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Last-modified: 2012-08-21 (火) 15:19:26

ニニアン「イドゥンさん、いますか?」
イドゥン「はい、いますよ、珍しいですね
貴女が、私の部屋に来るなんて」
ニニアン「はい、実は相談がありまして」
イドゥン「相談ですか・・・、何でしょうか?」
かなり躊躇った後で、ニニアンが口を開く
ニニアン「あの、イドゥンさんには、今好きな人がいますか?」
イドゥン「好きな人・・・ですか?」
軽く目を見張って答える
イドゥン「そうですね・・・、正直に言えば
まだ、私にはわかりません、『人を好きになる』という事が一体どういう事なのか・・・
よろしければ、ニニアンさん、私に教えてくれませんか?」
ニニアン「えーと、そうですね
その人の事を考えるだけで、胸が苦しくなったり、ドキドキしたり・・・」
イドゥン「他には?」
ニニアン「その人が、他の女性に話しかけたり、笑っているのを見ただけで
相手の女性に対して、嫉妬してしまったり・・・
とにかく、好きな人一緒にいる間は、その人の一挙手一投足にいちいち振り回されてしまいますね」
イドゥン「嫉妬、とは何ですか?」
ニニアン「あ、えっと、例えばですね、私の好きな人が
イドゥンさんと話していたとしますよね?」
イドゥン「はい」
ニニアン「その時、私はイドゥンさんに嫉妬するんです、具体的にどう思うかというと
『イドゥンさんなんかいなくなってしまえばいい』とか
『イドゥンさんなんかより、私に話しかけて欲しい』とか
そんな、あんまり人には言えない、そう思った自分が嫌いになってしまう様な気持ちです」
イドゥン「そうですか、理論的にはわかりました、それは、誰でも持つ感情なのですか?」
ニニアン「ええ、持つと思います、男性だって持っているはずです」
イドゥン「そうですか・・・」

650 :助けて!名無しさん!:2011/06/18(土) 23:14:26.26 ID:Rv9AzJxx

ニニアン「それで、イドゥンさん、やっぱり貴女にはいませんか?好きな人」
イドゥン「その人の事を考えるだけで、胸が苦しくなったり、ドキドキしたり・・・ですか?」
ニニアン「はい」
改めて問われ、イドゥンは自分の心の内を探る
が、そんな相手は一向に思い当たらない。
ニニアン「もう一度、よく考えて下さい」
目を閉じて、もう一度考えてみる
すると、ある一人の少年の顔が浮かんできた
ニニアン「どうですか?」
イドゥン「・・・そうですね、『好き』という感情かどうかまだ自分にはわかりませんが
一人だけ、気になる人がいます」
ニニアン「ほ、本当ですか?」
イドゥン「はい、本当です」
ニニアン「宜しければ、その方がどんな人か教えて頂けませんか?」
イドゥン「・・・こういう時、何を教えればいいのでしょうか?」
ニニアン「えーと、性格とか見た目とか、何が切掛けだったとか、そんな事を」
イドゥン「切掛けは、思い出せません、何しろ、貴女によく考えて、と言われるまで
意識していなかったのですから
性格は、優しいというか、暖かいというか・・・、とにかく、彼と話していると
とても不思議な気持ちになります。
見た目は、私が言うのも何ですか、目が印象的です、穏やかですが、意思の強さをその中に見る事が出来ます、そのくせ、笑うと歳より幼く見えますね、後・・・」
ニニアン「後?」
イドゥン「髪ですね」
ニニアン「髪、ですか?」
イドゥン「はい、燃える様な赤です。その髪の色に反して、性格や目が穏やかなので
とても記憶に残っています」
ニニアン「性格は優しく暖かく、目には意思の強さを、そして髪は燃える様な赤・・・」
ニニアンにも、一人だけ思い当たる人がいる
まさか、同じ人なのだろうか・・・
ニニアン「そうですか・・・」
イドゥン「どうかしましたか?顔色が悪い様ですが・・・」
ニニアン「いえ、大丈夫です・・・」
イドゥン「それで、ニニアン、貴女の相談事とは?」
ニニアン「えっと、忘れちゃいました!」
そう言って、足早に部屋から出て行く
が、すぐ戻ってくる
イドゥン「どうされました?」
ニニアン「えーと、恋愛では『いい人』をしていると絶対勝てないそうです」
イドゥン「?」
ニニアン「例え姉妹や親友を裏切って傷つけてでも、私はあの人が欲しい!だから、もし
仮に同じ人を好きなったとしても、イドゥンさんには絶対負けませんから!!」
イドゥン「??」
ニニアン「せ、せんせんふこく、です!!」
イドゥン「・・・よくわかりませんが、私も負けませんよ」

651 :助けて!名無しさん!:2011/06/18(土) 23:16:22.57 ID:Rv9AzJxx

ニニアンが宣戦布告をした頃
エリウッド「ロイ、久しぶりに二人だけだから、ゆっくりお茶を飲まないか?」
ロイ「うん!エリウッド兄さんと二人なんて滅多にないから嬉しいよ
あ、そういえば、僕、イドゥンさんからゼリーを貰ったんだ、一緒に食べようよ」
エリウッド「おお、そういえば、丁度私も、ニニアンからどらやきを貰ったんだ
二人ではんぶんこだな」
平和な一時だったとさ