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Last-modified: 2011-06-01 (水) 19:55:44

99 名前: 幼女の旗の下に [sage] 投稿日: 2011/03/03(木) 04:14:23.95 ID:SDR7raE/
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3 自ら戦う                …会長…すでに私達は道を違えたのです……

プリシラ 「貴女達はここで放送の準備を続けなさい。会長は私が撃退します」
AKJ隊員S「プリシラ様!?危険ではありませんか?」
AKJ隊員O「そうです。我々の偉大な指導者である貴女様がやられれば革命はどうなりますかっ!
       どうかここは我々にお任せください!」
プリシラ 「貴女方が100人かかっても勝てる相手ではないわ。それよりもここを任せます」
AKJ隊員I「しかし……」
プリシラ 「……私は指導者、私は革命家、私の言葉は兄妹愛革命そのものなのですよ?
      貴女達は兄妹愛にすべてをささげたのではないのですか?」
AKJ隊員S「差し出口を叩きました。お許しください。私たちはここを死守します。勝利を信じております」
プリシラ 「よろしい。すぐに戻ります」

かつて仰いだ会長を討つためにプリシラはロビーへと向かった。
もはや狂信の域まで達した兄妹愛への道を阻む者は誰であろうと討ち果たすのみ……

スタジオを後にして一段一段階段を降りていく。
ラケシスはIFロビーの中央に陣取っていた。

プリシラ 「しばらくですね会長。いえ元会長というべきでしょうか?」
ラケシス 「フン…飼い犬に手を噛まれるとはまさにこのことね。気分が悪いわ」
プリシラ 「ふふ……何をしにきたかは問いません。それよりも紋章町の歴史に偉大な一ページが刻まれる姿をとくとご覧になってはいかがですか?」
ラケシス 「貴女の手で?」
プリシラ 「そうです。私が兄妹の新たな時代を作るのです。私こそが時代に選ばれた指導者と確信します。貴女と違って」
ラケシス 「その思い上がりの結末がこの暴挙? プリシラ、このままでは誰も兄妹愛を支持しなくなるわ。
      今からでも遅くないから降伏なさい。今なら私が可能な限り政府に取り成しをします」
プリシラ 「何を馬鹿な…我々の決起を知れば兄への愛を今まで胸のうちに秘めて隠してきた妹たちも立ち上がります。
      勝利はもう目前にあるのです…会長…いえラケシス! 貴女ごとき弱腰なやり方では何も得る事はできなかった。
      それをこの私が証明して差し上げます」
ラケシス 「話しても無駄のようね…」

会長の唇から歯軋りの音が響く。
共に同志として歩んできた者と道を違える事は耐え難い苦しみだ…
それを断ち切るかのごとくラケシスは挑発的な言葉を口にした。

ラケシス 「いいわ。飼い主に噛み付くような躾けの悪い犬には厳しいお仕置きをしてあげる。
      どこからでもかかってきなさい!」
プリシラ 「戯言を!!!」

共に兄を愛し、兄と結ばれる世の中を願いながらやり方の違いから二人の淑女は激突した。
自身の正義と理想のために死力を尽くして。

ラケシス 「食らいなさい!!!」

渾身の魔力をこめたボルガノンが火を噴きFETV1Fロビーより溶岩が噴出す。

プリシラ 「冗談ではありません!」

身軽に飛びのいて破壊魔法を避けたプリシラは階段の踊り場まで駆け上って距離をとった。
すかさずスリープの詠唱を始める。
たちまちラケシスに眠気が襲い掛かった。
ラケシス 「相変わらずせせこましい戦いかたね…っ」
咄嗟に聖水を振り掛けてスリープにかかることを防いだ。
プリシラ 「チッ…」

二人の戦いは始まったばかりだ。
100 名前: 幼女の旗の下に [sage] 投稿日: 2011/03/03(木) 04:15:24.77 ID:SDR7raE/
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プリシラと入れ替わりにスタジオに突っ込んだのはエフラム達である。
策も何も無い正面からの突入だった。
強引に扉を蹴破る。

セーラ  「うわっちゃぁ……考えなしねもう…」
エフラム 「一刻も早くこの暴挙を止めねばならんから…ムッ!?」

当然のことながらそこにはプリシラの姿は無かった。
殺気だったAKJの兵隊数十人が武器を構える。

エフラム 「…プリシラはどこだ?」
AKJ隊員W「答えると思って? 兄妹愛を邪魔する外道ども!ここで死にくされ!!!」
ユアン  「…別に邪魔したくてきたんじゃないのに…どうしてこうなった」
ドロシー 「もう覚悟を決めてくださいよ!」
イリオス 「あーぁ…早く平和になんねぇかな…ヘボ社長め、ボーナスは給料の半年分を請求してやる!!!」

5対約50、無謀極まりないが…今更後には引けない。

エフラム 「……25…いや30人までは俺に任せろ…っ」
イリオス 「頼むぜ俺の太陽スキル!お前が上手く発動してりゃ死ぬこたねぇんだ!」
ドロシー 「セーラさん回復はよろしくです!」
セーラ  「へいへい、ま、なんとか気張りましょ。ちゃんと守ってよね!」
ユアン  「ひぇぇ…ついてないなぁ…」

剣を槍を斧を振るって襲い掛かるAKJをジークムントで叩き伏せる。
なおも可能な限り手加減するのは紋章町の兄たちのためだ。

エフラム 「くっ…他人の妹とはいえ、妹に槍を向けるのは精神的にキツいな…」
セーラ  「ちょっとアンタ!? こんな時に何言ってるのよシスターコンプレックス略してシスコン、ロリコン足してロスコン!」
エフラム 「足すな!!! それは誤解だと何度言えばいいんだ!!!」
イリオス 「黙って戦えやバーロー!」

AKJの放った矢を浴びたイリオスが反撃のトロンで敵を打ち倒した。
エフラム 「貴様!妹に本気で攻撃するとは何事だ!」
イリオス 「お前どっちの味方なんだ!?」
エフラム 「妹と幼女の味方だ!…くっ…くそ…プリシラめ…こんなに苦しい戦いは生まれて始めてだ!!!」
ドロシー 「ああもう…前ちゃんと塞いでてくださいよ!タスケテヒーニアスな事態はごめんです!」
ユアン  「僕…この戦いが終わったら結婚するんだ…」
セーラ  「冗談でもそういう台詞はやめろや!?」

スタジオの入り口にエフラムとイリオスが並んで陣取り、その背後からドロシーとユアンが支援する。
最後尾はセーラだ。

スタジオの狭い入り口に並ばれたため、AKJも一度に多人数では掛かれずに攻めあぐねた。
すでに数人のメンバーが倒されている。

AKJ隊員O「く……みんな!プリシラ様がお戻りになるまでここを死守するのよ!」

なおもAKJの士気は高い。
101 名前: 幼女の旗の下に [sage] 投稿日: 2011/03/03(木) 04:16:18.33 ID:SDR7raE/
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複数の事変が並行して起こる中、テリウス方面軍のジョフレ将軍はロンブローゾ司令官の命を受けて兵団を移動させていた。
部隊はセリノスの森を出て指定された集結地点を目指し移動中だ。
馬上のジョフレは急な命令に首をかしげている。

ジョフレ 「ケビン、もう一度さっきの電報を読み上げてくれ」
ケビン  「はっ! セリノス演習場の訓練部隊を至急市街地郊外西地区へ移動させよ、当地でテリウス方面軍主力と合同すべし!ロンブローゾ大将」
ジョフレ 「確認したんだな?」
ケビン  「はい、間違いなく方面軍からの通信です。照会もしたのですが詳細は現地で…としか…」
ジョフレ 「命令なら仕方ないが…まったくなんだというんだ…」

辺境勤務のジョフレ達は首都でクーデターが起こった事など知る由も無い。
すでに軍はタウロニオが虜囚となり指揮系統を失って混乱状態であった。

ロンブローゾの命令もルカンの命令に従ってのことだ。
第一党の党首とはいえ軍人でも大統領でもないルカンにはロンブローゾに命令する権利は無いのだが…
指揮の混乱に乗じた越権行為であり、同時に政治家と軍人の癒着でもある。
もっとも強引にでも事態の幕引きを図ってしまえば後はどうとでもなる。

ルカンは子飼いのロンブローゾの軍団を使ってクーデター鎮圧を目論んでおり、
そのロンブローゾはと言うと、自分の子飼いの直属部隊の損害を避けるためジョフレを先鋒に使うつもりでいた。
そのような事は露知らずジョフレ達は前進を続ける。

…FETV1Fロビーは激闘の余波ですでに瓦礫の山と化していた。
圧倒的な戦闘力を発揮してプリシラを追い回すラケシスだが、プリシラも驚異的な回避力をもって致命傷を許さない。
時折小ざかしくも反撃の魔法を放ってくる。

ラケシス 「往生際が悪いわよプリシラ!」
プリシラ 「貴女こそいい加減に諦めたらどうです!」

ラケシス (この事件はなんとしてもAKJの手で解決しないと…私たちはすべての支持を失う…他の奴の手でプリシラを倒させるわけにいかないのよ!)

このまま時間が過ぎれば他の勢力も体勢を立て直してくる。
最悪の場合、元老党がAKJを非合法化するかも知れない。
穏健派が事件を解決して一部の強硬派の責を問う事でどうにか済ませねばならないのだ。
ラケシスは会長としてもかつても同志としてもプリシラを自分の手で倒さねばならなかった。

ラケシス (しかし…さすがに粘る…プリシラは間違いなく聖水の効果切れを狙ってる…このまま時間をかけていられないわ!)

速攻で勝負を決めるべくラケシスは武器を選びなおした…

続く