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Last-modified: 2013-11-06 (水) 23:28:34

548 :世界おねいさん短編集その壱 婦警な姉と警官な弟:2010/11/22(月) 02:27:07 ID:FGmIV13o

ツァイス「まていーっ!!!」

リーフ「待てと言われて待つ盗賊がいるかーっ!」

俺は追いはぎをしていた少年を発見し追っている。
中々逃げ足の速いヤツだが…バカめ!その先は袋小路だ!
ツァイス「逃がさんぞ!大人しく…」
リーフ「やなこったですよヒャッハーっ!!!」
ツァイス「あっ!?」

な…なんてやつだ…マンホールに飛び込みやがった!?
慌てて後を追った俺だが…奴はすでに下水を泳ぎ去った後だった…
下手すりゃ病気になるぞ…タフというか雑草みたいなヤツだ…これは一筋縄ではいかないな。

ツァイス「くそっ!」
署に戻った俺は犯人を取り逃がした悔しさからゴミ箱を蹴飛ばす。
我ながらガキくさいが…どうにもムシャクシャしてしょうがなかった。
ミレディ「何してるのよみっともない…」
ツァイス「うわっ姉さん!?」
ミレディ「苛立ってるわねぇ…何があったか話してみなさいな」
なんだか心中を見透かされてるようで悔しい…いや、俺がわかりやすいんだろうな。
俺はかいつまんで事情を説明した。

ツァイス「…というわけで取り逃がしてしまったんだ…」
ミレディ「…あの子も懲りないわね…何度逮捕されたら気が済むのかしら…はぁ…」
ツァイス「あそこの兄弟はな…ロリコンはいるし町は壊すしな…いい人もいるし活躍もするけど…」
ミレディ「でもそれはそれこれはこれ。いいわ、リーフの逮捕は私が手伝ってあげる」
その言葉に…俺は少しだけ釈然としないものを感じた。
俺はそんなに警官として頼りないだろうか?
ツァイス「いいよ姉さん…あのガキくらい俺一人でなんとかするって」
ミレディ「いいえ、あれはあれでしたたかでやっかいな相手よ。あなた一人じゃ荷が重いわ」
ツァイス「けどなぁ…婦警があのガキをとっ捕まえるったら囮捜査になるわけで…ね、姉さんはゲイルさんがいるだろ?」
そう…ヤツを捕らえるときは毎回ブルーニャ警部か姉さんが囮捜査をしてる…この場合の検挙率は100%だ。
だけどな…やっぱり恋人のいる若い女性がルパンダイブとかされるのは抵抗あると思うんだ…仕事とは言ってもな。

ミレディ「あら心配してくれてるの?優しいんだ」
ツァイス「…からかうなよ…とにかくこの件は俺の仕事だ」
ミレディ「姉としては複雑だわ…ずっと私の後をおっかけてた弟がいっぱしの警官の顔しちゃって。
     嬉しいやら寂しいやら」
ツァイス「だからからかうなっつの…姉さんがそんな調子だから俺、署内で同僚からシスコン扱いなんだぞ…」
ミレディ「…ふふ…そうねぇ…私もそろそろ弟離れしないとね」
ツァイス「いきなりシリアスな表情浮かべないでくれ…反応に困る」
ミレディ「それじゃ私の手がいらないって事をきっちり示して来なさい。ちゃっちゃとリーフを逮捕してくるのよ」
ツァイス「おう!」

……再び張り込みを開始した俺…今回は一計を案じた。
ヤツの出没しそうな路上に罠を仕掛けたんだ。
そう、オリを仕掛け中にエサを配置する。それをとりに行くと入り口が閉って閉じ込められるというわけだ。
獣とかにつかう罠だな。
ちなみにエサは姉さんの水着写真…許してくれ姉さん。
ヤツのセクハラくさいやらしい視線に姉さんの写真を晒すのは抵抗があるが
ヤツを捕らえるための罠に俺はこれ以上の物を思いつかなかったんだ。
もちろんヤツを捕らえたら没収する。姉さんをヤツにやらしい目で見させるわけにはいかないからな。

罠を仕掛けて3秒後…俺はついに自分自身の手でリーフを逮捕した…
リーフ「罠には気付いていたんだーーーーっ!でも身体が止まらなかったんだーーーーっ!」
ツァイス「やかましいこの盗人!」

リーフを署まで連行しながら俺の胸は誇らしさでいっぱいだった。これで俺も一人前の警官だ!
姉さんの後をついてまわってただけの男じゃないって姉さんに示せる!みたか同僚ども!俺はシスコン野郎じゃねぇ!
後にその発想自体がシスコンくさいと仲間に言われたのはまた別の話……

549 :世界おねいさん短編集その弐 恋敵:2010/11/22(月) 02:28:08 ID:FGmIV13o

ああほかほかご飯が美味しいなぁ…今日の食事当番は姉さんだからお箸がすすむわ。

パオラ姉さんの野菜炒めは絶品ね!
私、カチュアは呑気にそんな事を考えながらお夕飯を楽しんでいた。
向かいの席にはパオラ姉さん、左側にはエストが座っている。
快活なエストがマシンガントークをかまし、姉さんがおっとりニコニコ聞き手を勤める。
それに時折私が突っ込みを入れる。それが我が家のいつもの光景。
…なんだけど…まずったわね…私がつい野菜炒めに夢中になってる間に食卓には怪しい空気が立ち込めていた…

エストは先ほどまでと変わらずケラケラ笑いながらその日あった楽しい事をしゃべってる。
パオラ姉さんもニコニコ…そう表情はニコニコしてるんだけど…目が笑ってない…エストは空気読めない娘だから気付いてないけど…
エスト「それでねその時アベルったら私の手なんか握っちゃってさ~きゃぁ~~~♪」
パオラ「………ふふふふ…それはよかったわねエスト…………」
やっぱりその話題かい!?
いつもなら私がそれとなく話を逸らすんだけど…どうも手遅れっぽい…
そう、妹のエストは同じ学校のアベルって先輩と付き合ってるんだけど…パオラ姉さんもその人が好きなわけで…ちょっとややこしいことになってるというか…はぁ…
と…とりあえず話題を変えよう…ちょっと強引でも…
カチュア「もぅエスト、ノロケはその辺にしときなさい。それよりも期末試験近いでしょ。勉強進んでるの?」
エスト「あぅ~やーな事思い出させないでよ~~そんな事よか彼氏がどーとか言ってた方が楽しいじゃんよー
    そーいや姉さんたちは彼氏作らないの?」
……大きなお世話じゃこんガキャ…パオラ姉さんじゃないけど一瞬殺意沸いた……
そう…私は年齢=彼氏いない暦…子供のころから私が好きになる人は必ず他の娘の事が好きなのよねクスン…
今はマルス様…なんだけどこれまたすでに彼女持ちでしたとさ…ふふふ…自嘲するしかないわ…
そしてパオラ姉さん…アレだけ大人っていうか精神的にしっかりした姉さんの事だから昔は誰かと付き合った経験もある…と思う…多分…
姉さんその辺ガード固いからはっきりした事は言えないけど…
でも今はアベルさんに片思い中、エストとのやりとりでなんとなく察してしまった。正直気付きたくなかったけど…

パオラ「そうね。いい人がいれば考えるかもね」
内心の苛立ちをまったく表情に出さない辺り姉さんは大人だなぁと思う…けど空気が重いのはどうしようもなくて…
私は…

550 :世界おねいさん短編集その弐 恋敵:2010/11/22(月) 02:28:53 ID:FGmIV13o

カチュア「マルスさま~~シーダさま~~」

私は翌日学校でこの人達に相談していた。他に頼りになる人が思いつかなかったのだ。
シーダ「姉と妹の微妙な空気に板ばさみなのね。愛とは時に人を傷つけるもの。でも人は愛を求めて寄り添おうとして…
    ハリネズミのジレンマね」
マルス「そうだっけ?」
カチュア「ううう…私はどうすればいいんでしょう…」
マルス「どうと言われてもねぇ…人の色恋の揉め事なんてぶっちゃけ知ったこっちゃあいたたたたた!シーダ背中抓ってるあたたたたた!?」
シーダ「もうマルス様。その発言には愛が足りませんよ?」
そう…マルス様はシーダ様にはとてもお優しいけど他にはだいたいこんな感じ。
アリティア騎士団の人たちへの人使いは荒いしえげつないことばっかしてるし、カダインでシスター狩りしたり
グラでグラ兵狩りしたりアドリアで狼騎士団狩りしたり鬼畜もいいとこだし、私にも優しくしてくれたことなんてないけど…
それでも好きなものはしょうがないというか…冷たくされるとますます絶対振り向かせる!…って気持ちが強くなるというか…
なんでこんな鬼畜な人好きになっちゃったんだろ…ちょ…ちょっとMみたいじゃない私……

などとゆー私の葛藤をしらないシーダ様はマルス様を正座させて説教してる…マルス様もこの人には頭が上がらないのよね…
シーダ「愛は尊いものであり人が愛に傷つくならそれを救うのが愛を信じる者の道です。だからどうにかしてあげなさい」
マルス「わ…わかったよぅ…参ったな…カチュア」
カチュア「はいっ」
マルス「要はパオラにも彼氏ができれば万事解決だろう?」
カチュア「そ…そりゃそーですけど…姉さんの好きな人がアベルさんだから困ってるわけで…」
マルス「簡単簡単…ちょっとまっててね」
そう言ってマルス様はケータイで電話を始めました…

そしてまもなく……
チェイニー「やほー」
マルス「そんじゃさっそく頼むよ」
チェイニー「どろんぱ!」
もくもくと煙が立ちこめ…その後に姿を現したのはアベルさんに化けたチェイニー…
カチュア「あ…あのーマルス様これは…」
マルス「見ての通りさ。二人いればパオラとエストで一人ずつ。喧嘩もないさ」

……当然なんの解決にもなりませんでした……

エスト「そいでさー部活の時間にアベ…」
カチュア「おっとお手が滑ったあ!!!」
私の手からすっぽぬけた茶碗がエストに直撃!
エスト「ふぎゃーーーっ!!!いった~~いっ!なにすんのよねーさん!」
カチュア「ごめんごめん私ってばドジねっ♪」
パオラ「もう気を付けないとだめよ?」

こうして今日も私は家の空気を守る事に精を出している…
神様早くこの人間関係がどーにかなりますよーに……

551 :世界おねいさん短編集その参 女帝?:2010/11/22(月) 02:29:54 ID:FGmIV13o

やあ皆!

おねいさんネタといえば欠かせないのがこの僕リーフだね!
僕はとっても素晴らしいおねいさんに出会ったんだ…この胸の高鳴りがモニターの前の君たちにもわかるかな?
同好の士は手を上げておねいさんへの愛を叫んで欲しい。
叫べば叫んだだけ自分がより深くおねいさんを愛してると感じられるよ。

おっと前置きが長くなったね。
僕はここ最近放課後の度にリキア商事のビルに出入りしてる。
何故かって?バイトだよ。ビル掃除時給600G。
こないだツァイスに逮捕されてから追いはぎがしずらくなったからね。しょうがないさ。

そしてここで…運命の出会いをしてしまったんだ!!!
僕は今ビルの窓拭きをしてる…上からクレーンでゴンドラを下ろしてやるアレね。
特に12Fの窓は時間をかけて丁寧に丁寧に磨くんだ…ここには僕が出会った素晴らしいおねいさんがいるんだ…
一秒でも長くそのそのおねいさんを見つめてたい…ああ…おねいさん…

そのおねいさんは窓の側の割と立派なデスクで仕事してる。
よーく目を凝らすとイサドラ課長ってプレートがかかってるね。多分だけどシグルド兄さんよりは年下っぽいのに凄いなあ。
バリバリ仕事のできる優秀なおねいさんなんだね…あ、部下の人となにか話をしてるみたい。窓の外だからわからないけど…
ちょっと表情が厳しい…叱ってるのかな?
いいなぁ……僕もあんなおねいさんにしかられてみてぇ…イサドラ課長…

~ リーフ妄想中 ~

イサドラ「リーフ君…この資料はなにかしら?」
リーフ「はい!課長のご命令どおり明日の会議のために…」
イサドラ「…そんなわかりきったことを聞いてるんじゃないのよ。相変わらず頭の回転が鈍いわね。
     こんな裏づけのないデータで作った資料を会議に持っていけると思って?
     明日の会議には社長や重役も出席するというのに貴方は私に恥をかかせたいの?」
…なんて風に僕を冷たい目で一瞥するとイサドラさんは資料を床に投げ捨てるんだ…
それを惨めに拾う僕…ゴミでも見るかのように見下ろすイサドラさん…冷たい罵声が僕の心を抉って…ああ…なな…
なんて素晴らしいシチュエーションなんだ!ブバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

~ オフィス内 ~

イサドラ「……というわけでこの資料は作り直して。明日の朝までお願い」
ハーケン「はい課長」
イサドラ(…フフ…早く出世してよね。貴方を部下として公平に扱うのは大変なのよ?つい私情を入れたくなっちゃうもの)
ハーケン(君に追いつくのは簡単ではなさそうだがな…ん?)
イサドラ「どうしたの?」
ハーケン「…いや…ま…窓ガラスが真っ赤に…」
イサドラ「な…なによこれーーーーーーっ!?」

サラ「それでバイトクビになったのね?」
リーフ「仕方なかったんだぁーーーっ!男は妄想とともに鼻血を拭く生き物なんだあぁああああああああ!!!!!!!」
ナンナ「まあそれはそれとして」
ミランダ「黄金パターンは大事にしないとね」
ティニー「王道万歳」
リーフ「逝ってきます……」

嗚呼…まさか僕の恋がこんな事で終わるなんて…いいや!
僕は諦めないぞ!またイサドラさんと愛を語り合うために再び立ち上がって…
サラ「一度も語り合ったことなんてないでしょ」
リーフ「人のモノローグ読まないでよコノヒトデナシー」

終わり

ユミナ編シレーネ編ルキノ編ミカヤ編は次回投下する