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Last-modified: 2008-01-16 (水) 20:31:32

それは絶え間なく続く……

 ~ある日の兄弟家、夕食前~

エリンシア「……あら、雨が降ってきたみたい……しかも凄い勢い。大変、確かアイクは傘を持っていないはず……」
リーフ  「ん? どうしたの、エリンシア姉さん」
エリンシア「ああリーフちゃん、ちょうどいいところに。悪いんだけど、アイクに傘を持っていってくれないかしら?」
リーフ  「えぇ!? 嫌だよこんな土砂降りの中……」
エリンシア「お願いね?(にっこり)」

リーフ  「クソー、エリンシア姉さんのあの笑顔には逆らえないよ……
      見返りがないのも嫌だし、今度ルキノさんとお食事させてもらえるように頼んでみるかな」

 ブツブツ言いながら歩くリーフの行く手に、見覚えのある小店舗が見えてくる。

リーフ  「あ、あった、グレイル工務店……すみませーん、アイク兄さんいますかー?」
アイク  「ん……どうした、リーフ?」
リーフ  「ああ兄さん。ほら、外凄い雨だから、傘届けに来たんだよ」
アイク  「傘……? いや、必要ないぞ?」
リーフ  「え、なんだ、持ってたの?」
アイク  「いや、そういうわけじゃないが……」
リーフ  「……? よく分かんないけどまあいいや、早く帰ろうよ。仕事終わったんでしょ?」
アイク  「ああ、ちょうどよくな。では帰るとしようか」

 リーフは工務店の扉を開けて外に出たが、何故かアイクは続かない。
 振り向くと、扉のすぐそばで何やら精神を集中させるように目を閉じているのが見えた。

リーフ  「? 兄さん、何やって……」
アイク  「……フン!」

 カッと目を見開くが早いか、アイクはほとんど光の如き速さで走り出し、あっという間に見えなくなってしまった。

リーフ  「……うそぉ……」

 そのあまりの速さに、リーフはしばらくの間呆然とそこに立ち尽くしてしまったのだった。

 ~兄弟家、夕食の席~

リーフ  「……ってなワケでさ」
ロイ   「へー、そんなことが……で、アイク兄さんは一体何をやってたの?」
アイク  「なにって……雨を避けるために全力疾走しただけだが」
マルス  「避ける!? 雨を!?」
リン   「なるほど、それであんな土砂降りだったのに、あんまり服が濡れてなかったのね」
アイク  「ああ。だが、二割ほど喰らってしまった。俺もまだまだだな」
リーフ  「ダメだ、話のスケールが大きすぎてついていけない……!」
エフラム 「さすがアイク兄さん、いついかなるときも修行しているというわけか……!」
ヘクトル 「クソッ、俺たちも負けてらんねえな……!」
リン   「いや、ついていこうとしなくてもいいから」

リーフ  「……って言うか、僕ひょっとして無駄足踏んだだけじゃない?」
エリンシア「まあまあ。ほーら、エビフライ一本増やしてあげますよー」
リーフ  「いやっほぅ、僕のエビフリャー!」
エリンシア(安上がりな子で助かるわ……)