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Last-modified: 2012-08-21 (火) 15:27:26

いつも通りのある日の事
エフラム「なぁ、エイリーク、今、時間空いているか?」
エイリーク「はい、勉強が一区切りして、少し休憩しようと思っていたので」
エフラム「そうか、それなら、これから星を観に行かないか?」
エイリーク「それは短時間じゃ済まないのでは?」
エフラム「いや、時間はかからんぞ、屋上に上ってちょっと話をしたいだけだ」
エイリーク「わかりました」
二人で、飲み物と梯子を準備して、屋上へと到着する。

~エイリーク視点~
とても静かな夜で、つんと冷たい空気が二人の頬を刺す
エフラム「少し寒いな・・・、よし、もうちょっとこっちに来い」
言われた時には、私の肩は兄上に抱かれていた、一つのマントに二人でくるまる
無意識でこんな事をする兄は、ある意味で凄い人だと思う
兄上は、無言で空を見上げている
エフラム「なぁ、覚えているか?」
エイリーク「何をでしょうか?兄上」
エフラム「俺達二人共まだ小さくてさ、何も考えないで遊んでいて
面白半分でここに登ったはいいが、降りられなくなった事があったよな?」
そう言われて、私は苦笑する
エイリーク「ありましたね、そんな事、あの時は、兄上が私を片腕で抱えてくれて
一歩ずつ梯子を降りていったんでしたっけ?」
・・・他愛の無い会話が続いていく、それら全て私にとって貴重な時間だった
そして、それは兄上にとっても同じだと、私は確信している。

744 :助けて!名無しさん!:2011/06/30(木) 00:48:27.26 ID:RQg+x7go

ふと、兄上の方を向いた
目が合う
離す事が出来ない
月の光が、少し暗く兄上の顔を照らす
鋭さと優しさを兼ね備えた目、引き締まった口元、すっきりと通った目鼻
彫りの深い顔立ち、その全てに目を奪われると同時に、兄の裸を思い出してしまう
アイク兄さんは筋肉が付きすぎで、他の兄弟は、男にしては細すぎる
背と筋肉のバランスは、兄上が一番取れている、と私は思う
エフラム「エイリーク?」
エイリーク「ご、ごめんなさい、ボーっとしてしまって・・・」
エフラム「顔が赤いぞ、家の中に戻るか?」
エイリーク「大丈夫です、それより、私、もう少しここにいたいです」
エフラム「そうか、俺もそう思っていた」
・・・上手くごまかせた
あの日、デューテという女の子が来てから、やたらと意識する様になってしまった
兄上は元々、私に優しくしてくれている
性格だって悪くないというか、笑って許せる範囲だ。
一番困るのは、顔
はっきり言って、兄弟の中で一番好みだ
一緒に生活している以上、顔を見ずに暮らす事など、不可能に近い
どうしたらいいのだろう?
・・・考えるのは止して、今はただこの時間を楽しむ事にする
なんでもないこの瞬間が、一生記憶に残る様な気がした
願い事をひとつ叶うなら、この時よ続けと
同じ空を見上げながら、大切な事ほどすぐそばにあるのかも
そんな事を思いながら、兄上との会話は続く

745 :助けて!名無しさん!:2011/06/30(木) 00:49:36.75 ID:RQg+x7go

~エフラム視点~
エフラム「エイリーク」
エイリーク「はい、何でしょうか?」
エフラム「その、変わりないか?」
エイリーク「・・・どういう意味でしょうか?」
エフラム「いや、深い意味は無い・・・、最近、苦手だが色々考える様になってな
今更こんな事を言うのもおかしいが、俺達は双子だな?」
エイリーク「はい」
エフラム「そのせいなのか、俺は、他の兄弟より、お前が一番身近に感じる」
エイリーク「そ、そうなのですか?」
エフラム「ああ、勉強で悪い点を取る、アイク兄貴に負ける
色々と困難だらけのこの世界で、お前がいる、それだけの事で今日も生きていける」
エイリーク「あ、兄上!それは妹に言う台詞では無いです!」
真っ赤になって叫ぶエイリーク
俺はそんなに変な事を言ったのだろうか?

746 :助けて!名無しさん!:2011/06/30(木) 00:51:17.48 ID:RQg+x7go

~エイリーク視点~
エフラム「・・・困難だらけのこの世界で、お前がいる、それだけの事で今日も生きていける」
その台詞を聞いた瞬間、身体中が痺れる様な感覚を覚えた
エイリーク「あ、兄上!それは妹に言う台詞では無いです!」
心臓が飛び出しそうな程早く脈打ち、呼吸が経験した事無い程激しくなる
か、からかっているのだろうか?
取り合えず深呼吸をする、私の肩を抱いていた兄上の右手が背中をさすってくれた
落ち着いた所で、抗議の声を上げようとするが
手を握られながらあの目で見つめられると、何も言えなくなってしまう
エフラム「大丈夫か!!」
エイリーク「あ、はい・・・」
エフラム「お前、さっきから変だぞ、本当に大丈夫なんだろうな?」
原因は兄上です!!
そう言ってやりたいが、言ったらどうなるのか、自分でもわからない・・・
暫くの間、沈黙だけが私達を包む
何か言わなきゃって、だけど何を言えばいいんだろう
話題転換する事にした
立ち上がって、空を見ながら兄上に伝える
エイリーク「ねぇ、兄上、流れ星が見たいです」
冗談でふりかざした指先
綺麗な尾を引いた
それはまるで魔法のようで

二人で空を見上げる
忘れてた事をひとつ
いいかけてどくんと跳ねる鼓動
闇の中一瞬触れた手
お前は
兄上は
気が付いたか?
気付いたでしょうか?
これってきっとそういう事なのかな

747 :助けて!名無しさん!:2011/06/30(木) 00:53:27.10 ID:RQg+x7go

ラケシス「兄と、静かな夜に屋上で二人きりで話し合い・・・」
プリシラ「言いたいけど言えない、はっきり言って欲しい乙女心や
無自覚な兄の言動に振り回されてしまう妹・・・」
ティニー「そして最後に、少しだけ、でも確実に触れ合う二人の心」
ルーテ「いささか急でしたが、気に入っていただけましたか?」
ラケシス「素晴らしい!!妹の夢が全て詰まっています
これを我がAKJの教典にいたします」
プリシラ「賛成です、早く続きが読みたくてしょうがないです」
ティニー「今回は負けを認めます」
ルーテ「優秀な私なら、これ位朝飯前です
それではティニーさん、絵の方は任せてしまって宜しいですか?」
ティニー「はい、私の最高傑作に仕上げてみせます!」
ルーテ「ノールさんには、文章の構成の方をお任せします
あ、因みに、18禁バージョンも考えてありますので、そちらは後日という事で
では、私は休憩させていただきます、少し疲れてしまいました」
そう言って、リワープを唱え、アスレイの側へ

748 :助けて!名無しさん!:2011/06/30(木) 00:54:42.02 ID:RQg+x7go

アスレイ「いつもながら、貴女の登場の仕方は驚いてしまいます」
少しも驚く事無く、アスレイが言う
ルーテ「眠いので、膝枕をしていただけますか?」
アスレイ「はいはい、どうぞ」
横になりながら、ルーテが言う
ルーテ「一つ忘れている事がありますよ」
アスレイ「何でしょうか?」
ルーテ「・・・あの、言わなくてもわかりますよね?」
アスレイ「さあ、私は人の心を読める訳ではないので・・・」
ルーテ「おやすみなさいのキス、ですよ」
アスレイ「随分とはっきり言いますね」
ルーテ「それをしてもらわないと、安心して寝る事が出来ないので、早急にお願いします」
アスレイ「わかりました、では目を閉じ・・・」
言い終わるより先に、両手で顔を引っ張られキスされてしまう
目を開けた時、既にルーテは深い眠りの中へ落ちていた
アスレイ「今日も平和、ですねぇ・・・」

2日後、ティニーの獅子奮迅の活躍により
AKJの教典同人誌「君の知らないこんな夜に」が完成する
その比類ない完成度に、信者がみな涙したという。