セリスの調査
マルス 「~というわけさ。」
セリス 「なるほど、よく分かったよ。じゃあ、僕試してみるね!!」
マルス 「ああ、気を付けるんだよ。変な人が来たら武器を使ってでも逃げるんだよ。」
セリス 「うん、がんばってくる!!」
ユリウス「ふぁ~、せっかくの休みだってのに、ユリアはどっかに出かけちまってるし、
フュンフやドライ達は家の仕事してるし、退屈だ。商店街の方に来てみたけど、
なんか面白いことないかなぁ・・・ん?あれはセリスか・・・?」
ユリウスがセリスを見つけると同時にセリスも気付いたのか、こちらに駆け寄って来る。 #br
ユリウス「ん・・・?何か変だな・・・。何というか、いつも以上に可愛いというか、女の子みたいというか
お姫様みたいというか・・・って、ちょっと待て!!何考えてんだ僕は!!」
セリス 「あ!お兄ちゃん!!」
ユリウス「!!!???(ええー!?ちょっと待ってくれ、どういう事だ!?
これは何かの冗談・・・まさか、ドッキリカメラでも仕掛けてあるとか!?
・・・にしても何で今日のセリスはこんなに可愛らしくなってて、
思わず抱きしめてしまいそう・・・ってその考えはマズイだろ!!)」
セリス 「どうしたの?お兄ちゃん?」
ユリウス「(グワオオオオオオオオオ!!!!とりあえず落ち着け!落ち着くんだ僕!!!)
・・・い、一体どうしたんだ?セリス。何か変なものでも食べたのか・・・?」
セリス 「・・・・・・。」
ユリウス「あのー・・・もしもーし・・・?」
セリス 「・・・う~ん、やっぱりユリウスもいつも通りだ。」
ユリウス「はい?」
セリス 「突然変なこと言ってごめんね、ユリウス。僕、ちょっと試してみたいことがあって・・・」
ユリウス「一体どーいうことなんだ、最初から説明してくれ。」
セリス 「うん・・・。この紋章町は賑やかでいい人も沢山いるけど、時々犯罪をするような変な人もいるでしょ?」
ユリウス「あ、ああ。(「お前もある意味変な人だ」っていったら・・・僕は死ぬな、うん。)」
セリス 「だから、僕はみんながそういった人に会わないように、どんな人が『変な人』なのか僕なりに調べたくって・・・。」
ユリウス「ああ、誰が『変』かって分かってればそいつを避ければ済む話って事か。」
セリス 「うん。このやり方でいつもと違う・予想と違う反応をした人は、その『変な人』の可能性があるんだって。」
ユリウス「(あ、危なかった・・・)・・・で?誰がお前にそんな変な調べ方を伝授したんだ?」
セリス 「マルスに兄さんだけど?」
ユリウス「やっぱりな・・・。確かに見分け方の一つとしてはあるだろうけど、もし本当に
変なヤツに試してみたとしたら、お前が誘拐とかされていたかも知れないぞ?」
セリス 「うん、それはマルス兄さんにも言われた。だから、『身近な人からやってみた方が良いよ』って言われた。」
ユリウス「・・・僕の前に、誰かにその、お兄ちゃんっての、やってみたのか?」
セリス 「うん。女の人の時は勿論『お姉ちゃん』だけどね。ウチの家族にも試したよ。」
ユリウス「実際の兄姉に言ってもあまり意味が・・・。」
セリス 「呼び方が変わるだけで違うってマルスお兄ちゃんが言ってた。」
ユリウス「へいへい。んで?その結果は?」
セリス 「エリンシアお姉ちゃんとミカヤお姉ちゃんはいつもみたいに抱きしめてくれた。
その後何故か女の子の服を着せられたけど、これも普段とあまり変わらないよね。」
ユリウス「そうなの!?・・・ちょっと『変』なんじゃ・・・」
セリス 「リンお姉ちゃんとエイリークお姉ちゃんもいつもとあまり変わらなかったなぁ。優しく頭をなでて貰った。
それから、シグルドお兄ちゃんは『どうしたセリス~?』って感じでいつも通りだったし、アイクお兄ちゃんもいつも通り。
エフラムお兄ちゃんとヘクトルお兄ちゃんはちょっとだけ困ったような感じで・・・
そう、さっきのユリウスみたいな感じだったかな。」
ユリウス「ロイ・・・だっけか、とかにはやらなかったのか?」
セリス 「うん、家族で特に年も近いし、実際にお兄ちゃんの僕が言うのも変だし。マルスお兄ちゃんにはネタバレしてるし。」
ユリウス「ところで、僕に対してもやったように、まだ誰かにもやるつもりか?」
セリス 「うん!今度はラナやユリアにも言ってみようかなぁ。そうだ、ユリウス、今ユリア家にいる?」
ユリウス「・・・セリス。それは、それだけは勘弁してやってくれないか・・・。二人のためにも、
僕のためにも、この町のためにも、そして何よりお前自身のためにも・・・」
セリス 「え?どうして?」
ユリウス「理由は聞かないでやってくれ・・・頼むから・・・お願いだから・・・。」
セリス 「う、うん・・・ユリウスがそこまで言うなら・・・。あ!そろそろ帰らないと!!
晩ご飯のお手伝いしなくっちゃ!じゃあユリウス、またね!」
ユリウス「ああ・・・またな・・・。」
ユリウス「・・・という訳だ。ユリア、もしお前があの現場にいたら絶対にいつもと違う反応して、
セリスに『変な人』って思われたと思うぞ。たまには僕にも感謝しろよ!」
ユリア 「・・・確かに、セリス様に『お姉ちゃん』なんて言われたら私は正気を保っていられる自信がありません。
もしかしたら、セリス様の前で醜態をさらしていたかも知れません。」
ユリウス「そうだろそうだろ。」
ユリア 「ところで・・・お兄様はそのセリス様のいとおしい姿を独り占めした、といっても間違いではございませんよね?」
ユリウス「・・・はい?」
ユリア 「私だって・・・セリス様の『お姉ちゃん』と言ってくる
可愛らしい姿を見たかったですとも!!それをお兄様は・・・自分だけで楽しんで・・・」
ユリウス「まっ、待て、ユリア!俺はお前のためを思ってだな・・・」
ユリア 「問答無用!!」
ユリウス「アッー!!」
ユリア 「・・・ツェーン?」
ツェーン「はっ・・・。ここに。」
ユリア 「闇魔法を応用して、お兄様の記憶からセリス様のお姿だけ抽出しなさい。記憶を消せるんだから、それくらいできるでしょう?」
ユリウス「最近の闇魔法はそんなこともできるのね・・・(ガクッ)」
ツェーン「確かに不可能ではありませんが・・・ユリウス様のお身体の事を考えますと・・・。」
ユリア 「私の言うことが聞けないの?」
ツェーン「よ、喜んでさせていただきますぅー!!(ユリウス様、すみません・・・)」
マルス 「んで、結局どうだったんだい?」
セリス 「うん、今日は一番の友達のユリウスにやってみたところで終わりになったけど、いろんな人に優しくして貰ったよ。
流星軒のアイラさんには、『お姉さんとは、嬉しいことを言ってくれる。まぁ、間違ってはいないがな。
そうだ、ここであったのも何かの縁だ。この追撃の券をあげよう。今度来る時使うと良い。』って、追撃クーポン貰ったし、
商店街のボーレさんには、『俺をお兄ちゃんと言ってくれるとは嬉しいねぇ。みんな俺のことを豆腐って言うモンだからよ、
豆腐で定着しちまうところだったぜ。』って、泣いて喜んでくれて、豆腐を10丁おまけして貰った。ミカヤ姉さんも喜んでたなぁ。」
マルス 「へぇ、そうなんだ、よかったね。(これは使えるかもね・・・ニヤリ)」
ツェーン「ダメです、ユリア様。ユリウス様の記憶は全部ユリア様に怒られた恐怖でいっぱいになってます。」
ユリア 「くっ・・・私としたことが・・・こんな事ならもう少し手加減して差し上げるんでしたわ・・・
ああ、セリス様はどんなお顔で『お姉ちゃん』と言っていたのかしら・・・」
おしまい