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Last-modified: 2013-11-06 (水) 19:53:46

526 :リムステラさんが暴走したようです:2010/10/17(日) 23:51:04 ID:ammk97SR

1

早いもので、アイク達が無人島から自力で生還してから一か月の月日が流れた
平和な時間というのは、本当に早く過ぎてしまうものだ
ちなみに例の島はどうなったかと言うと、彼らが帰ってきた次の日にはすでに影も形もなかった
元々浮島のようだし流れて行ってしまったのでは?という結論に落ち着いたようだが、
真実はだれにも分からない

その間に彼らが流れ着いた島の元所有者達はどうしていたのかというと……

特になにもせずに、いつも通り怠惰な時を貪っていた

―――ネルガル家
紋章町の中でも一,二位を争う技術力を誇る、ネルガルの居城
その魔力は大気を震わせ、その術式は己を不死にすることすら可能と言われていたネルガルだが、
彼もやはり人の子である
今は単なる痴呆老人として、自らが作ったモルフに世話をされながらのんびり隠居生活を楽しんでいる
どうやら今日は、居間でTVを見ているようだ
近くにはリムステラが控えており、他のモルフの姿は見えない

「えー、次にご紹介するのはグローメル家電製品店の話題の新商品!!
 これを使うと脂肪が吸引できるという事らしいです」
「信じられなーい(棒」
(もう少し感情込めてくれてもいいじゃないですか……)
「えー、信じられない人たちの為に、紋章町の有名人で実験してみました!
 VTRをご覧ください!兄弟家のアノ人にお願いしました!!」

527 :リムステラさんが暴走したようです2:2010/10/17(日) 23:52:32 ID:ammk97SR

before

「ブーブー」
「お分かりいただけるだろうか?
 たるみきった腹の中に、堕落しきった欲望の塊である脂肪がたっぷりとつまっている
 どんなハードな運動をしても無くなりそうにないように思えるが……
 当社の脂肪吸引機であるメタボ・イレーサーを使うとほらこの通り!」

after
「何故俺の前に立った」(キリッ
「この吸引力!!
 まさに紋章町のモンスターである鬼食・イレースの名を冠するにふさわしい性能ではないでしょうか!!」

(セーラさん・・・・・・・これ、明らかに別人じゃ・・・・・)
(気にしたら負けよ!)
誰が見ても明らかに詐欺としか思えない光景がたった今紋章町のお茶の間に流れてしまった
こんな誰でもわかるデマを流すグローメルもグローメルだが、これを許可するFETVも問題である

「………さて、気になるお値段ですが本来3万Gの所を上から落ちてきた落石に潰されちゃう勢いで(ブツッ

「ふぁ………暇じゃのう」
元々TVの内容には興味がなかったのか、ネルガルは番組の途中で電源を切ってしまった
確かに、骨が見える位ガリガリに痩せ細っている彼には無縁の商品だろう
それはとなりにいる人造の美女にも言えることなのだが………

この情報が、彼女に悪魔のようなアイデアを与えてしまうこととなる

528 :リムステラさんが暴走したようです3:2010/10/17(日) 23:54:10 ID:ammk97SR

(・・・・・待てよ。今の番組、あれをこうして、こうすれば・・・・・・!)

「ネルガル様!少々お願いが・・・・・・」
「・・・・・何だ?わしゃもう眠くて眠くて・・・・・・」
そう言いながらリムステラの方を向いたネルガルの顔は、確かにけだるそうに見える
いつもの彼女なら主人の体調を優先するのだが、今日の彼女は悪魔にその身を委ねていた

「で、では……カクカクシカジカ・・・・・・」
「ふんふん……別に構わんが、そんなことで良いのか?」
(コクコク!)
リムステラは首が外れる程激しくうなずいた
ネルガルの方もやる気になったのか、首をこきり、と回しながら立ちあがる
なんだかんだで、彼もこの最も忠実で有能なモルフに、娘に接する父親のような感情を抱いているため、
その願いを聞いてやるのもやぶさかではないと思っているようだ

「じゃ、改造室に行くか・・・・・・ちょっと痛いぞ」
「……覚悟の上です」

普段めったに使われない部屋へと二人は入って行った
一度入ったら原型をとどめて出てこれる確率50%の、改造室へと

(次この部屋から出た時……私は私でなくなっているかもしれない。
それでも、私は…………!!!)

――兄弟家の休日アフター
  ~リムステラさんが暴走したようです~――

529 :リムステラさんが暴走したようです4:2010/10/17(日) 23:55:20 ID:ammk97SR

~三日後の朝

    紋章町、兄弟家にて~

誰もが忙しくあわただしい時を過ごすであろう、平日の朝
もちろんそれは兄弟家も例外ではなく、皆朝食を急いで食べているようだ

「朝からアツアツのモツ鍋とか超ウマソスwww」
「ちょ、朝っぱらから鍋とかどうなってんの!?
 今日の食事掛係は一体誰さ!!」
「へぇー、リーフはミカヤお姉ちゃんの作った料理なんか食べられないっていうのね?
 お姉ちゃん悲しいな……」
「あー、リーフ泣かせた泣かせたー」
「あんたも煽ってんじゃないのこの腹黒!!」

ワーワーギャーギャーコノヒトデナシー!

「いつまでも 我が家の朝は 騒がしい って感じかな。
 ……エリウッド兄さんがまた吐血しかけてるし」
唯一喧騒の場から避難していたロイとセリスの二人は、早めに朝食を終えてくつろいでいるようだ
この二人はもっぱら家族のフォロー役はなどをこなすことが多く、よくこうして二人だけで話していることが多い

「本当、この間まで遭難してたのが嘘みたい」
「まぁ、これが良くも悪くも我が家ってことなんだと思うよ。
 あの時はセリス兄さんにはあの時本当に心配かけちゃったね」
「もう、皆無事で帰ってきてくれたからそのことは良いってば。
 それよりロイ、ちょっとTVつけてくれない?
 今日の天気予報がみたいんだ」
「OK。……ポチッとな」

530 :リムステラさんが暴走したようです5:2010/10/17(日) 23:56:42 ID:ammk97SR

普段アニメ以外のTVをあまり見ない兄にしては珍しいな、と思いつつロイはリモコンを操作した

画面が一瞬消え、天気予報のチャンネルに切り替わる
しかしまだ放映時刻ではなかったようで、画面にはニュースを読み上げているドロシーとセーラの二人が映し出されていた

「…では、次のニュースです。
 最近紋章町で奇怪な窃盗事件が起こっています。
 被害者は全員胸の大きい女性で、襲われたあと何故か皆胸が小さくなってしまっているようです。
 この奇妙な事件を前に、さすがのベルン署もお手上げの様子。
 犯人は巨乳に恨みを持つ貧乳の女性ではないかという見解が署内では強いようですが、それ以上の進展はありません。
 まったく不思議な事もあるものですねセーラさん」
「巨乳女共ざまあwwwこれで体重減ってよかったですねー♪」
(本当、怖いわね。私も気をつけないと……)

「「「志村―!!逆、逆ー!!!!」

ワーカメラトメロ!ブチッザーーーーーーー……

「「……………………………………」」

セーラのどす黒い本性が垣間見えた所で、突如画面が砂嵐に変わった
どうやら社長が被害にあった女性からの抗議の電話を恐れて、放送事故扱いにしたようだ
しばらくして、画面が砂嵐から場繋ぎ用の画面へと切り替わった

「ウホッ、いいオトコ!!!」
「や ら な い か」

nice boat

アッーーーーー!!
532 :リムステラさんが暴走したようです6:2010/10/18(月) 00:00:03 ID:XEW/7J8j

「…あ、画面が切り替わってビラクさんが出てきた」

「nice boat……だってさ。
 意味はよくわかんないけど、さっきの発言は放送事故扱いされたみたいだね」
「ふーん……って、もうこんな時間!?
 ロイ、悪いけど僕もう行くね!!今日はユリウスと一緒に登校する約束があったんだ!!!」

さらっとユリウス死亡フラグを立てながらセリスは玄関へと駆け足で行ってしまった
ロイはそんな兄を見送りながらユリウスの安否を祈りつつ、頭の片隅では先ほどのニュースが引っ掛かっていた

(我が家にもちょっと……いやかなり犯人像に当てはまる人が一人いるけど……まさか、ねぇ?)

――ルネス学院

「っくしゅん!!!」
「エイリーク、どうしたの?
 急にくしゃみなんかして」
「風邪でも引きましたの?
 なんなら私が身体で温めて……」

こっそり弟に犯人扱いされている兄弟家一の貧乳・エイリークは、親友の二人に体調を心配されていた

「いえ、大丈夫です。
 ただ、ちょっと……寒気がしただけですから」

                                  つづくッ!!

533 :リムステラさんが暴走したようです:2010/10/18(月) 00:01:45 ID:XEW/7J8j

こんな感じで3部くらいに分けて続きます

今度こそこれで終わりのはず……