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Last-modified: 2008-02-27 (水) 19:47:52

428 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2008/02/23(土) 23:42:39 ID:Pyeo3ogx
マルス  「ただいまー……あれ、見慣れない靴……草原風の……」
ロイ   「お、おかえりマルス兄さん」
マルス  「やあただいまロイ。『まずいときにまずい人が帰ってきちゃったなあ』って顔だねえ」
ロイ   「そ、そんなことないよ?」
マルス  「ふうん……ところで、誰かお客さん?」
ロイ   「え、ええと、まあ一応……」
セリス  「ラスさんが来て、リン姉さんの部屋で話してるんだよ」
ロイ   「せ、セリス兄さん!」
セリス  「なに?」
マルス  「……ふうん、そうなんだ」
ロイ   (うわー、無茶苦茶不機嫌になったー……)
マルス  「それは是非とも、姉さんが普段お世話になっているお礼を言いにいかなくちゃねえ」
ロイ   (リン姉さんオワタ……僕のせいじゃないよね、これ……)

リン   「……それで、夏はずっと草原にいたいなー、なんて……」
ラス   「……」

 ガラッ

マルス  「やあどうもどうも、いらっしゃいラスさん、リン姉さんがいつもお世話になってます」
ラス   「ああ」
リン   「グッ……マルス! なに、なんか用?」
マルス  「いや、別にー。ただ、ラスさんに挨拶しておかなくちゃいけないなーと思って」
リン   「そう。ラス、これがわたしの弟のマルスね。さあマルス、用は済んだでしょ、さっさと出て行ってくれない?」
マルス  「いやいや、もうちょっと話させてくださいよー、
      なんたって、リン姉さんにいろいろと親切にしてくださってるラスさんですもんねー。ところでラスさん?」
ラス   「なんだ?」
マルス  「これ、見てもらえません?」
リン   「そ、それは……!」
ラス   「これは……なんだ?」
マルス  「アルバムですよアルバム! ほーら、リン姉さんの昔の写真がいーっぱい」
リン   「いやーっ! だめ、見ないで、見ちゃダメ!」
ラス   「……写真か」
マルス  「興味がありますか?」
ラス   「草原にはないものだからな……見てもいいのか?」
マルス  「はいはい、どーぞどーぞ」
リン   「マァルスゥ……!」
マルス  「……見せなきゃかえって『どれだけ変な写真が入ってるんだろう』と怪しまれますよ?」
リン   「グッ……!」
429 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2008/02/23(土) 23:43:25 ID:Pyeo3ogx
マルス  (ふっふっふ……今日お喋りしてラスさんとの距離を縮めようという魂胆だったんでしょうが……
       そうはいきませんよリン姉さん! そのフラグ、アイク兄さんばりにバキバキに折ってあげましょう!)
ラス   「……これがリンか」
マルス  「はいはい、それが昔のリン姉さんです。今とはだいぶ違うでしょ?」
ラス   「……そうだな」
リン   「うぅー……」

 リンが恥ずかしがるのも無理はない。
 なにせそれは、玩具の剣片手に近所の悪ガキたちを踏みつけつつ、カメラに向かってピースしているリンなのだから。

マルス  (フッ……リン姉さんも昔はヘクトル兄さんやエフラム兄さんと同じようなノリでしたからね……!
       今は逆高校デビューして真面目な振りをしていても、過去の汚点は消せないのですよ……!)
ラス   「……」
マルス  (これでラスさんも幻滅したに違いない! 勝ったぞ、リン姉さんのフラグ、完――)
ラス   「……やはりそうだったか」
マルス  「……はい?」
リン   「……?」
ラス   「お前はどこか、最初会ったときから自分を抑えているような感じがしていた……それは間違いではなかったようだ」
リン   「……」
ラス   「躊躇う必要はない」
リン   「え?」
ラス   「生まれは違えど、お前の体には間違いなく野生の力が眠っている。我々草原の民と何ら変わることなく、な」
リン   「え、ええと……ラス、幻滅してない? その、昔のわたしを見て……」
ラス   「いや……むしろ、感心した」

 ふっ、とラスが穏やかに微笑む。

ラス   「いい子を産みそうだ」
マルス  「ちょ、なんすかその評価!? セクハラぎりぎり……」
リン   「ラス……!」
マルス  「あれ!? ときめくところなんだここ!?」
ラス   「さて……そろそろ帰る。リン、また草原へ来い。待っている」
リン   「ええ、必ず行くわ! そのときはまた、一緒に草原を駆けましょうね」
ラス   「ああ、楽しみにしている」
マルス  「……クッソーッ! これだから天然は嫌いなんだ! どうして僕の思うとおりに」
リン   「……マールースー?」
マルス  「げぇっ、リン姉さん!?」
リン   「(ぼきっ、ぼきぼきっ)……覚悟は、出来てるわよね?」
マルス  「あはははリン姉さん、骨鳴らすと指が太くなりまいだだだだだ、
      やめっ、僕の腕はそんな負荷に耐えうるようにはできてな……アッー!」