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Last-modified: 2012-08-23 (木) 19:51:53

空気を読まずに駄文を投稿してみる
いつもの通り、師匠と仰ぐエフラムとの訓練に来たアメリアは、その大きな瞳をぱちくりと開いていた。
フランツ「エフラム先輩に良くお世話になってる、ソシアルナイトのフランツって言います。兄弟弟子どうし頑張ろう」
ウェンディ「オスティア重騎士団でアーマーナイトをしているウェンディと言います。今回は訓練をご一緒させて頂きありがとうございます」
緑の鎧を付け、馬に乗った金髪の少年と、いかにも重そうな鎧をまとった紫色の髪の少女がいたからである。
アメリア「は、はい、宜しくお願いします。あの、師匠?この人達は?」
エフラム「聞いてのとおり今回の特訓を手伝ってくれる協力者だ。と言っても特訓を付けるというより一緒に特訓するという形になるがな。
では早速基本的な型の反復から行くか。その後は俺とウェンディ、アメリアとフランツで、その次は相手を変えてアメリアとウェンディ、俺とフランツで実戦訓練だ」
ア、フ、ウェ「「「はい!」」」

土煙を上げながら突進してきた馬が僅かに速度を緩め、その上から少年のたんぽ槍が突き下ろされる。
胸甲に一撃をくらったアメリアがその衝撃と言うよりも、甲冑をつけた人間が馬ごと突っ込んでくるという現象に圧された様に背後へと弾かれる。
エフラム「何をしている。逃げ腰になっては勝てる物も勝てないと言ったはずだぞ!俺の教えた事を思い出せ!」
アメリア「は、はい!」
今度はしっかりと構え、フランツの乗馬の鼻先へ槍の先端を向けるアメリアを見て、心の中で頷く。騎馬兵の最大の長所はその機動力である。特に物理系に関しては先ずは飛び込みにくい状況を作るべきだ。
ふと視線を感じ、対峙する二人から視線を外さないまま自らの下で兜を外して荒い呼吸をつづけていた少女へ声をかける。

193 :190:2011/08/31(水) 09:02:07.39 ID:V+E0akzc

エフラム「何か言いたい事が有るのか?」
ウェンディ「あ、いえ、その……私もまだまだ未熟な人間ですから。アメリアさんやエフラムさんの手助けになるのかな。と」
その声が多少の不安に揺れるのを感じ、エフラムが口を開く。
エフラム「そんな事は無い、いつも俺とやってばかりでは、どうしても慣れや伸び悩みが出てしまうからな。君達と戦うのはいい訓練になる。
それよりもロイから聞いていた話よりかなり力強かったが。何か特別な鍛錬をしているのか?」
ウェンディ「……これでもオスティア重騎士団の一員ですので…」
エフラム「そうか…君の鎧の下を一度見てみたいな」(筋肉の付き方的な意味で)
ウェンディ「え?」
そんな会話を行っている間に、対峙する二人に再び動きが起こった、
様子を窺うようにアメリアの前で左右への移動を繰り返していたフランツが、再度右へと移動すると見せかけ、馬を竿だたせて方向を変えると、前足を下ろす勢いそのままにアメリアに突進させたのである。

194 :190:2011/08/31(水) 09:09:18.52 ID:V+E0akzc

アメリア(来る…)
アメリアはエフラムの教えを思い出していた。
エフラム『騎馬兵は脚が速く突進力が高い、だが弱点もある。馬に乗っている以上、歩兵の俺達に対し下段の攻撃はしにくい。つまり頭や胸への攻撃に集中できる。さらに手綱を掴まなくてはならない以上片手は塞がり攻撃範囲は狭まる』
アメリア(だから、私がやるべき行動は)
突進の勢いから突きだされた槍が空を切る。思惑を外されたフランツの視界に、対戦相手の少女が自身の左側に転がり出る姿が映り、
転げながら下方から突きだされた槍を乗馬の背に持たれる様に身を沈めてかわし、乗馬の足を速め再度距離を取る。
アメリア(惜しい…)
フランツ(危なかった。もう少し反応が遅れてたら直撃だった、けど…)
じっとりと汗のにじむ左手で手綱を握りしめると、先程と同じくアメリアへと突っ込む、直前まで迫ったその姿にアメリアもまた先程と同じく右側、フランツにとって左側へ転がり出る。
が、そこからが先程と違った、フランツは敢えて身を沈めず、手綱から左手を離し、脇腹を狙うアメリアの槍を左手で抜き放った木剣で受け止めると、脚で乗馬を操り、
攻撃が弾かれた事で体制が崩れ動揺するアメリアの背後に回り込み、その頭にたんぽ槍を押し当てる。

195 :190:2011/08/31(水) 09:11:40.59 ID:V+E0akzc

エフラム「そこまで!この勝負フランツの勝ちだ。双方礼!」
ア、フ「「ありがとうございました」」
エフラム「よし、では五分休憩の後、ウェンディとアメリアの模擬戦を始める、リフぐすりは今の内に使っておけ」
フ、ア、ウェ「「「はい!」」」

アメリア「あ~、負けちゃった。でもすごいねフランツ!両手離したまま馬に乗れるなんて」
フランツ「速度を落としてたから出来る事だよ。それにもう少しで僕が負ける所だったし」
アメリア「えーそんなこと無いよ。私だったら怖くて出来ないもん。馬に乗るのって難しそうだし」
フランツ「じゃ、これ終わったら乗ってみる?僕が横で見てるから」
アメリア「え?良いの!」
休憩に入り言葉を交わすフランツとアメリアを眺めるエフラムの目が、存外優しいものになっている事に驚くウェンディに気付かず、エフラムが声を張り上げる。
エフラム「よし、休憩終わりだ。ウェンディ、アメリア。準備しろ」

196 :190:2011/08/31(水) 09:17:33.61 ID:V+E0akzc

突き込みが肩の甲で弾かれる。滑ろうとする槍先を引き戻し、何とか体制を立て直した所に、風を巻いて槍が振り出される。その一撃を手の中で槍を回転させ自身の横に立てかける様にして受け止める。
ウェンディ「はああああ!」
アメリア「え!?」
本来なら二人の力はそう大差は無いため止め切れるはずであったが。
ウェンディはリリーナのしゅ……意向による高タンパク低脂肪の食事やトレーニングメニューを日課とし、かなりの筋力強化を果たしていた。
まるで薙ぎ払われる草の様にアメリアの体が弾かれる。続いて叩きこまれた槍から転がり逃げながら距離を開け追撃を防ぐ。
エフラム「ふむ、かなりパワーの差が有るな良く鍛えてある」
フランツ「それは良いんですが先輩」
エフラム「なんだ?」
フランツ「いつもと違う相手と訓練するのが有効と言うのは解りますが、何故僕達を誘ったんですか?先輩ならもっと腕に自信のあるお知り合いもいるものだと……」
エフラム「それか、あまりにも実力の離れた相手とやっても効果は薄いだろう?同程度か少し上かの相手とやらせるのが一番いい」

197 :190:2011/08/31(水) 09:20:16.96 ID:V+E0akzc

見るとウェンディから距離を取ったアメリアが、左右へと素早く動きながら、軽い攻撃を放っていく。
エフラム『守備の堅く力の強いアーマーナイト相手でも勝てないという事は無い。先ず鎧が皮膚ではない以上、隙間なく体を覆う事は不可能だ。
動きが鈍く追撃もたやすい。確実に相手の攻撃を外し、鎧の隙間に槍先を刺しこめば倒すことも可能だ』
鎧の隙間を狙うにしても、防御に徹せられては攻撃は難い、焦って鎧の上からでも衝撃を伝える様な攻撃をすれば引くのが遅くなり強烈な一撃を喰らいかねない。
腰の入らない攻撃で相手をいらだたせ攻撃を誘い、槍をかいくぐった所を鎧の隙間に突き込みを入れれば勝てる。それがアメリアの目算であった。
フランツ「もう一つあります。それなら同じ見習のロスやユアンでも良いはずです。ソシアルナイトの僕やアーマーナイトのウェンディを呼んだのにも理由が有るんでしょう?」
エフラム「ああ、お前達二人の職はアメリアがなる可能性のあるものだ、今はまだどちらに進むかは決めかねている。
だからこそ今手合わせさせておきたかったんだ。
実際にやってみて思う事もあるしな」

198 :190:2011/08/31(水) 09:22:28.14 ID:V+E0akzc

フランツ「でもなまじ決めかねてる時期に両方と戦わせたら、余計迷わせる事になる可能性もありませんか?」
エフラム「それならそれでいい、迷って悩んでこそ解る事もあるだろう。それに今回の事でハッキリと道を決められる可能性もあるからな」
はー。と声を上げるフランツが再びアメリアとウェンディに視線を戻すと、捩じり込まれるような突きをアメリアが掻い潜り、
穂先側へ持ち手をずらし短く握り込んだ槍を、腕を動かすために空いている腋の隙間へ放とうとしていた。
ガシィッ!
と、その腕を、槍に添えていただけだったウェンディの左手が掴む。
そしてそのまま槍を掴む右手を引きずり込みホールドすると、短く持ち直したたんぽ槍を首筋に当てた。
エフラム「そこまで!この勝負ウェンディの勝ちだ!さて、最後は俺達だ、上達を見てやろう」
フランツ「はい!宜しくお願いします!」

199 :190:2011/08/31(水) 09:24:48.21 ID:V+E0akzc

エフラム対フランツの勝負は、何度か打ちあう事は出来た物の、最後はエフラムの槍にフランツの武器が弾かれ首筋に槍を突き付けられ決着と相成った。
アメリア「あー、また負けちゃった。やっぱり私もまだまだなのかな~」
鎧を外したウェンディに補助されて柔軟をしながらアメリアがため息をつく。
アメリア「それにしてもウェンディ力強いね。あんな重そうな鎧着たまま動けるし、やっぱり凄いトレーニングしてるの?」
ウェンディ「ええ。オスティア重騎士団の一員として恥じる事のないように普段からみっちり」
アメリア「やっぱりそうなんだ。でもさ、女の子のアーマーナイトって珍しいよね。何か目指した理由って有るの?」
ウェンディ「兄上に憧れて…かな。私が小さいころから兄上はオスティアのアーマーナイトとして勤めていて、
いつもオスティア家の為に危険を引き受けて、自分が怪我して帰ってきたも私に心配かけない様振舞っていた兄上。
私もあんな風に誰かを守れる人になりたかった。今でもまだまだ未熟で、上手くいかない事も多いけど、自分で選んだ事だから私は最後までやりたいの。
兄上やオスティア重騎士団の皆の力になれる様に」

200 :190:2011/08/31(水) 10:04:18.58 ID:V+E0akzc

アメリア「憧れ…かぁ……」
アメリアは筋を解しながら思いをはせる。自分が強くなることを望んだのも憧れからだった。
母が賊に襲われ連れて行かれそうになった時、自分は何も出来なかった。唯震えるだけだった、そこに現れて、
まるで自分の手足の一部の様に剣や槍や斧を振るって自分達を救ってくれたデュッセル様の姿に憧れ、自分は強くなる事を望んだのだった。
エフラム「………」
フランツ「あのー先輩女の子の方を見るのは良いんですけどちょっと僕の体折れ曲がりそうアイダダダダダダ」
エフラム「あ、ああ。すまん」
フランツ「もう、勘弁して下さいよ」
フランツ(でも、何となく僕達が呼ばれた理由が分かったかな)
先程自分の柔軟の補助をしながらアメリアに向けていた視線を思い出す。それは世間が彼に対して抱いている幼女ハァハァとかそういった類の物では無く。
フランツ(兄なんだよなあ。この人……)
つまるところアメリアと歳近い修行仲間になればとお呼びがかかった訳である。
やっぱりどこか妹に甘さを捨てきれない我が先輩に対し、少年は見えない様に密かに笑いをこぼした

おまけ
ロス「はっ!」キュピーン
ユアン「ん?」チュピーン
ロ、ユ(何かフラグで半歩前に行かれた気がする)
おまけ2
デュッセル「……」ソワソワ
ヴァルター「どうしたのだ?あいつは?」ひそひそ
ケセルダ「あいつが昔助けた未亡人の娘があのロリコン槍使いに修行つけられててな。最近そこに新しい男が加わって心配なんだとよ」ひそひそ
アーヴ「なんじゃなんじゃまるで親父みたいじゃのう」ひそひそ
ヴァルター「実際に親子になるつもり?ではないか?」ひそひそ
ケセルダ「実は未亡人狙いってか」ひそひそ
グレン「お前ら、デュッセルさんとセライナに怒られる前に話し止めて仕事しろ」
ヴァ、ケ、ア「「「はーい」」」