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Last-modified: 2011-06-06 (月) 21:46:50

130 名前: 幼女の旗の下に [sage] 投稿日: 2011/01/17(月) 14:57:55 ID:Na3aO5fH
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3 漆黒の騎士を尾行する  いったいこんなとこで何やってるんよ…怪しいんよ…アイツは外見も怪しいんよ…

サザ   「アイツは全身怪しさの塊なんよ。存在自体が怪しいんよ。アイツをツケてみるんよ」

気配を殺して漆黒の後を追ってみる。
だがサザは重大な事を失念していた。漆黒の周囲に魔方陣のような物が浮かぶ。

サザ   「ちょっ…横着はよくないんよ!?たまには歩かないと健康によくないんよっ!!!」
だが時すでに遅し、漆黒の騎士は転移の粉を使って姿を消してしまった。
こうしてサザはリーフよりの指令、セフェランの協力者との接触に失敗したのである。
悄然として帰還したサザを迎えたのはリーフの溜息だった。
リーフ  「もうセフェラン前党首の釈放まで時間もないしそちらのラインは諦めるよ。
      あ、サザはしばらく密偵の仕事は休んでていいよ。リフィスの酒場の皿洗いでもしてて」
サザ   「…………イエッサーなんよ…ボス…………」
がっくりと項垂れたサザは皿洗いや酔っ払いの世話に四苦八苦するはめになる。
マカロフ 「おえぇぇぇぇぇぇぇぇ………」
サザ   「ちょ…お客さんっ!トイレはあっちなんよっ!?そこまで我慢するんよ!掃除するのは俺なんよっ!?」

……紋章町某所……
カーテンの敷かれた暗い室内……
一人の女が椅子に腰を下ろしており時計に視線を向けた。
その時、部屋の中心に魔方陣が光輝き漆黒の騎士が姿を現す。
シグルーン「お帰りなさいませ漆黒の騎士殿。それともカドール伯とお呼びすべきでしょうか?」
漆黒の騎士「好きにせよ」
シグルーン「首尾は?」
漆黒の騎士「軽く脅しはかけてきたが素直に聞きはすまい。軍部支配と牙の掌握で随分自信をつけたと見えるな」
シグルーン「……護衛の計画は万全を期したつもりです。聖天馬騎士団の中でも精鋭を…それでいて思想的にも身上的にも問題の無い者を選りすぐりました」
漆黒の騎士「間違いはないか?」
シグルーン「内部査察は徹底しました。少しでも元老党と接触が疑われた者は私の権限で全て地方に左遷しています」
漆黒の騎士「うむ、ならよい。二日後…カントゥスの刑務所で身柄を引き受けたらワープで極秘裏に市内に移送する。
      サナキ社長にもすでに前党首の意思は伝えてあるな?」
シグルーン「万事滞りなく…3年の雌伏を経てようやくこの時が参りましたと思うと感慨深い物がありますね」
漆黒の騎士「感慨に耽るのは全てが終わって後の事だ。当日の護衛には私も加わる」
シグルーン「まさに千人の味方を得た思いですわ」
漆黒の騎士「だが油断はならん…ルカンとて表立って事を荒げはすまいが…そのための牙だ」

それから二~三打ち合わせをして漆黒の騎士は再び姿を消す。
それを見送ったシグルーンは一人呟いた。
シグルーン「まもなく…まもなくですサナキ様…誰もが貴女様をうやうやしく仰ぎ見る事でしょう。
       気高く尊い我が主……」
131 名前: 幼女の旗の下に [sage] 投稿日: 2011/01/17(月) 14:58:38 ID:Na3aO5fH
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サラの魅惑スマイルを5割方まで使いこなしたエフラムはエリックの判断でようやく業務に立てるようになった。
お客の御用聞きや荷物運びなどをして時にはチップも頂ける。
そこそこの収入が得られる事はエフラムにとっても嬉しい。
家計の助けになるし自身の貯金も溜まる。
だが当然ながら苦労もある。エレブグランドホテルは一流所でありお客も上級貴族が多いので礼法には気を使う。
これがなかなか肩が凝る。
それにある時などサラ直伝の接客スマイルが会心の出来栄えで内心「よし!」と思ったのも束の間、
その時のお客様であった15歳は年上の貴族の貴婦人を魅了してしまったのか色目を使われてしまったこともあった。
内心焦りまくりどうにかなだめて逃げ出したものの正直恐怖すら覚えた。
エフラム 「…こいつは…完全に使いこなした場合100%の力で使うのは危険すぎる…サラの奴あれでも抑えているんだろうな…」
ある程度慣れてくると今度はほどよく抑えたスマイルがよいとの結論に至る。
どうやら60%程度が理想のようだ。

従業員の休憩室でそんな事を考えていると内線電話が鳴り響いた。
エフラム 「はい、エフラムです」
ダーレン 『おお党首、調度よかった。貴方に外線で事務所よりお電話です』
エフラム 「オーナー…今の私は平の従業員です。エフラムとお呼び願いたい」
ダーレン 『そ…そうじゃったな。それでは変わる』
ロイド  『おうエフラムか』
エフラム 「職場まで電話してくるとは急な用事か?」
ロイド  『そんなとこだ。つーか携帯くらい持てよ』
エフラム 「どうもああいう物は苦手だ…
      今日びの若い連中がそこかしこでメールだなんだとカチャカチャやってるのを見るとな…好きになれん」
ロイド  『社会人だろうが、いつでも連絡つくようにしとかねぇと』
エフラム 「そうだな…やむをえん今度買うとしよう。それでなんだ?」
ロイド  『ソーニャの件だ。いよいよ動くぞ。
      2日以内に戦闘配置が行われる。恐らくルカンの意を受けての事だが目標は元老党前党首セフェラン』
エフラム 「ほう?」
ロイド  『俺たちはそれを一網打尽にして牙の支配権を奪回するつもりだ。ついては…』
エフラム 「わかってる。セフェラン殿には刑務所で助けられた恩を返さねばな。
      リーフも協力しているんだろう、暗殺奇襲の類には俺は疎い。
      段取りはお前たちに頼む。戦いの前には俺に連絡しろ。すぐ駆けつける」
ロイド  『おう頼む。今日の仕事終わったらさっさと携帯を買いに行け。
      緊急の連絡がつかんと困る』
エフラム 「わかった」

ロイドとの電話を終えるとエフラムは考え込んだ。
ぶっちゃけ若者文化にまるっきし疎い彼は携帯の事なぞ何一つわからん。
別に若者文化でもなく今では老若男女が使っている物だがエフラムの頭の中のイメージでは若者文化に位置付けられていた。

エフラム 「うむむ…正直機種とかよくわからんしなあ…
      誰か詳しそうな奴に頼んで買い物に付き合ってもらうか」

続く