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Last-modified: 2011-06-01 (水) 19:50:10

56 名前: 槍使い二人1/4 [sage] 投稿日: 2011/02/27(日) 11:03:20.34 ID:8/Okyz+5
エフラム「はあっ!」シュッ
ネフェニー「くっ……! そこっ!」シャッ
エフラム「甘いぞネフェニー!」
ネフェニー「は、弾かれっ……」
エフラム「ふんっ!」ザッ
ネフェニー「くっ!」
エフラム「決めるっ!」ズンッ
ネフェニー「く、あぁっ!」ドサッ

エフラム「はぁっ……はぁっ……。大丈夫か、ネフェニー」
ネフェニー「ぁ、はい……」
エフラム「すまん、熱が入りすぎたやも知れん」
ネフェニー「ぃえ……、これは修行ですから……」
エフラム「そうか……」スッ(手を差し出す)
ネフェニー「……?」
エフラム「立てるか?」
ネフェニー「ぁ……。はぃ、ありがとう、ございます……」
エフラム「よっ、と」
ネフェニー「……エフラム、さんは……お強いですね」
エフラム「……いや、まだまだだな」
ネフェニー「そう、ですか……?」
エフラム「ああ。世の中には俺よりも強い相手はごまんといる。ウチのアイク兄上なんかがいい例だ」
ネフェニー「アイクさんは……、強い、ですね」
エフラム「だろう? 認めたくはないがヘクトルもあれでいてかなりの腕前だ。しかも槍の天敵である斧を扱うしな」
ネフェニー「確かに、斧は怖ぃ……」
エフラム「だがそれ故にやり甲斐がある」
ネフェニー「エフラムさんは……本当に強いですね……」
57 名前: 槍使い二人2/4 [sage] 投稿日: 2011/02/27(日) 11:04:49.39 ID:8/Okyz+5
エフラム「? さっきも言ったが、俺よりも強い相手は」
ネフェニー「そ、そうじゃなくて。槍の道をただひたすらに究めようとするその姿勢を……ずっと貫いていくことができるなんて……」
エフラム「……ネフェニーと俺と」
ネフェニー「はい……?」
エフラム「何か違うことはあるか? 同じく槍の道を進むことに変わりはないと思うんだが」
ネフェニー「あります……」
エフラム「……あるのか? もし差し支えなければ教えてくれないか。俺にできることであれば協力する」
ネフェニー「……笑いません、か?」
エフラム「笑わない。誓ってもいい」
ネフェニー「ほんとに、ほんとう?」
エフラム「もちろんだ。共に修行をつむ槍仲間だろう」
ネフェニー「……あの、私……の、しゃべり方」
エフラム「うん?」
ネフェニー「おかしいと、思ったこと……ありませんか……?」
エフラム「…………正直に言えば、あるな。どことなく無理をしているような気がする」
ネフェニー「やっぱり……」
エフラム「それがどうかしたのか?」
ネフェニー「あ、あの……、エフラムさんだから、言うんですよ?」
エフラム「ああ」
ネフェニー「槍仲間の、エフラムさんだから、ですよ?」
エフラム「槍仲間の誇りにかけて謹んで聞こう」
58 名前: 槍使い二人3/4 [sage] 投稿日: 2011/02/27(日) 11:06:12.49 ID:8/Okyz+5
ネフェニー「……田舎もの、だから」
エフラム「……?」
ネフェニー「田舎もの、じゃから……、なまっているのが恥ずかしゅうて……」
エフラム「……」
ネフェニー「都会の人が聞いたら、きっと笑われてしまうじゃろぅと、心配じゃったんよ……」
エフラム「……」
ネフェニー「じゃからね。無理してでも、都会の人と同じしゃべり方にしよって……」
エフラム「……そういうことだったのか」
ネフェニー「……幻滅、しちょる?」
エフラム「まさか」
ネフェニー「馬鹿なことをと思っちょる?」
エフラム「いや、まったく」
ネフェニー「本当……?」
エフラム「ああ。俺はあまり難しいことは考えないし言えはしないんだが、ネフェニーの悩みはきっと間違っているものじゃない。誰にだって人に笑われたくない気持ちはあるからな」
ネフェニー「エフラムさん……」
エフラム「けれど、その思いにずっと囚われてしまうのは……間違っていると思う」
ネフェニー「ふぇ……?」
エフラム「ネフェニーはネフェニーだ。たとえしゃべり方が少しずれていたとして、だから何なんだ?」
ネフェニー「……じゃけぇ、それはエフラムさんが田舎の人じゃないから言えるんよ……」
エフラム「そうかもしれないが……、たとえ訛った話し方をして、そこに人の価値を下げる要素がどこにある?」
ネフェニー「それ、は……」
エフラム「ネフェニーの悩みのタネは、自分自身にあるんだと思うぞ」
ネフェニー「どういう、こと……?」
59 名前: 槍使い二人4/4 [sage] 投稿日: 2011/02/27(日) 11:08:27.76 ID:8/Okyz+5
エフラム「田舎出身であることを、どこかで恥じていたりしないか?」
ネフェニー「そ、そんなことない! あそこは……、あたしの故郷に、恥じるとこなんて全然ありゃせんよ!」
エフラム「……そこまで言い切れるんじゃないか」
ネフェニー「え……? あ……」
エフラム「君に恥を感じる要素なんて一つもない。少なくとも俺はそう思うぞ」
ネフェニー「……じゃけど」
エフラム「君の槍の腕は確かだし、修練にも熱心だ。つまり真面目だし、料理も上手い」
ネフェニー「そ、そんなに言われると恥ずかしぃよ……」
エフラム「自信だ。後足りないのはきっと自信だけだ」
ネフェニー「……そ、そうなんかな……。でも、やっぱりあたし……」
エフラム「ならば誓おう。もしも、ネフェニーを田舎者だと蔑む奴がいるのなら」
ネフェニー「……?」
エフラム「……その時は俺が君を守る。必ずだ」
ネフェニー「え、エフラムさん……? そ、それは……」
エフラム「だから、心配するな。少しずつ慣れていけばいい」
ネフェニー「う、うん……」
エフラム「……さて、それじゃ……手合わせ再開と行くか」
ネフェニー「……うん……、うんっ……!」
エフラム「やる気だな、ネフェニー」
ネフェニー「エフラムさんのお陰じゃけぇ……」
エフラム「……俺は大した事はしていないと思うがな」
ネフェニー「ううん……、エフラムさんは、あたしの恩人じゃ……」
エフラム「そ、そうか……。面と向かって言われると、こっぱずかしいな」
ネフェニー「そ、それ言ぅたら、エフラムさんも相当……恥ずかしいこと言ぅたと思うんよ……」
エフラム「……そうか?」
ネフェニー「自覚がないん? ……ふふ、でも、そっちの方がらしいかもしれんね」
エフラム「……今馬鹿にしたか?」
ネフェニー「エフラムさんの気のせい、じゃよ」クスッ
エフラム「そういうことにしておくか」ニコッ