エフラム「………」
ヘクトル「おいエフラム!何視てんだ?」
エフラム「ああ、これだよ」
つ仮面ライダークーガー
ヘクトル「おいおい……。お前その歳で仮面ライダーって……」
エフラム「うるさい!知り合いが出てるから仕方なく視てやってるだけだ!」
ヘクトル「ふーーん。ホントかねぇ」
エフラム「その人を馬鹿にした様な含み笑いをやめろ!
…ほらっ、見てみろよ。俺の知り合いのクーガーだ!」
ヘクトル「クーガーて。番組タイトルに本名使っちゃってるよ!
っていうかこの番組のタイトル何かまがいものっぽくねぇか?いや、何のまがいものかはよく分かんねぇけど!」
ミカヤ「そりゃそうよ。何たってあの局の番組なんだから。
ネタ切れですぐに打ち切りになったダイケンジャーのリベンジマッチだってあの社長は言ってたわね。
メインターゲットは勿論小さな子供なんだけど、緻密なストーリーとイケメン俳優を起用する事で特撮に興味のない層を取り込むつもりなんだって。
あの俗物の考えそうな事よね」
ヘクトル「姉さんどこから出て来たんだよ。いや、そもそも何でそんなに詳しいんだよ!」
ミカヤ「いやー、最近PTAの間でこの番組流行りまくってんのよね。うんざりするほどに。
全く、あんなガチムチのどこがいいんだか。
ま、でも主演の子があと15歳若かったら私も放っとかなかったんだけどね」
エフラム「姉上、自重してくれ…」
ダダダダダ… ステン! ダダダダダ
ヘクトル「ん?なんか足音がするな」
ミカヤ「おまけに一回派手にズッコケたわね」
エリンシア「ハァ…ハァ…。イタタタ。間に……合ましたわ…」
エフラム「あ、姉上…」
ミカヤ「あらエリンシアおはよう。あなたもこの番組好きなの?」
エリンシア「ハァ…ハァ…。勿論ですわ。
クーガー様の「てつのやり」を持ち上げた時の上腕三頭筋の美しさは私達の間で語り草になっていますから。……ハァハァハァハァ」
ミカヤ「そ、そうなの。「私達」っていうのが少し気になるけど、今は敢えてスルーするわね」
ヘクトル「おっ。お約束の変身シーンだぞ!」
エリンシア「…!?」
クーガー「こんな屑共の為に俺は傷付きたくない!
だから見ていてくれ!俺の変・身!!」
ヘクトル「ほぅーー。変身シーンは意外とあっさりしてるんだなぁ」
スタッ(席を立つエリンシア)
エフラム「あれ?姉上どこ行くんだ?」
エリンシア「着ぐるみの殴り合いなんぞに興味は無い。もう寝る」
ミカヤ「あらら。行っちゃった。最近あの子の設定、色々と崩壊してるわね」
エフラム「メタ的な発言は、あの局のあの人が怒るからやめた方がいいよ」
ミカヤ「それもそうね」
ヘクトル「…………」
エフラム「…ん?おいっ!ヘクトル!お前最初は俺の事バカにしてた癖に随分番組にのめりこんでないか?」
ヘクトル「いやー、正直スマンカッタ。思ったより面白れぇわコレ」
ミカヤ「確かにあの局の番組にしてはよく出来てるわね。
でもすぐにgdgdになるわよ。あんな俗物が一年間もこのクオリティを維持出来る筈がないもの」
エフラム「そういえば、魔女っ子ミカリンも一時期作画崩壊が酷かったもんなぁ」
ミカヤ「…………」
エフラム「すまない姉上。もうあのアニメの話はしないから、そんなに睨まないでくれ…」
ヘクトル「おいお前ら!今いい所なんだから静かにしろよ!」
エフラム「おいおいヘクトル、いくらなんでもハマりすぎだろうって……ん?」
ヘクトル「どうしたエフラム?」
エフラム「なぁ、ヘクトル。このクーガーの戦闘スタイルどっかで見覚えがないか?」
ヘクトル「そりゃクーガーが中に入って闘ってるんだから、お前は見覚えがあって当然だろうが」
エフラム「素人め!スーツアクターを知らないのか!
大抵の特撮ヒーローは怪我防止の為に変身後は別人が演じるんだよ!」
ヘクトル「素人めって。お前やっぱり特撮オt…」
エフラム「いいか!その事を踏まえて、もう一度クーガーの動きをよく見てみろ!」
ヘクトル「話聞いてねぇし。分かったよ。見りゃいいんだろ!」
エフラム「ほらっ。ある男の姿がオーバーラップして来ないか?」
ヘクトル「言われてみれば確かにそんな気がするな…」
ミカヤ「私はさっきから置いてけぼりね…」
エフラム・ヘクトル「…ま、まさか!?」
???「ただいま」
ミカヤ「あら、おかえり」
エフラム・ヘクトル「…来たか」
声の方へ振り返る三人。すると…何とそこには今絶好調の特撮ヒーロー・クーガーが立っているではないか!
ミカヤ「!!」
エフラム「やはり兄上だったか」
ヘクトル「霊長類も裸足で逃げ出す野性的なラフファイトスタイル…。兄貴しか居ねぇよな」
ミカヤ「ちょっとちょっとアイク!どうしたのその格好!」
アイク「ああ、シャナム氏が秘密の特訓をしてくれるって言うんでな。
よく分からんが、これを着て怪人と戦っていたんだ。
中々貴重な体験が出来た。シャナム氏には感謝しないとな」
エフラム「なるほど、そういう事か」
ヘクトル「いやいや、納得するなよ!あからさまなツッコミ所が1つあるだろうが!」
ミカヤ「ま、とにかくお疲れ様。
…それで?ギャラはいくら貰ったの?」
アイク「ギャラ?何の話だ?修業をつけて貰っておいて金を貰う訳にはいかないだろう。
むしろこっちが払わないといけないくらいだと思うのだが…」
ヘクトル「あちゃー、やっぱり本気で修業だと思い込んでるよ」
アイク「?」
ミカヤ「あんの馬鹿社長!ウチの大黒三本柱の一角をタダでコキ使いやがって!!
エフラム!マルスを起こして来て!あの子を使ってギャラをしぼり取ってやる!ウオオオオオーー!!」
その後、シャナムはマルスとミカヤにアイクのギャラ(=残りの番組製作費)を全てしぼり取られ、お約束通り仮面ライダークーガーは打ち切りになったそうだ。
しかし番組自体は好評だったので、秘密裏に続編製作が進んでいるらしい。
「仮面ライダー剣士(ブレイド)」近日公開?