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Last-modified: 2013-11-06 (水) 22:36:39

361 :幼女の旗の下に:2010/11/13(土) 22:00:24 ID:q4cQ5eF4

280

3 緑葉を主力に潜入する 極秘裏に身柄を取り戻すのだ!ジャファルと緑葉の力に期待するぞ!

エフラム 「やはり極秘裏に身柄を奪回するのが現実的だろう。式はもうすぐなのだしな。のんびりはしておれん」
リーフ  「だね。それじゃあ皆に召集をかけるよ。そちらからもジャファルさんを貸してもらうね」
エフラム 「うむわかった。それと俺も…」
リーフ  「パス、今回は控えていて」
エフラム 「なに?なぜだ?」
当然自分自身でも参加するつもりでいた…だけにリーフの言葉には驚かざるをえない。

リーフ  「兄さんは腕は立つけど忍び込むような事には長けてないでしょ?」
エフラム 「む…しかしな。同胞が危険に身を晒しているというのに安全な場所にはおれん」
リーフ  「そう言うと思った。これはね、戦いよりも潜入工作の分野なんだ。敵に見つからない事が第一なの。
      殴りこみなら兄さんが出るのは当然だろうけど…この場合ははっきり言うと兄さんがいない方が成功率が高いんだ」
エフラム 「……むぅ…そうか…」
そこまで言われては我慢するよりない。

エフラム 「…俺にもなにかできることはないか? 潜入には参加せずとも手伝わずにはおれん」
リーフ  「んー……それじゃあ…最悪のケースを想定して一つ頼みたい事があるんだけど…」

その時廊下の向こうから誰か歩いてきた。
二人は早々に密談を打ち切る。
最後にリーフが小声で囁きかける。
リーフ  「今夜緑葉のアジトで最終打ち合わせを行い決行は明日の夜に…」
エフラム 「うむ」
足音が近づく。
廊下の角から顔を出したのは末の弟だった。
ロイ   「あれ? 兄さんたちトイレじゃなかったの?」
リーフ  「トイレはすましてきたけど屋敷が広くて迷っちゃってね。
      サロンに連れてってくれる?」
ロイ   「わかったよ。招待状の封筒詰めやってるから手伝ってね」
エフラム 「わかった」

まったく動じずにさらりと嘘が出る。
リーフの口調は事情を知らなければ誰も疑う者はないほどに自然なものだった。
エフラム (さすがに緑葉の首領だ…こういった事には長けているな…家族にも悟られずに活動してきただけはある)

362 :幼女の旗の下に:2010/11/13(土) 22:01:29 ID:q4cQ5eF4

281

その夜…緑葉と鉄血幼女守護同盟の主要幹部はリフィスの酒場に集合した。
目的はシグルドの友人キュアンをレイドリックの館から救出する事にある。

リーフ  「詳しい事ははしょるけど北トラキア貴族のキュアンさんが前回の事件のドサクサに
      政敵のレイドリックに捕らわれている。今回のミッションはその救出が目的ね。
      潜入メンバーは緑葉とジャファルさん、詳細はこれから詰めるけど」
エフラム 「俺たちの私事ではあるが…キュアン殿は俺たちの兄シグルドの友人であり兄の結婚式には是非出席してもらいたい。
      そのためにもすまんが力を貸してほしい」

早速緑葉のメンバーから声があがる。
リフィス 「報酬は? 命を張るのは俺らなんだ。ミッション成功の収入はどの辺から期待すればいい?」
ライナス 「おい、さっそく金の話題かよ!? てめえにゃ義侠心ってもんがねぇのか!」
不機嫌に声を荒げるライナスをオグマが止めに入る。
オグマ  「よせ。彼らにとっては無縁の他人のために命を張れと言われてるんだ。報酬の確約は当然だろう」
リカード 「そういうこったね。むしろ無償の善意なんてもんのほうがうさんくさいでしょ。
      この辺はきっちりしといたほうがお互い信頼関係を保てると思うけど?」
エフラム 「ライナス、実際危険に踏み込むのは彼らなんだ。なるべく要求には応じるべきだろう」
ライナス 「…けっ」
不承不承ながら矛を収めて黙りこむライナスを一瞥するとリーフが口を開く。
リーフ  「収入はまずレイドリックの館の財宝。
      副次的な部分になるけどキュアンさん救出の際に余力があったら可能な限り盗み出すよ。
      それとレンスターからの礼金も期待していい。今回は僕もみんなに無理を頼んでる。だから僕の取り分はいらない。
      皆で山分けしてほしい」

無理を頼んでる…その一言にチャドとキャスの表情が強張る。
おそらくレイドリックの屋敷にはあの男…流星剣と月光剣を巧みに操る猛者ガルザスがいるだろう…
トラキアの路地裏で戦ったときは二人がかりで一矢すら報いられず瞬く間に打ち倒された。
意識が途切れる際にみたあの男は大剣を担ぎ巨人めいて見えたものだ…

2人に視線を向けたリーフは2人が何を考えているかその表情から察した。
リーフ  「そう、間違いなく屋敷にはガルザスがいる。危険な相手さ。
      戦わずにやり過ごすつもりだけど…上手くいかないかもしれない。
      だから無理に加わってくれとは言わないよ。降りたい者は遠慮なく降りてくれていい」
チャド  「降りてぇよ。降りてぇけど…ガキどものために金がいるんだ。俺はやるぜ」
キャス  「まぁ…あの時護衛失敗したのはアタシらだし、その始末はつけさせてもらうよ。
      あの野郎とまたやりあうのだけはゴメンだけど」

…チャドはルセアの孤児院の出だ…経営は苦しく多額の借金を抱えている。
ギースのアジトから奪った財宝の取り分で孤児院が人手に渡る事はどうにか免れたがまだ完済までは遠い。

363 :幼女の旗の下に:2010/11/13(土) 22:02:17 ID:q4cQ5eF4

282

リーフ  「それじゃ具体的な部分に入ろうか…ジャファルさんの潜入調査で屋敷の構造は把握してる。
      6箇所の魔方陣を同時に踏めば牢の結界は破れるんだ。屋敷外にサラは待機。
      結界解除と同時にキュアンさんをレスキューで救出」
サラ   「ええ了解ね」
リーフ  「潜入は二人一組、組み合わせは護衛役の僕と鍵開け役のリカード、支援のあるチャドとキャス、
      ジャファルさんとリフィス、サザさんとパティ、ヘザーさんとコーマ、ジュリアンさんとデイジーね」
ヘザー  「異議あり!なんで私が男と組むのよ!」
リーフ  「女の子と組ませたらセクハラして仕事になんないでしょ」
ヘザー  「セクハラじゃないわ。これはスキンシップ…」
リーフ  「はいはい、それじゃあ次だけど…これ以上人数を増やすと発見のリスクが高くなるから
      兄さんの党の人らはサラと一緒に外部待機ね。各自戦闘は極力避けて…最悪でも警報を鳴らされるような事だけは回避してほしい。
      特にガルザスは避けるように。だけど物事は最悪のケースを想定しなきゃならない」
カナス  「道理ですね。リスクには対処策を考えておかなくては」
リーフ  「そこで万一衛兵…特にガルザスに見つかって自力で切り抜けられないような場合は…
      無線を用意したからそれで外部待機組に連絡。サラのワープで増援を投入する。
      外部待機は兄さんとロイドさん、ライナスさん、オグマさん、カナスさん、シャナンさん、ターナさん、ディークさん、
      誰を投入するかは兄さんの判断で頼むよ。複数の箇所でピンチになる可能性もあるから常に控えは残しておいてね」
エフラム 「わかった。しかし段取りも慣れたものだな…」
リーフ  「僕も色々やってたのさ」

こうして計画はまとまった。
翌日の決行に向けて準備する面々を見やりながらオグマは一人呟く。
オグマ  「まったく…よその党の党首…選挙で敵になる人間を助けにいくってんだからうちの党首も人がいい」
ロイド  「お前反対しなかったじゃねぇか」
オグマ  「反対して聞くと思うか?それに…レイドリックを潰した方が牙の件には+が大きいだろうよ」
ロイド  「だな。レイドリックとの繋がりの一件をソーニャ追い落としのネタにできりゃあいいんだが…」
オグマ  「お前の親父の話か?牙の掌握はどうなんだ?」
ロイド  「ヴァイダが抜けてソーニャ派幹部が減った…とはいってもそりゃ計算のうちだからな。
      レイドリックのパイプで元老院とのコネが強固になりゃ切り崩しは難しいだろうな」
オグマ  「それはわかる。だがよキュアン救出が成功すりゃレイドリックは罪に問われるだろ。
      そこから尻尾を掴んで…と行きたいもんだな…サツの中に強力なコネがありゃいいんだが
      俺たちはむしろサツにマークされてるからな」
ロイド  「まったくひでぇ冤罪だ。善良な幼女の守護者を犯罪者みてぇに扱いやがって」
シャナン 「うむ、冤罪がまかり通るような世の中は正さねばならんな」
オグマ  「お、いいこというな。その通りだ」
ディーク 「そのためにも頑張ろうぜ!」

こうして夜は更けていく…

364 :幼女の旗の下に:2010/11/13(土) 22:03:01 ID:q4cQ5eF4

283

贅を尽くした一室で黒衣の男爵は客人を迎えていた。
上等のコニャックを開けて出迎えた彼らは男爵の悪友たちである。
ブラムセル「ふぉふぉふぉ…最近はよいことずくめのようじゃのう?」
レイドリック「ぬふふふ…わかるかの?」
ゲブ   「俺たちもあやかりたいぜぇ」
レイドリック「くっくっく…任せておけい。主らに北トラキア党の重職についてもらえばキュアン派はおしまいじゃて…
       後は元老党とのコネで富も名誉も思いのままじゃ…」
ブラムセル「その暁には踊り子さんをいっぱい侍らして大宴会といきたいもんじゃな、じゅるっ」

彼らが酒を飲みながら脂ぎった話に興じるのをガルザスは壁によりかかって眺めていた。
ガルザス 「……」
レイドリック「おぉい!貴様もこっちで一杯やらぬか!キュアンめの捕縛の立役者じゃ。
       武勇伝でも酒の肴に語って聞かせてもらえんか?」
ガルザス 「……俺は下戸だ…酒は飲めん…」
レイドリック「なんじゃつまらんのう」
ガルザス 「…少し館を見回ってくる…」
礼すらせずに大男は部屋を出て行った。
どこか白けた雰囲気がその場に漂う。

レイドリック「ああすまんな。腕は立つがどうも愛想のない男でな。
       さ、気にせずどんどん飲んでくれ。コニャックの次はリキュールや焼酎もあるでな」
慌てて場を取り繕った男爵だが不機嫌な表情は隠しようもなかった。

365 :幼女の旗の下に:2010/11/13(土) 22:04:28 ID:q4cQ5eF4

284

屋敷の廊下を進みながらガルザスは周囲に気を配る。
レイドリックからはかなりの金額を貰っている。
好きにはなれない相手だが仕事は仕事だ。用心棒として気は抜かない。      
屋内にも屋外にも少なくない数の私兵がおり警戒は厳重だ。
裏を返すとそれだけ敵が多いのだろう。
注意深く進んでいくと…廊下の片隅にダンボール箱が置かれていた…それも二つ…
ガルザス 「……」
視線を向ける。高級バレンシア蜜柑と書かれている。
生産農家の氏名まで書いてあるのは最近の食の安全がどうとかいうご時勢に配慮してだろうか。
ちなみに氏名のところにはアルムと書かれていたがガルザスにとっては知らない名だしどうでもいい。

ただのダンボール…だが…実はその中身は蜜柑ではなかった…
サザ  (……き…気付かれたんよ?)
パティ (げげげ…)
ダンボールに身を隠していたのはサザとパティ…密集を避け別経路から屋敷内に進入した6組のうちの一つだった…
サザは懸命に思考を巡らす…

サザ  (ジャファルの奴何がダンボールで潜入すれば見つからないなんよ…思いっきりやばいんよ…
     こうなったらエフラム達を増援に呼んで…ああいやいや…まだ気付かれたとは限らないんよ…)

下手に仲間を呼んでは返ってやぶ蛇かもしれない…
相方のパティの考えも知りたいがもはや声を出せる状況にもない。
今のところ側にはガルザス以外の敵はいないようだが…

サザ  (れ…冷静に判断するんよ…前回の大恥をそそいで緑風の素晴らしさかっこよさを示すチャンス…
     今度こそきっちり活躍するんよ…)

背筋が冷える…サザは頭をフル回転してこの窮地をどう乗り切るか必死に考えた。
その結果は…

続く

1 増援を呼ぶ          助けてほしいんよ!誰か送ってコイツをやっつけてほしいんよ!
2 奇襲をかける         相手はまだ俺たちに気付いてないんよ…すばやく不意打ちして気絶させれば潜入はバレないんよ
3 何もしない           静かに…ひたすら息を殺してやりすごすんよ…
4 神を呪う            もう俺は神は信じないんよ、祈るより逆の事してやるんよ
5 猫の鳴き真似をする     にゃ~なんよ。これでヤツは猫と思って立ち去るんよ
6 パティのダンボールをつつく 声が使えないならジェスチャーで相談するんよ
7 短剣を投げる          相手が向こうを向いたすきに…飛び道具でやっつけるんよ

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