこらへんはわかってたな」
「ね、ねえ…気のせいかアイク兄さんがこっちに向かってない?」
リーフが2人にそう尋ねた途端、アイクが現れて…
「おまえたち…何してるんだ?」
「あちゃあ…見つかっちゃいましたか」
「どこから気づいてた?」
「ついさっきだ。それで…何をしている?」
「いえ、アイク兄さんとレテさんを追い掛けただけですよ」
マルスがリーフに2人分の飲み物を買いに行かせ、答える。
「何故?」
「ええ、アイク兄さんがレテさんに無茶させないか不安でして」
「む…そんなに心配か?」
「お前なぁ…ついさっきレテを倒れさせそうにさせたやつが言うか?」
「やはりか…やけにレテがふらふらだとは思ったんだが…」
「まあ兄さんらしいですけどね。とりあえずこれ以上遊園地は危険ですね」
「そうだな…レテには申し訳ないが今日は…」
「いえ、疲れている身体にはこれがいいでしょう」
そういってマルスは不敵に微笑むのであった…

431 :レテ、デートに行く 1章3/3:2010/10/12(火) 16:16:28 ID:obZy/om6

「ああ…気持ちいい…生き返る…」
レテは今、温泉に浸かっていた。アイクが誘ってくれたからだ。
遊園地でふらふらになり、疲れた身体に温泉は最高だった。

レテがのんびり温泉を満喫している頃、温泉の入口でアイクとマルスが会話していた。
「しかし、よく温泉のタダ券なんて持ってたな…」
「たまたまもらったんだよ。気にしないで」
「そうか。おまえたちは入らないのか?」
「んー別にいいよ。ゆっくり入っておいで」
「ああ、助かる」
アイクはマルスに礼を言うと暖簾をくぐり、中へ入っていった。
「くく…計画通り」
「兄さん、何が計画通りなのさ?」
「たんに風呂入るぐらいで計画なんかないだろ?」
「フハハ…ハハハハハッ…ここは混浴だ」
「「な、なんだってー!?」」

そんなことを知らないレテは温泉で泳いでいた。※泳いではいけません
泳いでいると脱衣所の方から誰かが戸を開く音が聞こえた。
慌てて泳ぐのをやめ、湯舟に浸かり座ろうとした…ら目の前にはアイクがいた。
「…………」
「…む、レテ?ここは男湯のはずだが…」
「いっやぁぁぁぁぁあ!!!?」
「お、落ち着けレテ…ぐっ!?」
錯乱したレテは化身し、暴れはじめた。吹き飛ぶ桶、飛び散る湯飛沫、叫ぶヒトデナシー!
レテが落ち着き、化身を解除した頃には温泉は消滅していたのだった…

落ち着いたレテはアイクから逃げ出し、追い掛けるアイク。
マルスはライに追跡を頼み、温泉の修復をグレイル工務店に依頼していた。
そして覗こうとしていたリーフはレテの攻撃に巻き込まれ、瓦礫に埋まっていた…

「こ、この…ヒトデナシー……」

続く

レテ、可愛いよ。猫、サイッコー!


*1 な、何をしたんだ!?