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Last-modified: 2007-09-16 (日) 20:53:18

それはセクハラですよエフラム兄さん

エフラム 「ターナたちと一緒に、フレリア家所有の海辺の別荘へ行くことになった」
ロイ   「マジッスか!?」
エイリーク「はい。他にも、ヒーニアス様やラーチェルが同行します」
エリンシア「ああ、とうとうエフラムちゃんにもまともな恋愛の機会が……!」
ミカヤ  「ありがとう、天国のお父さんお母さん、本当にありがとう!」
エフラム 「……大袈裟すぎだ。単に友達と一緒に遊びに行くだけだぞ」
エリンシア「いいえ、これは正道に戻るための最後のチャンスです!」
ミカヤ  「そうよ! エフラムはもう既に危ないロリコンお兄さんとして近所でも有名なんだから!」
エフラム 「……認めたくはないが、確かにそういう風潮はあるかもしれん」
エリンシア「必ず、必ずこの旅行で一夏の思い出を!」
ミカヤ  「いっそのこと捨てちゃってもいいから、いろいろと!」
リン   「ストップストップ、言動が危なくなってるわよ二人とも!」
エフラム 「……やれやれ、大騒ぎだな」
エイリーク「ですが、確かに皆さんと親睦を深めるのは大切なことです。
      兄上、気心の知れた仲とは言え、礼節を失わないように注意しましょう」
エフラム 「分かっている。大丈夫だ、我が家には女も多いんだ、気遣いの方法は知っているつもりだ」
エイリーク「さすが兄上です」

 ~で、旅行当日~

ターナ  「と、いう訳で、到着しましたーっ!」
ラーチェル「おーっ、我がロストン家には負けますけれども、なかなかの別荘ですわねーっ!」
ヒーニアス「……妙に元気だな、彼女らは」
ターナ  (当然! 今回はミルラちゃんに気を遣う必要もないし、エフラムとの距離を縮める絶好のチャンス!)
ラーチェル(ふふん、この私の辞書に敗北の辞書はございませんわよ、ターナ)
ターナ  (言ってなさい。見てなさいよ、絶対エフラムとロマンチックな雰囲気になってみせるんだから!)
ラーチェル(それはこちらの台詞ですわ。あれこれと策も用意したし、こちらの気分も上々ですから)
二人   (必ず、エフラムとロマンチックな雰囲気に……!)

エイリーク「……なんだか、お二人がやけに張り切っているような……」
エフラム 「そうだな。久しぶりに来たが、やはり海はいい……気分が昂ぶるのも分かる」
ヒーニアス「フ……では早速、泳ぎで一勝負するか」
エフラム 「ああ、いいぞ……が、その前に。皆、ちょっと聞いてくれ」
ターナ  「え?」
ラーチェル「なんですの?」
エフラム 「今回の旅行は滞在期間が少し長いからな。俺なりに気を遣って、
      必要だと思われるものを買ってきた。確認しておいてくれ」
ターナ  「え、なになに、花火とか?」
ラーチェル「だとしたら、エフラムにしてはずいぶん、気が……利いて……」
エイリーク「……? どうしたんですか、二人とも……」

 エフラムの持っていた袋の中身を見下ろして、ターナとラーチェルが絶句している。
 不思議に思ってエイリークが中を覗き込んでみると……

エイリーク「……これは……」

 ・化粧品各種
 ・体臭対策用のスプレー
 ・無駄毛剃り用の安全剃刀
 ・便秘薬
 ・生理用品etcetc……

ターナ  「……」
ラーチェル「……」
エフラム 「……? どうした、何か足りないものでもあるのか?」
ターナ  「……足りないものっていうか……」
ラーチェル「……エフラム、あなた、一体どういうおつもりでこんなものを……」
エフラム 「いつも我が家の女性陣が使っているものを参考にした。
      料金については気にしなくていいぞ、参加費代わりだと思ってもらえれば」
ターナ  「そういう意味じゃなくてね!」
ラーチェル「あなたは……もう、あなたという方は……!」
エフラム 「……ああ、そうか、分かったぞ」

 ポン、と手を打つエフラム

エフラム 「ナプキンよりタンポンの方がよかったということか」
ターナ  「……」
ラーチェル「……」

 ~兄弟家、居間~

エフラム 「……」
ロイ   「うわ、なんでいきなりワープしてきたの、エフラム兄さん!?」
エフラム 「分からん。何故だか急に追い出された」
ロイ   「えっ……じゃあ、ラーチェルさん辺りを怒らせたとか?」
エフラム 「そうだとは思うが……何故怒ったのかは分からん。俺は最大限気を遣ったつもりなんだが……」
ロイ   「何か、変な勘違いでもしたんじゃないの?」
エフラム 「そんなことはない。普段姉上たちが使っているものを参考にして、
      女性には絶対必須の品物を漏れなく用意していったつもりだぞ」
ロイ   「ふーん……女の人って難しいね」
エフラム 「そうだな。やはり俺には縁のない生き物のようだ」

 その後、エイリークが必死に頭を下げたので、エフラムはなんとか旅行に復帰できた。
 が、ターナ、ラーチェル共に大幅にテンションダウンしていたので、
 結局、エフラムは旅行中ヒーニアスと勝負してばかりという、いつも通りの結果に終わってしまったらしい。