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Last-modified: 2007-11-09 (金) 23:28:35

僕らには○○が足りない

 

マルス  「ふう……平和だねえ、ロイ」
ロイ   「そうだねえ……たまには、こんな風にのんびりした休日も悪くないね」
マルス  「いや全くだよ……ん?」
リーフ  「兄さん、ロイ」
ロイ   「どうしたのリーフ兄さん、深刻そうな顔して」
リーフ  「うん。僕はあることについて必死に思い悩んで、ついさっき答えを出したところなんだよ」
マルス  「……よく分からないな」
ロイ   「何を考え付いたっての?」

 

リーフ  「僕らには幼女が足りない」

 

マルス  「……ロイ、総合病院の電話番号って何番だっけ?」
ロイ   「いや、この場合は110番の方がいいんじゃないかな?」
リーフ  「ちょ、せめて詳しく話を聞いてからにしてよ!」
マルス  「黙らっしゃい! おねいさんならともかく、ちっちゃい女の子にまで手を出そうだなんて」
ロイ   「さすがに小さな女の子相手だったら問答無用で犯罪だよ」
リーフ  「ち、違うよ! そういう意味じゃないんだよ!
      僕が言ってるのはさ、ネタの幅のことなんだ」
マルス  「どういうことさ」
リーフ  「つまりね。やっぱり、大家族物に幼い女の子……いや、男の子でもいいな。
      とにかく、幼稚園児ぐらいの子は必須だと思うんだ!
      そういう、無条件に守られる存在がいるかどうかで、描かれる話の幅は大きく変わってくると思う!
      たとえばヒーローに憧れて、素振りするアイク兄さんの隣で一生懸命棒切れを振り回してみたり!
      お姉ちゃん達と一緒に入浴して、『ねー、リン姉ちゃんとエイリーク姉ちゃんは、
      どうしてこんなにおっぱいの大きさが違うの』とか無邪気にひどいこと言ってみたり!
      オママゴトと称して泥団子を作った挙句、エリウッド兄さん辺りに『食べて』ってせがんで困らせてみたり!
      おねしょの責任をヘクトル兄さん辺りに押し付けてみたり!
      初めてのお使いに出かけるその子を家族全員ではらはらしながら追いかけてみたり!
      とにかく、小さな子がいるってだけで、そういうイベントがたくさん書けるようになるわけですよ!」
マルス  「10行にもわたる熱い主張どうもありがとう。言いたいことは分かったよ」
リーフ  「さすがマルス兄さん!」
ロイ   「でもなぁ……僕らはなんだかんだ言っても、戦争するゲームの主人公だよ?
     さすがに、幼稚園児ぐらいの女の子がそういうゲームの主人公になるのは無理があるような……」
マルス  「というかいろんな方面から避難轟々だろうね、そんなことになったら。
      つまり、君の望む幼女が我が家の一員になることは、永遠にあり得ないってことさ!」
リーフ  「僕だって分かってる……でも、諦めきれないんだ!
      やっぱり幼女は必要だよ。僕らには幼女が足りない」
ロイ   「……何がそこまでリーフ兄さんを突き動かすの?」
リーフ  「だってほら、幼女の妹がきっかけで綺麗なおねいさんや子連れの若奥様と知り合いになってハァハァ」
マルス  「結局そこかい」
リーフ  「とにかく、どうにかして幼女を我が家に引き入れる必要があると思うんだ」
マルス  「ねーよ」
ロイ   「……大体にして、そんなことできるはずがないじゃないか」
リーフ  「いや、ここはあえて不可能を可能にするべく挑戦してみるべきだと思う」
マルス  「まあいいけどね。じゃあ、君が考える策とやらを教えてもらおうか」
リーフ  「分かった。まずは……」

 

1.トラキア王道編

 

ファ   「るーるるるるー♪」
リーフ  「やあ、こんにちはファ」
ファ   「あ、はっぱのお兄ちゃんだ! こんちはーっ!」
リーフ  「ははは、ファはいつも元気だねえ。ところで、飴玉持ってるんだけど、いるかい?」
ファ   「わぁ、ありがとうお兄ちゃん。いただきまーす……Zzzzzz……」
リーフ  「……さすがリオンさん特製の『魔王も眠る睡眠薬』入りの飴玉だな……よし、あとは……」

 

    たいき
    こうげき
 ニア とらえる

 

ロイ   「ちょ、それ犯罪だから!」
マルス  「せめて最低限のモラルは保つんだ!」
リーフ  「……ダメかな、やっぱり」

 

2.かみさまにおねがい☆編

 

ユンヌ  「わーい、アイクお兄ちゃーん、遊んで、遊んでーっ!」
アイク  「……」

 

ロイ   「ああ、凄い、あのアイク兄さんが露骨に引いた表情を見せている!」
マルス  「……そりゃまあ、中身が違うとは言え実の姉にあんなことされたら誰でも引くよね……」
リーフ  「うーん、ユンヌさんに幼女の演技をしてもらう作戦もだめか……」
ロイ   「っていうか、演技じゃ意味ないでしょこの場合……」

 

3.超天才リオンの大発明!編

 

リオン  「君の願いは聞き届けた! という訳で、これが若返りの薬だよ」
ロイ   「ちょ、仕事早すぎw」
リーフ  「うーむ、この液体の見事なまでの緑色……もはや芸術だなこの怪しさは!」
マルス  「……さすがに、これをすぐに誰かに飲んでもらうのは気が引けるね……」
ロイ   「そうだね……どうしようか」
マルス  「こういうときは……ジェイガーン!」
ジェイガン「はっ、お呼びですか、マルス様!」
マルス  「はい、これ飲んで」
リーフ  (うわ、笑顔で言ったよ!)
ロイ   (相変わらず血も涙もないな……!)
ジェイガン「む……毒見ですか。分かりました、このジェイガン、見事その大役を果たしてみせましょう!」

 

 叫び、一気に薬瓶の中の液体を飲み干すジェイガン。一瞬後、

 

赤ん坊  「オギャー、オギャーッ!」
マルス  「うわ、本当に若返った!」
リーフ  「凄いな、効果覿面だよこの薬!」
ロイ   「……って、ちょっと待って? ジェイガンさんが飲んで赤ん坊までいっちゃうってことは……」
リーフ  「……普通の女の人が飲んだら……」
リオン  「うん、多分オタマジャクシぐらいまで逆戻りするんじゃないかな?」
リーフ  「意味NEEEEEEEE!」
マルス  「ある意味一撃必殺の兵器だねこれは……まあいいや、折角だからあの人のところにでも送り届けておこう」

 

ニイメ(幼)「こりゃバカ孫、とっとと掃除せんかい!」
ヒュウ  「いてぇ! な、なんでこんなちっこい女の子に尻蹴られながら掃除なんかせにゃならんの!?」
ニイメ(幼)「やかましいんだよ! 早くやらないとミィルお見舞いするよ!」

 

マルス  「これはひどい」
リーフ  「……どっちにしても、中身が大人のまんまじゃあんまり意味ないんだよね」
ロイ   「この案も没、と……」

 

4.年上の人に期待してみる編

 

ロイ   「あの……兄さん。本当にやるの?」
マルス  「ああ。お約束じゃないか。この流れでやらなかったらきっと皆ガッカリだよ」
リーフ  「さすが兄さん。大丈夫、リカバーの杖は用意してるから、ガンガン行っちゃっていいよ!」
マルス  「分かった。それじゃ、行ってくるよ」

 

マルス  「リン姉さーん!」
リン   「ん? なに、マルス」
マルス  「突然ですが、僕は小さな妹がほしくなりました!」
リン   「……なんですって?」
マルス  「でも僕らには両親がいないので、それは望むべくもありません。ですから」
リン   「……ですから?」
マルス  「とりあえずリン姉さんに外で子供を作ってもら」

 

ロイ   「ああ、マルス兄さんがミンチより酷いことに……!」
リーフ  「くっ……なんて破壊速度なんだ! リカバーが追いつかないだなんて……!」
ユンヌ  「もう……マルスちゃんたら、妹的なのがほしいんだったら、わたしがすぐにでもアイクと」
ロイ   「自重してくださいねお願いですから」

 

5.ヘクトルの嫁編

 

フロリーナ「ヘ、ヘヘヘヘヘヘ、ヘクトル様!」
ヘクトル 「うわ、なんだいきなり!? 脅かすんじゃねえよ!」
フロリーナ「ごごごごご、ごめんなさい! あの、あのあのあのあの! わた、わたし、わたし……!」
ヘクトル 「落ち着け。いつも以上に顔真っ赤で挙動不審だぞお前」
フロリーナ「は、はい。……落ち着いて、落ち着くのよフロリーナ。こういうときは深呼吸……スー、ハー……」
ヘクトル 「……で、何か用か?」
フロリーナ「あ、あの……! わ、わたし、ヘクトルさまのためだったら、その、そそ、そういうことでも、頑張りますから!」
ヘクトル 「……何の話だ?」
フロリーナ「へへ、ヘクトル様は、幼稚園児の服装をした女の人がお好みなんですよね!」
ヘクトル 「ハァ!?」
フロリーナ「い、いいいい、いえいえいえいえ、だだだ、大丈夫です、問題ありませんです!
       しょしょ、正直、すごく恥ずかしいんですけど……! わ、わたし、がが、頑張りますから!」
ヘクトル 「頑張らんでいい! 誰から聞いた、そんなこと!」
フロリーナ「え? え、ええと、マルス様から……」
ヘクトル 「あのクソガキ、何考えてやがる!」
フロリーナ「あ、あのぅ……な、何か、ご不満でも……」
ヘクトル 「大有りだ!」
フロリーナ「あぅ……ご、ごめんなさい! わたし、またヘクトル様にご迷惑を……」
ヘクトル 「はぁ……別に怒っちゃいねーよ。だけどな、その、何でもかんでも鵜呑みにする癖は直した方がいいぞ」
フロリーナ「は、はい。これからは、自分でもよく考えて行動します」
ヘクトル 「おう。是非ともそうしてくれ」
フロリーナ「つ、つまり……こういうときは気を利かせて、ベビー服とおしゃぶりぐらいまで気合を入れろということですよね!?」
ヘクトル 「ちげぇよ!」

 

ロイ   「……あのー、そろそろリーフ兄さんの鼻血が致死量までいっちゃいそうなんですけど」
マルス  「うむ……この案もダメだね」
ロイ   「って言うか、真面目に考える気ないでしょマルス兄さん」
マルス  「当たり前のことを言わないでくれ」
ロイ   「……大体さ、マルス兄さんの場合、いちいちフロリーナさんに頼まなくたって、シーダさんに頼めば……」
マルス  「……彼女の場合何の躊躇いもなく喜んで実行に移すから、迂闊に冗談が言えないんだよ……」
ロイ   「……それもまた困り物だね……」

 

 という訳で、リーフの野望はここにあえなく潰えた! だが、彼の挑戦はまだ終わらない!
 頑張れリーフ、負けるなリーフ、いつか、我が家に幼女を迎え入れるそのときまで!

 

サラ   「わたしだったら、いつでもリーフと同棲してあげるけど?」
リーフ  「すんません、四六時中呪われたらさすがに身が持ちませんですはい」