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Last-modified: 2007-11-25 (日) 15:04:50

それ行け、アンパン○マン!

エフラム 「待たせたな、さぁ、帰ろう。」
エリウッド「ああ。それと、ヘクトルは授業が終わるやいなやマシュー達とどこかに行ってしまったよ。」
エフラム 「そうなのか?リンもこの後用事があるとかで、女友達と行ってしまったぞ。」
エリウッド「じゃあ、今日は僕ら二人で帰るのか。・・・なんだか珍しいな。」
エフラム 「そうだな。いつも4人だから、こういうのも新鮮だな。」
エリウッド「そうだ、ちょっと商店街の方によっても良いかい?買いたい物があるんだ。」
エフラム 「別に構わないぞ。」

商店街にて
エリウッド「ありがとうございます。」
エフラム 「終わったか、何を買ったんだ?」
エリウッド「ノートが切れかかっててね。まとめ買いすれば安くなるのを
      思い出して、この文房具屋に来たんだよ。」
エフラム 「なるほど。相変わらずしっかりしている・・・(ピキーン)むっ!!」
エリウッド「エフラム、どうしたんだい?」
エフラム 「泣いている・・・。」
エリウッド「え?」
エフラム 「幼女が助けを求めて泣いている・・・。待っていろ、今行くぞ!!(ダッ)」
エリウッド「ええ!?っていうか、速ッ!!待ってくれエフラム!!」

エリウッド「ゼーハー、ゼーハー、一体何が・・・。」
エフラム 「泣いていたのはこの子だ。」
少女   「え~んえ~ん!」
エリウッド「一体どうしたんだい?」
エフラム 「何か困ったことがあったのか?」
少女   「おなかがすいたよ~!!」
エリウッド「困ったな・・・。」
エフラム 「俺はあいにく今日は財布を忘れてしまった。エリウッドは?」
エリウッド「僕もちょっと・・・兄さん達の給料日が今週末だからね・・・。さっきのノートで・・・。」
少女   「え~んえ~ん!!」
エリウッド「仕方ない、お店の人に迷惑が掛かるけど、このノート、返品してくるよ。」
エフラム 「待て!俺が今すぐダッシュで家に戻って・・・」
パント  「おや、どうしたんだい?」
エリウッド「パント先生?」
エフラム 「先生こそ、どうしてここに?」
パント  「ああ、学校帰りにルイーズに買い物を頼まれてね。
      ところで、その泣いているお嬢さんは、君たちの知り合いかい?」
エフラム 「いえ、この子が困っているようだったので、声をかけたのですが・・・」
エリウッド「僕たちもちょっと助けてあげられる状況じゃなくて・・・。」
パント  「ふむ。・・・お嬢さん、一体どうしたのかな?」
少女   「おなかが・・・すいたよ・・・。」
パント  「そうか、それは困ったね。でも大丈夫。お兄さんの手を見てごらん?」
少女   「・・・え?」
握り拳を作るパント。それを開くとそこにはあんパンが。
少女   「わぁ、魔法みたい!」
パント  「ほら、これをあげるよ。」
少女   「・・・いいの?」
パント  「いいとも。それに、泣きやんでくれたようだね。」
少女   「・・・お兄さん、ありがとう!!」
パント  「フフ、どういたしまして。」

笑顔で走り去っていく少女
エリウッド「あの子が泣きやんで良かった。先生、ありがとうございます。」
エフラム 「俺からも礼を言わせて下さい。しかし、どうやったんですか?」
パント  「ああ、ちょっとした魔法の応用だよ。もう一回やってみようか?」

再び握り拳を作るパント。その手を開くとそこにはまたあんパンが。

エフラム 「こんな事もできるとは、魔法はやはり凄いな。」
エリウッド「僕らにもこんな能力があれば食費も大分楽に・・・。」
パント  「昔読んだ本にこういう事ができる青年が出てきてね。
      他にも、人の夢を見る能力も持っていたなぁ。
      ただ、さすがに無から物を作り出すことはできないんだ。(グ~~)」
エフラム 「今の音は・・・?」
パント  「こりゃ失敬。今僕が作ったこのあんパンは、僕が取ったカロリーから
      作り出されるんだ。だからこれをやるとすぐにお腹が空いてしまって。」
エリウッド「先生、わざわざ身を削ってまで・・・。」
パント  「あはは、良いんだよ。お腹が減る分ルイーズの美味しい料理をたくさん食べられるしね。
      ああ、声に出したらますますお腹が減ってきた、早く帰ろうっと。
      もう暗くなってきたし、君たちもそろそろ家に帰りなさい。」
エフラム 「はい、先生。ありがとうございました。」
エリウッド「先生、失礼します。」
パント  「はい、さようならー。」

エリウッド「いい人だよね、パント先生。」
エフラム 「人当たりも良いし、優しいしな。生徒に人気があるのもわかる。」
エリウッド「今日のことも、自分の身を削ってあんパンを・・・。」
エフラム 「そして、空腹に苦しむ子供を助ける・・・。」
エリウッド「ねぇ、僕たちが今思っていること、たぶん同じだと思う。」
エフラム 「俺もそう思う、一斉に言おう。」

二人   「やってることア○パン(ト)マンじゃん!!」

おしまい