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Last-modified: 2011-06-01 (水) 20:04:12

160 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2011/03/07(月) 06:11:53.14 ID:eAUzzlQV
最近サラが僕のことよりもエフラム兄さんのことばかり気にしている気がする。
お仕置きの回数も心なしか減っているし、僕の部屋の思春期男子特有のお宝もまだ残っている。
本来ならそれは喜ばしいことなのに…何だろう、この釈然としない気持ちは?
「それは兄様に嫉妬しているってことかしら?」
嫉妬…それはつまり僕はなんだかんだでサラのことも好きだと言うことか。
でも僕としてはナンナもミランダもサラもティニーも僕よりずっとマシな人と結婚してもらいたいんだけど。
「あら?それなら兄様はマシなのかしら?」
エフラム兄さんは自分の将来をある程度決めているし、僕なんかよりずっとマシだよ。
僕みたいに家族に隠れて犯罪行為をしている訳でもないし、まっすぐな性格だしね。
「なるほど、リーフもいろいろ考えてるのね」
……ところで、どうして口にすら出していないはずの気持ちを聞き取れるのかな?
「…秘密。じゃあね、今日はお仕置きはなし」
そう呟くとサラはリワープで部屋から去っていった。お仕置きはなしか…
やっぱりサラは変わったよ。エフラム兄さんがなんだかんだで真人間にしているんだろうか。
でもなんだろう…この気持ちは?やっぱり僕はエフラム兄さんに嫉妬しているのかな?

「とまあリーフがエフラム兄さんに嫉妬しているようですが?」
「俺に言われても…どうしろと?」
「いえいえ、エフラム兄さんがきちんとサラを選ぶならリーフも納得しますよ」
「…どうしてこうなった」
「お兄ちゃんはサラを選ぶんですか?…なら私は…」
「落ち着けミルラ。俺はまだ将来のことは決めてないし恋人など作れないぞ」
「…そ、そうですよね」

「最近リーフが元気ないのよね」
「リーフ様、学校でもどこか上の空ですよね」
「そういえばサラも最近あまりリーフのことを話さないわね」
「…そういえば今日はサラいないわね」
「さっき私の家に電話で風邪引いたから休むだそうよ?」
「ふーん、なら後でお土産持ってお見舞いに行く?」
「そうね、せっかくだしそうしましょうか」

「さてリーフ、愛しのサラは風邪で一人寂しく寝込んでいるそうだ」
「どうせエフラム兄さんが看病に行ったんでしょ?僕なんかが行く必要はないよ」
「ところが今日のエフラム兄さんはミルラちゃん達と出かけているんだ」
「…何でそんなことまでマルス兄さんは詳しいのさ?」
「気にするな、僕は気にしない。それよりどうするのかな?」
「…ま、たまには看病しに行くのもいいか。行ってくるよ」
「行ってらっしゃい」
161 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2011/03/07(月) 06:13:23.57 ID:eAUzzlQV
…誰もいない。熱のせいか思考はどんどん嫌な思い出ばかり思い出す。
そのせいかこのまま私は溶けてなくなる方がいいのではないかと錯覚してしまいそうになる。
「リーフ…兄様…」
痛む喉で助けを呟く。無駄だ、誰にも届く訳でもないとわかっているのに。
ふと顔に手をやると汗とは違う雫が頬の辺りを流れていることに気がついた。
普段、寂しさを紛らわすためにリーフや兄様、ナンナ達と一緒にいるのが私だ。
普通の家族ならこういう時に看病してもらえるが両親はいない。じい様も休めない立場だからいない。
だから昔から私は風邪を引いたら一人ぼっちだ。その時はいつも寝るしかない…
だから寝よう。寂しさを忘れるために。夢でならみんなといれるから。

「…泣いてるのか。そうだよな、小さい頃から一人ぼっちで暮らしてたからね」
目の前で苦しそうに横たわる少女の頬には汗に混じって涙も流れていた。
時折苦しそうに、泣きそうな声で何かを呟いている。耳を口に近づけて聞き取ろうとする。
「…父様…母様」
やはり両親がいないことはこの少女でも寂しいのか。でも僕は両親の代わりにはなれない。
それでも僕にできることはやってみよう。それでこの子が少しでも幸せなら…

「で、どうしてサラのベッドにリーフ様まで寝ているのですか?」
「知らないわよ、私に聞かないで」
「どうします?私達も寝ちゃいます?」
「…まあ、サラのベッドは大きいし広いから大丈夫よね」

父様と母様が遠くに行こうとする。私はいつも追い掛けるのに追いつかない。
そして最後には一人ぼっちになって泣き出すのが夢の中の私だ。
今日も無駄だとわかっているのに追い掛ける。もしかしたら今日は違うかもしれないと信じて。
でもやっぱり変わらない。私は座りこんで泣き出す。そのまま夢が覚めるまで…
「大丈夫…サラは一人じゃないよ」
リーフ…?
「私達だっているわよ」
ナンナ、ミランダ、ティニーも…
「だから泣かないで。みんなで一緒に遊ぼう」

目を開くとリーフが私の目の前で静かに寝息を立てていた。
リーフの後ろや私の反対側ではナンナ達も同様に寝ている。
きっと寂しそうに寝ていた私を心配してくれたのだろう。
「ありがとう…」
自然とお礼の言葉がこぼれた。誰にも聞こえていないけれども。
きっと明日から私の見る夢でもみんな遊んでくれるから、そのお礼だ。

終わり

おまけ
「で、仲良く僕達も風邪引いた訳ですが」
「大丈夫、この秘薬を飲めばすぐに治るわ」
「サ、サラ。私はいらないわ」
「わ、私も!」
「リ、リーフ様に飲ませてください!」
「あ、ちょ!裏切るの!?口を無理矢理…アッー!コノヒトデナシー!」