4-70

Last-modified: 2007-07-23 (月) 00:06:20

『捕える』がおいしい季節です

 

マルス 「よし、それでは行こうか弟よ」
リーフ 「うん兄さん。レアアイテムガッポガッポだよ」
ロイ  「あれ、二人ともどこかに出かけるの?」
マルス 「やだなあロイ、知らないのかい?」
リーフ 「毎年恒例のこの祭りのことを」
ロイ  「祭り……?」
リーフ 「なんだ、本当に知らないのか。ほら、このチラシだよ」
ロイ  「なになに……」

 

 毎年恒例、トラキア地区強盗大感謝祭!
 とらえる&ぬすむ全解禁! 取りたい放題盗み放題!
 ※ 知らずに入り込んで身包み剥がされたとしても、当局は一切責任を持ちません

 

ロイ  「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!?」
リーフ 「だから、トラキア地区の強盗大感謝祭だよ」
マルス 「毎年毎年僕らが参加していろんなアイテムどっさり持ってきてるじゃないか」
ロイ  「……そう言えば、毎年この時期はやたらと家に物が増えるなあと思ってはいたけど」
リーフ 「まあそういうことさ」
マルス 「そんな訳で、僕がカモを選別してリーフが『とらえる』訳だよ」
ロイ  「フリーダム&クレイジーにも程があるよこの町……でも、大丈夫なのかなあ」
リーフ 「何が?」
ロイ  「僕みたいに事情を知らない人がトラキア地区に入り込んだら、大変なことに……」
セリス 「うわーん!」

 

 ブバァァァァァァァァァッ!

 

ロイ  「うわぁ、リーフ兄さんの鼻から機関銃のような血の雨が!」
リーフ 「こ、この人でなしーっ! せ、セリス、なんなのさそのきわどい格好は!?」
マルス 「服がところどころ破けてギリギリな部分の肌が露出……うは、テラエロス」
セリス 「しくしく……なんだかね、学校帰りにトラキア地区を通ったら、
     目が血走った女の子達が一斉に僕をつかまえて服を脱がそうと……」
ロイ  「うわぁ……」
セリス 「その内に男の人も参加してきて、皆凄く興奮してて怖かったから、
     必死に☆100銀の剣振るって死に物狂いで逃げてきたんだよ……」
リン  「……」
ロイ  「あれ、リン姉さん。セリス兄さんと一緒だったんだね」
リン  「……まあね」
ロイ  「……なんでそんなに不機嫌そうなの?」
マルス 「ははは、決まってるじゃないかロイ、セリスと一緒に歩いてたのに自分は見向きもされなかったいたたたた!」
ロイ  「……危険な目に遭わなかったんだからむしろ喜ぶべきなんじゃ……」
リーフ (ぷるぷる)
ロイ  「……どうしたのリーフ兄さん、小刻みに体が震えてるけど……?」
リーフ 「 こ の 手 が あ っ た か … … ! ! 」 
ロイ  「うわ、何か目が血走ってるよ!?」
リーフ 「そうだよ、何も奪っていいのが持ち物だけとは限らないはずだ……!」
ロイ  「ど、どういうこと……?」
リーフ 「『捕らる』の後に『解放』しなければ、合法的な人身売買が……!」
ロイ  「えぇ!?」
リーフ 「はうー! えっちできれいなおねえさんお持ち帰りぃぃぃぃぃぃっ!」
ロイ  「ちょ、リーフ兄さーっん!? ああ、行ってしまった……!」
セリス 「あの……ロイ」
ロイ  「え、なに?」
セリス 「……僕の服、取ってきてくれないかな……?」
ロイ  「……」
セリス 「……? ロイ……?」
ロイ  「あ、そうだよね、そのままだと恥ずかしいよね……」
セリス 「うん……はぁ、皆どうして僕の服なんか欲しがったんだろう……」
ロイ  (……何か、今一瞬『このまま眺めてるのもいいな』なんて選択肢が頭の中に……)

 

 ~一時間後~

 

リーフ 「……」
ゲイル 「……で、君は『捕える』で捕えた人を『解放』せずにトラキア地区から出て行こうとして補導された訳だが」
ツァイス「毎年数人はいるんですよねーこういう人たちが。ところで、そろそろ昼飯の出前頼みますね」
ゲイル 「……物を奪った後は即座に『解放』しなければならないルールがあると、チラシの隅っこに書いてあっただろう」
リーフ 「フ……さすがに抜け目がありませんね刑事さん……でも一つ、見落としていることがありますよ」
ゲイル 「なんだと?」
リーフ 「僕もまた、『捕える』コマンドに踊らされた、被害者の一人に過ぎないってことさ……」
ツァイス「ゲイルせんぱーい、カツ丼三つでいいんですよねー?」
リーフ 「あ、僕のはネギ抜きでお願いします」
ゲイル (なんか妙に場慣れしてるなこの少年……)