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Last-modified: 2011-06-06 (月) 21:26:22

8 名前: ミランダ補完計画・四人娘の悪戦苦闘 その9 [sage] 投稿日: 2011/01/01(土) 01:45:51 ID:NKzzK67e

ミランダ「……と、いうわけなんです」
セーラ「というわけだったのね……なんて言うか、どっかで聞いたような話だわね」
ドロシー「ですね……チクチクと刺さってくるというか」
ミランダ「お二人から見て、あたしってどう思います? やっぱり普通の女の子にすら見えないんでしょうか……
     もうなんか、全然自信なくなってきちゃって……あたしどうしたら……」
ドロシー「うーん、なるほど……
     例えばですけど……言っときますけど、例えばですからね? ミランダさんのお役に立つ話かどうかは分かりませんから」
ミランダ「……?」
ドロシー「実は、私もですね……昔、似たような理由で悩んだことがあったんですよ。
     ほら私、顔がこんな地味顔でしょう? 公式サイトで容姿が十人並みとか書かれた子って後にも先にも私だけですからね」
セーラ「メタ発言自重。ていうか、この話そればっかじゃない」
ドロシー「何かひとつコンプレックスがあると、他のことにも自信が持てなくなっちゃったりするんですよ。
     だからその時は、あまり明るい子じゃなかったですね。
     で、話は変わるんですけど……私の友達に、貴族の家のお嬢さんがいるんですよ。
     私の一番の仲良しで、今でも親しくお付き合いさせてもらってるんですけど。
     その人が私を少しでも女の子っぽくしてあげようと、色々考えたり提案したりしてくれたんです。
     でも……どれも上手くいかなかったんですよね」
ミランダ「…………」
ドロシー「私ももう、やめようって言ったんです。
     あんまり付き合わせるのも悪いし、元の顔がこんなじゃ何やってもダメなんじゃないかって思って。
     そしたら彼女……それまではいつも笑顔で接してくれてたのが、急にすごい怖い顔したんです。で言ったんです。
     『それですわ、それが一番いけませんのよ!』って」
ミランダ「!」
ドロシー「『一人前のレディとは、自分に自信を持っているもの。どうせ自分はと背中を丸めているものではありません!
      どんなに綺麗に着飾ってもマナーを知り尽くしていても、それだけでは決して本物のレディとは言えないのです。
      大事なのは気持ちですわ、自分は素敵な女性だと心から信じませんと! 自分で自分の価値を低くしてはいけません!』
     そう説教されちゃいました」
ミランダ「…………。一人前の、レディ……」

 『私はそういうのはあまりおすすめ出来ないわね。
  言葉は内面が出やすいし、外面だけ取り繕っても肝心な時にボロが出るものだから』

ドロシー「『自信を持って、あなたは必ず立派なレディになれますわ』……最後にいつもの笑顔でそう励ましてくれたんです。
     あれから何年も経って、未だに一人前のレディになれてるとは思ってませんけど……
     少なくとも、胸を張って毎日過ごせるようにはなりましたね。ほんと、私にはもったいない友人です」
ミランダ「…………」
セーラ「ちょっともう、何なのよドロシーったら? 急にマジ話始めちゃって。
    んなことしたらあたしも何かいいこと言わないと、ただのアホの子みたいに見られちゃうじゃないの」
ドロシー「それは大丈夫ですよ、そのままでもセーラさんは充分アホの子ですから」
セーラ「ムカツク……いーわ上等よ、ならとっときのエピソード暴露しちゃおうじゃないの。
    あたしもね……こう見えて実は貴族ん家のお嬢様なのよ。エトルリア方面の超・超名家のね」
ミランダ(えっと……本当にそうなんですか? 全然そんな雰囲気ないんですけど)ボソボソ
ドロシー(私も実はよく知らないんですよ……社内じゃ七不思議のひとつ扱いされてますけど)ボソボソ
セーラ「そこ何ボソボソしてんのよ? まいいけど。
    で、血筋はすごくいいんだけど……どういう経緯か分からないけど、生まれてすぐ孤児院に預けられちゃって。
    天涯孤独ってやつね。身分を示すものも何もないし、あたしは貴族だって言っても誰も信用なんかしてくれない。
    逆にいじめられてばっかり……思い出しても酷い頃だったわ」
ミランダ「…………」
セーラ「心底世の中イヤになったわよ。自分がどこの誰なのか、何を支えに生きてけばいいのかも分からなくなった。
    で、これまた話が飛ぶんだけど……実はそれが、あたしがアナウンサーになった理由でもあるのよね」
9 名前: ミランダ補完計画・四人娘の悪戦苦闘 その10 [sage] 投稿日: 2011/01/01(土) 01:56:54 ID:NKzzK67e
ミランダ「えっ? なんで、アナウンサーなんですか?」
セーラ「ほらアナウンサーって、テレビつけたら必ず見るじゃない。ニュースの時間とかにいつも顔出て名前も分かるでしょ?
    だから……あたしの両親も、きっとどっかであたしのこと見てくれる。こっちも無事に暮らしてることを知らせられる。
    『会えない理由があるかもしれないけど、娘はちゃんと元気に仕事してますよ』ってね!」
ミランダ「!」
セーラ「それ思いついてから、もう必死も必死ってくらい猛勉強して……んで今の仕事してるってわけ。
    ……ってなんか、ただ自分語りしただけになっちゃってるわね。え、えーと……
    まとにかく、つまんないことでグジグジ悩んだりしない!
    見てる人はちゃんと見てくれてるはずだし、ちゃんと毎日ご飯食べて前向きにやってきましょー! ってことよ。
    ……えっと、これでいいのかしら」
ミランダ「見てる人はちゃんと……見て……」

 『ミランダも水臭いですよー。始めからちゃんと相談してくれたら、こんなあれこれ回り道しないですんだんですよ?』
 『そうですよ、友達なんですから遠慮なく言ってくださいよ』

ドロシー「セーラさん……すごく、いいこと言うじゃないですか……グスッ」
セーラ「ちょ、なんで泣いてんのよ!?」
ドロシー「ごめんなさい、不覚にも涙が……
     まさかセーラさんが……自己中で女王様で歩く唯我独尊なセーラさんが、落ち込んでる人を励ますなんて……!
     セーラさんにも人間らしい美しい心があったんですね……どっかのエロ神父様にも聞かせてあげたいです」
セーラ「……それ、褒めてないわよね。99%罵詈雑言にしか聞こえないんだけど」
ミランダ「…………」ウルッ
セーラ「って、あんたまでまた!? な、なんか、変なこと言っちゃった……?」
ミランダ「ち、違うんです……!
     話を聞いてたら、あたし……色々大事なことを忘れてたような気がして……」
セーラ「かも知れないわね。ほら、窓の外! あれあんたの友達じゃないの?」
ミランダ「!」

ナンナ「女の子見ませんでした? 背格好は私と同じくらいで、髪は茶色で……」
ティニー「ナンナー! そっちは……見つかってないみたいですね」
サラ「家にはまだ帰ってないみたいだったわ。全くミランダは、どこまで人を心配させたら気がすむのよ……」
ナンナ「もう日も暮れてしまいますし、どうすれば……弱音吐いてちゃいけませんね、他にいそうな場所ってどこがありましたっけ……」

ミランダ「みんな……あたしのこと……」
ドロシー「あんな必死に探してくれて、いい友達持ってるじゃないですか」
セーラ「こんなとこでベソかいてる場合じゃないでしょ? ほらほら、さっさと行った!」
ミランダ「はい! あの、色々ありがとうございました!」

    「待ってみんなー! あたしは、あたしはここにいるわーーっ!」

10 名前: ミランダ補完計画・四人娘の悪戦苦闘 おまけ [sage] 投稿日: 2011/01/01(土) 02:05:22 ID:NKzzK67e

サラ「……とまぁ、取って付けたようにハッピーエンドに収まった訳だけど」
ナンナ「ミランダとセーラさん、似たところがあるせいか相性よさそうですね」
ドロシー「それがそうでもなさそうなんですよ……あれ見てください、あれ」

ミランダ「……不満よ、ものっすごく不満よ」
セーラ「何がよ? きれいに美しくまとまったのに」
ミランダ「なんであんた達が最後おいしいとこ持ってくのよ!! この話の主人公はあたしなのよ!?
     大体なんで、あんたが偉そうに上から目線でしゃべってんのよ!
     確かに原作じゃ年上だけど、それでもせいぜい2歳か3歳しか違わないはずでしょ!? 何様なのよあんた!?」
セーラ「だぁってあたし社会人だもーん。コンビニ前でたむろしてる中坊高坊どもと一緒にしてくれませんこと?」
ミランダ「なにが社会人よ、あんたが社会のスタンダードになったら世界の体制がブッ壊れるわ!
     それに何、貴族の出? それだってホントかどうか怪しいもんじゃない。
     どーせアレでしょ、腕に包帯巻いて『っは……しっ鎮まれ、あたしの貴族の血よ!』とかやってたんじゃないの?」
セーラ「 な ん で す っ て え え !?」ガタンッ

ティニー「何ですかこの同キャラ対戦」
サラ「似た者同士で噛み合うかと思ったら、同属嫌悪の方が強かったみたいね」
ドロシー「社会人なのにこういうレベルの口喧嘩するあたり、セーラさんの方が分が悪そうですけどね……」

ミランダ「あーもう付き合い切れない! もう帰るわ、あんたが頼んだジュース代いくらよ?」
セーラ「誰がいつおごってくれなんて頼んだのよ。あんたこそやせ我慢しないでいいのよ?」
ミランダ「あんたに恵んでもらう義理なんかありませんー! 自分の分払うお金くらいありますからー!」
セーラ「あんたのお金じゃなくて、あんたの親のお金でしょ? スネかじってるご身分で偉そうにしないでほしいわ」
ミランダ「そっちだって安月給なのに見栄張ってるだけの貧乏人じゃない! 家じゃジャージにカップ麺に決まってるわよ!」
セーラ「 な ん で す っ て え え !?  言わせておけばいい気になって、アルジローレの一発でもほしいみたいね!」
ミランダ「えー望むところよ、重たい光魔法よりこっちのトロンが速いでしょうけどね!」
エキドナ「やかましいいいいいい!! 喚くわ暴れるわ魔法ぶっ放そうとするわ、客がみんな逃げちゃったじゃないか!
     そんなにバカ騒ぎしたいなら出てってもらうよ、払いはワリカンでいいね! い い ね !?」
ミランダ「ごめんなさい……」
セーラ「すみません……」

サラ「『だめだこりゃ』って感じね」
ララム「というか、あんな本気で怒鳴ったエキドナさん初めて見ました」
ナンナ「仲良くなれそうだと思うんですけどね……」