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Last-modified: 2007-08-19 (日) 17:48:37

実はいいコンビ

 

セーラ 「ぁー………あ づ い ー」
エルク 「…やっぱり家で待ってた方が良かったんじゃない?」

 

真夏日、炎天下とも言える商店街を二人テクテクと買い物袋を手に並んで歩き
勿論袋を持っているのはエルクである…中身はというと

 

セーラ 「アンタが買うアイスは地味なのばっかりだし…べ、別にアンタと一緒に買い物したいとかいうんじゃないからねっ!」
エルク 「はいはい…それにしても宇治金時の美味しさが分からないなんて、アイスの中でもヘルシーな方だよ」
セーラ 「自分で選んだのが食べたいの!早く帰って私の選んだアイスをのんびりと頬張りたいわ」
エルク 「自分で選ぶのと人が買ってくるのと味が変わるわけじゃ」
セーラ 「がーっ!ああ言えばこうい………あら?」

 

暑さも手伝い痴話喧嘩が加速していきそうな所でピタリと言葉と足を止めるセーラ、それに続くエルク。
視線の先には二人組みのゴロツキに囲まれているセリス、どうやら彼も買い物帰りのようで袋を両手に持ってなにやら弁明しているのだが…

 

セーラ 「ユリウス君に、ラナオウもいない…と、マジメなあの子だから袋を地面に降ろして応戦とかしそうにないし」
エルク 「変な因縁でもつけられてるみたいだね…えーっと……すっごく嫌な予感がするんだけど」
セーラ 「そこの脳筋ハゲブラザーズ!そこのおん…男の子から手を引きなさい、嫌がってるでしょうが!」
エルク 「はぁ…予感的中……ま、ほっとかないのは良い所かもしれないけどさ」

 

嘆息するエルク、いつもとちょっと違う嘆息なのは人助けの為にセーラが首を突っ込んでいるからだろうか

 

ポール 「ねぇねぇ、ジャスミン君」
ジャスミン「なんだね、ポール君」
ポール 「アイスをおねだりしてるのを止められたよ、この気持ちはどう収めればいいと思う?」
ジャスミン「そうだね、ならあっちの人達が持っているアイスをおねだりしようか」

 

標的をこちらに見据えて近寄り始める二人、その刹那

 

セーラ 「エルク、併せなさい!至高の光、アーリアル!」
エルク 「了解。袋落とさないようにお願い」

 

一喝しながら速攻魔法発動と言わんばかりにアーリアル…もちろん直撃などさせない。そんな事をしたら位置的にその後方にいるセリスにも被害が及ぶのである。
目晦ましに併せて買い物袋を上空へと投げ、そのまま二人組みの元へと一直線に駆け出すエルク……そして

 

エルク 「シャイニングウィザアアアアアアアアド!」

 

見事な飛び膝蹴りを一方に喰らわせ、着地すると同時にもう一方へと胴回し回転蹴りで文字通り一蹴…はっきりいって魔術師の動きではありません。
宙に浮かんだ袋が自重と重力で落ちて、セーラがそれを受け止める頃には既に決着はついていた、正に秒殺である。

 

エルク 「セーラに言われて自宅学習した護身術セットがこんな所で役に立つとは…」
セーラ 「ま…柄じゃないけど、正義の鉄槌を下すお姫様に比べればマシな方よね……今度から買い物には兄弟連れていきなさいよ、治安が悪いのはお墨付きなんだから」
セリス 「ぁ……そうします、ありがとうございました。早くしないと皆のアイスが溶けちゃう…失礼します!」

 

礼を述べるとパタパタと慌てるように走り去るセリス

 

セーラ 「さって私達も帰るわよ、良い事した後のアイスは格別でしょうし」
エルク 「ま…自業自得っていうヤツかな、はいはい。荷物貸して」