44-43

Last-modified: 2012-09-02 (日) 22:20:56

43 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:31:54.71 ID:txcxG7sm
『アイクVSセルジュ』

セルジュ「さあ、今日こそ年貢の納め時よ?」
アイク「クッ、追い詰められたか…」

魔物の群れを相手に修行中のアイクを例によってセルジュが追い掛け回していた。
アイクとしては苦手な相手なのでいつもなら逃走していたのだが、
ミネルヴァに乗って空から追跡するセルジュに巧みに誘導され
行き止まりに追い詰められてしまったのだ。

セルジュ「ふふふ、さあ観念しなさい」
アイク「(こうなったらやるしかあるまい…守ったらやられる…進んで活路を切り開く!!)」

ドス黒いオーラを纏ったセルジュがゆっくりと斧を振り上げ、ミネルヴァがそれに応えるように上昇する。
アイクは呼吸を整え、交錯するその一瞬に集中した。

「ハァァァァァァァァァァ!!!」
「大↑ 天→ 空↓ !!!」

ガギーン!!!

凄まじい金属音と共に両者が交差する。
アイクが着地した数秒後、アイクの後ろにセルジュの斧が空中より落下した。

アイク「…ッフゥ…!」
全身に溜まった気を吐き出す。
そしてゆっくりとセルジュの方を振り返る。
セルジュ「クスッ、私の負けね…その剣で私を好きにすればいいわ」
振り向かずにセルジュが言う。
アイク「いや…何もせん。今日はこれで帰らせてもらう」
セルジュ「あら、情をかけたつもり?」
アイクの言葉を侮辱と受け取ったのか、不機嫌な顔をしたセルジュが振り向く。
アイク「俺は自分を高め、強くなるために魔物と戦うという方法をとった。
    それが正しいのかどうかなどわからんが、自分を高めようとする道を貫こうとしていることには変わりはない」
セルジュ「………」
アイク「そしてあんたは魔物を守るために俺と戦う道を選んだ。
    自分の道を貫こうとしている俺に、あんたの道を否定する資格はない」
セルジュ「でも、このまま私を生かして帰せばまたあなたの邪魔に表れるかもしれないわよ?」
アイク「そうかもな…だがそれは仕方がない。エリンシア姉さんのように話し合いで解決しようというのならともかく
    俺の選んだ道は戦いの道だ。お互いの信念を戦いでぶつけ合う、そういう道だろう…それに」
セルジュ「それに?」
アイク「正直ここまで追い詰められたのは久しぶりだ。
    ここであんたと戦えた。それだけで自分で考えていた以上の修行になった。」
セルジュ「あら、それじゃまるで私があなたの修行相手になったみたいな言い方ね」
アイク「気に触ったならスマン、だがそれが俺の本音だ。じゃあな」
セルジュ「待ちなさい」
44 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:32:12.08 ID:txcxG7sm
踵を返して帰路につこうとするアイクの背中にセルジュからの声がかかった。
怪訝そうな顔をして振り返るアイク。
たとえ再戦しようにも少なくとも彼女の腕はしばらく痺れて動かせないはずだ。

セルジュ「つまりあなたの身になる修行ができれば魔物ちゃんたちは殺されずに済むのよね?」
アイク「まぁ…確かにそういうことにはなるかもしれんが…」
セルジュの問いに疑問符を浮かべるアイク。

セルジュ「確かあなたはセリスちゃんのお兄さんなのよね?」
アイク「ああ、セリスは俺の弟だ。まぁあんたがうちに来たときは俺は隠れていたが」
バツがわるそうに頭をかくアイク。
それを見たセルジュは軽く微笑んでアイクに告げた。
セルジュ「じゃあ今度セリスちゃんと一緒にヴィオール家においでなさい」
アイク「何?」
セルジュ「魔物ちゃんたちを殺されるよりは私が相手を務めたほうがお互い都合が良いのではなくて?」
アイク「確かにそれはそうだが…いいのか?」
困惑するアイクにセルジュは笑顔のまま続ける。
セルジュ「私としても魔物ちゃんたちを殺されるよりは全然いいもの。
     その代わり、魔物ちゃんたちを殺すのはやめて頂戴ね?」
アイク「あ、あぁ…」
アイクが武器も持たない女性に気押されるというのも珍しいが
この場合相手が悪かったというべきだろう。
否応なしに頷いてしまった。

セルジュ「ふふ…よろしい。では失礼させていただくわ」
そう言うとまだ痺れているはずの腕で落ちている斧を取り、ミネルヴァと共に空に舞い上がり消えていった。
アイク「参ったな…」
そして一人残されたアイクは苦り切った表情で頭をかくのだった。
45 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:32:29.38 ID:txcxG7sm
数日後

セリス「じゃあ、行ってきまーす!! お昼ご飯はいらないからね!」
ミカヤ「ええ、行ってらっしゃい、気をつけてね」
セリス「うん!」
マミーくん人形を持ったセリスが出かけようとしたところに声がかかった。
アイク「セリス、もしかしてヴィオール家に行くのか?」
セリス「うん、そうだよ! よくわかったね!」
アイク「そうか…すまんが俺も連れて行ってくれんか?」

「「「「えええええぇぇぇぇぇ!?」」」」

兄弟たちから驚きの声が上がる。
確か修行を邪魔されて以来アイクはセルジュを苦手にしていたはずだ。

アイク「何故そんなに驚く?」
エフラム「い、いや、兄上はあの女性は苦手だと散々こぼしていたからな…」
ヘクトル「あ、わかったぜ! お礼参りに行こうってんだろ!?」
エリウッド「そんなわけじないじゃないか…きっとお詫びに行くつもりなんだよ」
アイク「あいにくどれもハズレだ。セリス、かまわんか?」
セリス「うん、わかった!こっちだよアイク兄さん!!」

珍しくアイクと出かけられるとあってセリスの声が弾んでいる。
あっというまに兄弟たちの視界から消えてしまった。

リン「一体何があったのかしらねぇ…」
ミカヤ「ねぇエイリーク、ヴィオールさんのとこにお詫びに行く時の贈り物買っておいてくれないかしら」
エイリーク「は、はい! 早速行ってきます!」
ロイ「迷惑掛けに行くのはもう確定してるんだね…」

そんな兄弟たちのやりとりとは裏腹に、アイクとセリスはヴィオール家の話をしながら道を進んでいた。
セリス「それでね、ヴィオールさんの家ってすごく広いんだ!」
アイク「そうだろうな、なにせ飛竜を飼ってるんだから」
セリス「あ、そういう言い方しちゃダメだよ兄さん。
    ミネルヴァちゃんはペットじゃなくてセルジュさんの家族なんだから!」
アイク「そ、そうなのか? すまん、気を付けよう」
セリス「で、ヴィオールさんはね…」
46 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:32:48.28 ID:txcxG7sm
そんなことを話しているうちに二人はヴィオール家についた。
呼び鈴を鳴らすとセルジュの声がインターホンから聞こえてくる。
セルジュ「はい、どちらさまでしょう?」
セリス「あ、セルジュさん? セリスです! 今日はアイク兄さんも一緒なんだけど」
セルジュ「まぁ、お二人ともよくいらっしゃいました。すぐに向かうので少々お待ちを」

しばらく待つと門が開いてセルジュが表れる。
無意識に手に汗握るアイクをセルジュは微笑みながら見つめる。
セルジュ「あら、ずいぶん緊張しているようだけどちゃんと約束は守ってもらっているのかしら?」
アイク「ああ、俺は約束を破るようなことはせん。ただどうも苦手意識が抜けなくてな」
セルジュ「ふふっ、ならいいわ。お二人ともこちらへ。アイクには一応私の主人を紹介しておくわね」
アイク「主人?あんた結婚してたのか?」
セルジュ「あらあら、主従といったほうがよかったかしらね。私はヴィオール家に仕えているのよ?」
アイク「そ、そうか。すまん」
今まで接してきた女性陣とはいろいろと異なるマイペースのセルジュには
さすがのアイクも調子を狂わされている。

庭に案内されると長髪の紳士風の男が二人を迎えた。
ヴィオール「やあ、よくきたねセリス君」
セリス「おはようございますヴィオールさん!ご機嫌いかがですか?」
ヴィオール「フッ、私は今日もいつもと変わらず貴族的に遅めのモーニングティータイムを過ごしていたところだよ。
     そしてそちらがセリスくんの兄君かい?」
アイク「ああ、アイクだ」
ヴィオール「君のことは街の噂やセルジュくんから聞いているよ。いや実に災難だったねぇ
      よりによってセルジュ君に目を付けられるなんて…ってセルジュ君!?
      じょ、冗談だよ冗談! とりあえずその斧を下ろしてくれたまえ!!」

この従者にしてこの主ありか、等と考えるアイク。
さて、挨拶したはいいがどうしたものであろうか、考えているとセルジュがさっさとティーセットを片付け始めた。

ヴィオール「セ、セルジュくん!? まだ私のティータイムは終わっていないのだが…」
セルジュ「ご心配なさらず、場所を移すだけですわ。
     ここだと訓練に巻き込まれるかもしれませんから
     そちらでセリスちゃんとティータイムの続きをしてくださいね」ニッコリ
ヴィオール「ふぅ…了解したよ。ではセリス君、我々は世にも稀なる闘技を観戦しながら
     優雅にティータイムの続きと洒落込むとしようではないか?」
セリス「闘技ってヴィオールさんとアイク兄さんが?」
ヴィオール「フッ…私が彼と戦ったりしたら一瞬で星にされてしまうことは火を見るより明らかだよ」
セリス「えぇっ!? じゃあ兄さんとセルジュさんが戦うの!?」
ヴィオール「そのとおり、事前に話は聞いていたし心配することはないよ。
      我が家は薬も多数取り揃えてあるからね」
セリス「大丈夫かなぁ…」
47 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:33:22.98 ID:txcxG7sm
心配するセリスをよそにお互いの獲物を持って構えるアイクとセルジュ。
アイク「今日はあの飛竜…ミネルヴァだったか? あいつには乗らないんだな?」
セルジュ「ええ、ミネルヴァちゃんは今日は休憩中。それに私はバトルシスターでもあるから遠慮はいらなくてよ?」
アイク「なるほど…」
バトルシスターは杖も使うが耐久力に優れた斧使いという面も大きい。
セルジュの技量をもってすれば特にハンデにもならないのだろう。

アイク「ではいくぞ! ぬぅん!!」
セルジュ「でやぁぁぁぁぁ!!」

ガキーンガキーンギャーコノヒトデナシーブォンガガガガガゼツメツスルーチュイーンビシュッ

セリス「うわぁ、すごい! セルジュさん全然アイク兄さんに負けてないよ!」
ヴィオール「ふむ…噂通りの腕だね、まぁどちらも本気を出しているとは言いにくいが…」
セリス「えっ? そうなんですか?」
ヴィオール「あの二人が本当に本気を出したら我々の茶席どころか屋敷が倒壊してしまうよ
      あれはあくまで基本の型をぶつけ合う型稽古のようなものだね」
セリス「へぇ、それでもあんなにすごいなんて二人とも本当に強いんですね」
ヴィオール「まぁ本来なら武器が斧のセルジュくんの方が若干不利なはずなのだが
      君の兄君は少々やりづらそうな感じだね。
      噂では女性相手でも手加減などできないと聞いていたのだが」
セリス「う~ん、たぶん修行中に追いかけられてそれがトラウマになってるんじゃないですか?」
ヴィオール「なるほど! ハハハ! たしかにセルジュくんが目の色を変えて追い掛け回してきたら
      トラウマにもなるだろうね。アッハッハうわっ!!」

ヴォン!! ガス!!
ヴィオールの鼻先を手斧がかすめて柱に突き刺さる。

セルジュ「あらあら、申し訳ありませんヴィオール様。うっかり手が滑りました」ニッコリ
ヴィオール「セセセセルジュ君、明らかに確信犯的な命に及ぶような警告はやめてくれたまえ!」
セルジュ「その口が閉じたら手が滑ることもなくなると思いますわ」
アイク「………」
48 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:34:03.48 ID:txcxG7sm
今の割とどうでもいいやりとりはともかくアイクはセルジュの技量に内心舌を巻いていた。
確かに打ち合いならば自分のほうが有利ではあるが、巧みな位置どりと防御で
剣と斧の不利を見事に相殺している。
単純な力勝負になれば押し切れるかもしれないが、そんな無粋をするにはもったいない相手だ。

セルジュ「さて、では続きをしましょうか。というところだけど一ついいかしら?」
アイク「なんだ?」
セルジュ「この前のように力でねじ伏せようと思えばできるはずなのにそれをしないのはなんでかしら?」

気づかれていた、鋭い女性だ。
手加減していた、等の理由によっては許さないという誇りの高さを感じる。

アイク「あんた程の斧の使い手は俺の記憶の中でもそうはいない。
    俺は勝つためにここに来たわけじゃない、前にも言ったが自分を高めるために来たんだ。
    だからあんたとは純粋に技量で勝負したい」

アイクの言葉を聞いたセルジュはニッコリを笑みを浮かべると斧を構えなおす。
セルジュ「ふふ、嬉しい答えね。それじゃ行くわよ!」
鋭い一閃がアイクの胴をかすめる。
冷静にその軌道を見切ったアイクがカウンターを入れようとするが
鋭く弧を描いて戻ってきた斧にはじかれる
アイク「かなり やる」

セリス「うわぁ…また動きが早くなった」
ヴィオール「だんだん本気を出してきた、というところだねぇ。しかし…」

確かにヴィオール家の庭は広い、がさすがにこの二人が気合を入れて戦うにはさすがに足りない。
攻防の所々で柵や家具が破壊される。

ヴィオール「まぁ、たまのことだから仕方ないね」
苦笑するヴィオール。
達人同士の戦いを特等席で見られるのだから文句は言うまい。そんな顔である。

そしてそうこうしているうちに昼を告げる鐘がなった。
ヴィオール「はい、二人ともそこまでだ!」
ヴィオールが手を叩いて二人を止める。
かなり長い間打ち合っていたはずだが多少生きの乱れはあるものの両者共目立った疲労は見られない。
ヴィオール「(本当に私と同じ人間なのかね)」
少し呆れるヴィオールであった。
49 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:34:20.85 ID:txcxG7sm
セリス「兄さん、セルジュさん! 二人ともすごい!!」
興奮した様子のセリスが二人に駆け寄る。
アイク「さすがだな」
心底感心したという顔でアイクがセルジュを讃える。
セルジュ「ふふ…お褒めに預かり光栄の極み、というべきかしら? 
    そうそう、セリスちゃん。お昼を作るのが遅れてしまったから手伝ってくれないかしら?」
セリス「うん、わかったよ!」
頷くセリスだが、アイクが呆れたような声を上げる。
アイク「あれだけ打ち合った後なのに今度は昼飯作りか? タフだな」
セルジュ「あら、あなたもあまり人のことは言えないんじゃなくて?」
アイク「それはまぁ、そうなんだが…」

アイクは訓練で相手が女性だろうと手抜きはしない、それは相手にとっての侮辱だと考えているからだ。
だがそれでも男女の体力差は知っているつもりだ。
それだけにセルジュのタフネスには驚かされてしまう。

ヴィオール「さて、アイク君。そういうことだから我々が優雅に昼食を待とうではないか。
      出来るまでの間お茶でも飲むかね?」
アイク「いや、水でいい」

残念そうな顔をしたヴィオールだがコップに水を入れてアイクに手渡す。

アイク「すまん」
ヴィオール「なに、構わんよ。本気でセルジュくんの相手をしてくれた礼さ」
アイク「確かにあれほどの技量では本気で戦える相手などそうはいないだろうな」
ヴィオール「まぁ、ね。そういうわけだから君を追い掛け回していた時のセルジュくんは
      実に生き生きとしていたよ」
アイク「その話は勘弁してくれ」

顔をしかめるアイクを面白そうに見つめるヴィオール。

ヴィオール「それに私としても町内最強と呼ばれる男の力の一端を見れて実に有意義だったよ」
アイク「俺などまだまだだ」
ヴィオール「おやおや、謙遜など…ん? どうやら昼飯ができたらしい。案内しよう」
アイク「俺も行っていいのか?」
ヴィオール「今日の君はヴィオール家の客だからね、遠慮等することはないさ」
50 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:34:42.78 ID:txcxG7sm
そしてヴィオール家の食卓に足を踏み入れた二人だが…

ヴィオール「セ、セルジュ君!? これは流石に量が多すぎやしないかね!?」
セルジュ「あら? そんなことはないと思いますが?」
ヴィオール「確かにあれだけの運動をすれば食欲が出るのはわかるが
     これだけの量を食べたらスタイルにも悪影響が出てただでさえ遅れている婚期が…
     って冗談だからその斧をしまってくれたまえ!!」
セリス「あのね、ヴィオールさん。これ、アイク兄さんの分なんだよ」
ヴィオール「そ、そうなのかね!?」
アイク「いや…確かに俺はかなり量を食うほうだが、わざわざその量に合わせてくれたのか?」
セルジュ「ええ、今日のあなたはお客様ですもの。お客様から不満が出るような料理は出せませんわ」
ニッコリと微笑むセルジュ、おそらくアイクの普段の食事を聞くためにセリスに手伝わせたのだろう。
つくづく抜け目のない女性だ。
呆れ半分感心半分で席に着くアイク。

そして少々遅めのランチタイムが始まった。
ヴィオール「セルジュくん、すまないがヴァルム風ドレッシングをとってもらえるかい?」
セルジュ「どうぞ」
セリス「やっぱりセルジュさんの料理は美味しいね!!」
セルジュ「うふふ、ありがとうセリスちゃん」
もう一人は、というと三人のやりとりに全く関心を向けずひたすら食う、食う、食う。

ヴィオール「う~ん、4人でもこの量はいささかどうかと思ったが全くの杞憂のようだねぇ」
セリス「ごめんねセルジュさん、兄さん美味しい食事が出ると全然喋らないで食べることに集中しちゃうから」
申し訳なさそうなセリスに笑顔を返すセルジュ。
セルジュ「あら、じゃあお味の方は気に入ってもらえたのかしら?」
アイク「ああ、家の料理以外でこんなに美味い料理を食ったのは久々だ」
セリス「うわっ!アイク兄さんが食事の最中に喋った!?」
アイク「何を言っているんだセリス?もう食い終わったぞ」
セリス「嘘っ! 僕まだ半分なのに!?」
ヴィオール「いやいや、凄まじいばかりの食欲だね。そんなに気に入ったのかい?」
アイク「ああ」
セルジュ「あらあら、おだててももう残ってないわよ?」
ヴィオールの呆れたような言葉とセルジュの冗談に真顔で返事を返すアイク。
アイク「俺は世辞は言わん。本当に美味かった、すごいなあんたは。
    あれだけの使い手なのにこんなに美味い料理まで作れるとはな。
    俺など作れて肉の丸焼きが精々だ」
ヴィオール「まぁセルジュくんは家事全般得意だからねぇ」
セリス「う~ん…でも家事全般得意でこういう料理を作る兄さんって想像できないから
    別にいいんじゃない?」
アイク「確かにそうかもしれんな」
セルジュ「ふふ、ありがとう」

人によっては赤面してしまいかねない賛辞にも余裕を崩さずに笑顔で答えるあたり
さすがはセルジュと言えるのかもしれない。
51 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:34:59.66 ID:txcxG7sm
昼飯と後片付けがひと段落し、4人はセルジュの入れたお茶を飲んでいた。
ヴィオール「さて、午後になったら工務店を呼んで庭の修繕を頼もうかね」
セルジュ「あら、あのくらいだったら私が直しますわ」
アイク「いや、俺がやろう」
セルジュ「あら、お客様にそんなことさせるわけにはいかないわ」
アイク「半分は俺が壊したものだしな、飯の礼も兼ねさせてくれ
    それに今日セリスはあんたに会いに来たんだろう?
    相手してやってくれないか?」
ヴィオール「そういえば君は工務店で働いているんだったね、ならお願いしようか」
セルジュ「ヴィオール様!」

抗議の目線を向けるセルジュにヴィオールは飄々と答える。

ヴィオール「本来の君の用事はセリス君のお相手だろう?
     それに彼は打算等ではなく純粋な厚意から言ってくれている。
     断るのもそれはそれで礼儀に反するのではないかね?」
アイク「俺も工務店で働いている人間だ。後からあんたの手を煩わせるような修繕はせん、頼む」
セルジュ「ふう、仕方ないですわね、ではお願いしますね。セリスちゃん、じゃあ私の部屋に行きましょうか」
セリス「うんっ!」

セリスとセルジュが廊下の先に消えたのを確認したアイクはヴィオールに声をかけた。

アイク「気を使ってもらってすまん」
ヴィオール「何、構わんよ。人の行為を素直に受ける寛容さも貴族としては必要だからね」
ニヤっと笑うヴィオールに苦笑するアイク。
アイク「それなら面倒ついでに修繕の監修を頼めないか? 
    あんたの目から見ておかしくなければ後で文句も出んだろう」
ヴィオール「フッ、そのくらいお安い御用さ」

53 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:36:35.65 ID:f5doJ8h9
夕方

アイク「セリス、もういいのか?」
セリス「うん! でもすごいね兄さん! あんなに壊れてたのに半日で元通りにしちゃうなんて」
セルジュ「餅は餅屋、というわけね。流石に私じゃこう早くは直せなかったわ」
アイク「本当か? あんたならやりかねない気がするんだが…」
セルジュ「うふふ、私だって万能じゃないわよ。じゃあセリスちゃんまたね」
セリス「うん、バイバイ!セルジュさん!」
アイク「今日は世話になった、礼を言う。また手合わせを頼むかもしれんが構わないか?」
セルジュ「ふふ、構わないけどここでちゃんとした立ち会いをしたいなら魔物ちゃんたちを殺しちゃダメよ?」
アイク「わかった」
そう苦笑するとアイクはセリスと帰路についた。

数日後 マルスの部屋

リーフ「マルス兄さんまたデイトレ?」
マルス「今日はもう終わりだよ。それよりこれ見てみなよリーフ。ププ」
リーフ「ああ、紋章町板? なになに?
    【アイクの嫁候補に戦闘家事万能年上美女参戦!?】Part471
    …なにこれ?って勢い3万超えってVIPじゃあるまいし…」
マルス「これでも勢い落ちたほうだよ、なんたって立てたのは数日前だからね」
リーフ「ああ、やっぱり立てたのマルス兄さんなんだ。
    ってこれってこないだアイク兄さんがセリスとセルジュさん家に行った時の話だよねこれ。
    僕も行きたかったなぁ」
マルス「君は朝からアズールと街にナンパに出かけてただろ?自業自得だよ」
リーフ「それはそうなんだけどさぁ、って何書いてんの?」
マルス「燃料の投下 空想覚醒風S支援会話」
リーフ「なにそれこわい」

54 :助けて!名無しさん!:2012/06/02(土) 21:37:01.11 ID:f5doJ8h9
アイク:セルジュ。
セルジュ:あらアイク、今日も手合わせかしら?
アイク:いや、今日はお前に渡したいものがある。
セルジュ:あら、あなたがプレゼントなんて今日の天気はラグネルかしら?
アイク:天気がラグネルってなんだ…とにかくこれだ。
セルジュ:まぁこれは…ソードバスター?
アイク:ああ、あんたがこれを使ってくれれば俺は更に高みに上り詰められる気がする。
セルジュ:うふふ、あまりロマンチックな贈り物じゃないけどありがたく頂いておくわ。
アイク:あともう一つ…渡したいものがあるんだが…。
セルジュ:どうしたの?あなたが言い淀むなんて珍しいわね。
アイク:これだ。
セルジュ:まぁ…指輪? これって…
アイク:俺は他人に何かをねだったりとかそういうことにはほとんど無縁で生きてきた。
    だが、お前にはねだりたくなったんだ。
    これからもずっと俺の生に付き合って…そしてずっと美味い料理を作ってくれないか?
セルジュ:あらあら、ずいぶんと身勝手な結婚要求ね。
アイク:すまん、だが俺には着飾った言葉が言えん……ダメか?
セルジュ:まさかフラグブレイカーなんて呼ばれる人からこんな言葉が聞けるなんて思わなかったわ。
     ふふ、でもあんなに美味しそうに私の料理を食べてくれるなら悪くないかしら。
     それにあなたといれば魔物ちゃんも殺されずに済むしね。
アイク:そうか…ありがとう。礼を言う。
セルジュ:うふふ、婚期を逃したなんて思ってたけどまさかの展開ね。
アイク:そうなのか?俺には十分綺麗に見えるが…
セルジュ:まったくもう、そんなだからフラグメイカーなんて呼ばれるのよ。
     でも嬉しいわ。これからもよろしくね、アイク。
アイク:ああ、こちらこそよろしく頼む。セルジュ。

書き込みますか? Y/N

マルス「ほい、投下」
エリンシア「みんなご飯よ~!」
リーフ「どうするの?」
マルス「とりあえず夕飯の後にどうなってるか見てみようか」

夕飯後

マルス「鯖落ちワロスwwwwwww」
リーフ「これはひどい、空想支援会話一つで鯖とばすとかアイク兄さんはイチローですか」