9-205

Last-modified: 2008-03-18 (火) 23:09:47

205 名前: ほわいとでー [sage] 投稿日: 2008/03/15(土) 10:29:02 ID:XElEtWsJ
ホワイトデー、それはバレンタインに女性からチョコをもらったとき
もらった男性がその女性に対してお返しをするというイベントである

だいたいこの時期が近づくと男性はお返しを探し、
どんなものがいいだろうかとあれこれ思案を巡らす事になる

もちろんこの一家だって例外ではなく…

「えーと…ミカヤ姉さん、エリンシア姉さん、あとリン姉さんにセリカ…
シーダのもちゃんとあるな…あとは…うん、バッチリだ」
夕飯後、部屋でホワイトデーのお返しを確認していたマルスは全員の分が揃っているのを
確認すると満足そうな笑みを浮かべていた
(あとは明日渡せば良いよね)
明日のホワイトデーの準備が整い、一息つく…が、
ここで一つある意味重要事項を思い出した
(…そうだ、アイク兄さんは大丈夫なのかな?)
そう、重要事項とはあの鈍感、朴念仁、フラグクラッシャーという
三要素を兼ね備えた人物、アイクの事だ
これまでバレンタインに家族の女性陣や、工務店の女性からチョコなどを貰うことはほぼ
毎年だったにも関わらず、本人は前日まで忘れているということも毎年の恒例となっていたのだ
聞いておかなければと思ったのだが地区対抗格闘技大会に(嫌々)参加していたため
ゴタゴタしていたので忘れていたのだ
他の人が聞いているだろうか、と考えたが確率が100%でない限り不確定要素はある
(…とりあえず聞きに行ってみよう)
そう思い、マルスは椅子から立ち上がり、部屋をあとにした

コン、コン
(ん…?)
部屋で修行のためラグネルの手入れをしていたアイクは自分の部屋をノックされたのに
気づいた
「アイク兄さん、ちょっといいですか?」
「マルスか、構わないぞ」
キィ…という音を立てドアが開かれマルスは部屋に入り、ドアを閉めた

206 名前: ほわいとでー2 [sage] 投稿日: 2008/03/15(土) 10:30:03 ID:XElEtWsJ
「何か用か?」
手入れをしていたラグネルを机に置き、マルスにそう問いかける
「いえ、少々気になることがありましてね…」
気になること?、と頭に疑問符を浮かべ、とりあえずマルスの次の言葉を待つ
「兄さん、明日のホワイトデーのお返しは用意できています?」
――――――しまった、忘れていた…
アイクの考えていることが読めたのか、マルスはふぅ…とため息をついた
(全く…予想通りだったよ…この予想は裏切って欲しかったな)
とりあえずマルスは確証のためにアイクに問う
「忘れていたんですね?」
「…すまん」
「いや、謝られても…」
何故か自分に対して頭を垂れられたが…自分にいうのはお間違いだろう
「どうするんです?」
とりあえず今後どうするのか聞いてみるべきだろうと思い
マルスはそう問いかけた
「夜、コンビニか何かで間に合わすしかないかもな…」
アイクは己の不覚を嘆き、頭をかきながらそう答えた
「あと…すまんがマルス、よければ同行してもらえないか?」
突然の兄の頼まれ事に少々驚きながらマルスは
「え、何故?」
そう返した
「何を選んだら良いかわからん」
―――――――ああ、そういう事か
なんかものすごく納得してしまった自分がいるのを感じ、マルスは遠い目をしてしまう
アイクには以前、エリンシアにプレゼントでしわを隠す化粧品だかなんだかを
あげたことで一悶着を起こした前科がある
事が落ち着いてからもなんで怒ったのだろうと真剣に悩み、答えが出なかったのだ
(もし、自分が断り、アイク兄さん一人にいかせたら…)
なにか色々とヤバイ気がする、それに一度首を突っ込んだ以上、
乗った船には最後まで付き合おう…そう思った
「わかりました、付き合いますよ」
「すまんな、助かる」

深夜、全員が夢の世界に旅立ったころを見計らい、アイクは家を出た
もちろん、皆を起こさないように細心の注意を払って
家の外でマルスと待ち合わせをし、合流する手はずだ
玄関のドアを開け、外に出る
春が近くなっているためそこまで寒くはないが多少冷たい空気が体を包んだ
「待ってましたよ、アイク兄さん、じゃあ行きましょうか」
すでに外にいたマルスがアイクの姿を確認し、声をかけた
ああ、と返事を返し、コンビニへやや急ぎ足で向かう
だから二人とも気づかなかった、窓から家族の一人がその行動を見ていたことを…

207 名前: ほわいとでー3 [sage] 投稿日: 2008/03/15(土) 10:33:58 ID:XElEtWsJ
(なんだかのどが渇いちゃったわね…水でも飲もうかしら)
そう思い、部屋を出て台所に向かう
少し冷えた廊下がちょっと寒い、早めに用を済ませてしまおうと
皆を起こさないようにしながらも少々急ぎ足で歩く
台所に到着し、コップに水を半分ほど注ぎ、それを飲み、片付ける
誰もいない所為か、いつもの行動の一つ一つの音が大きく感じる
暗い部屋を照らす月の光を見て、なぜか月をみたいと思い窓から外を見た時だった
――――――――家の前に誰か居る?
確かに人影みたいなのが見える、夜の闇で正確な人数がわからない
そしてその人影が外に向かって歩き出した、
そのとき街灯に照らされその人物が光に照らされ見えるようになった
(アイクとマルス?、どうしたのかしらこんな時間に)
時計はもう午前0時を過ぎていた、夜遅くの外出はダメだと言ってあるのに…
(全く…ちょっと追ってみましょう)
そう思い、外に出るための身支度を整え、長い銀髪をなびかせながら
駆け足でミカヤは外に出て、アイクとマルスを追いかけた

家を出てから数分、アイクとマルスは最寄のコンビニに到着した
「コンビニとは便利なものだな」
そう言い、早速何を選ぶべきかと思いアイクは店内を見渡す
お菓子などの食料品、飲料、雑誌、生活用品
それらを視界に納め、どれから見るべきかと悩む
「…兄さん間違っても、しわ防止クリームとかは選ばないで下さいね」
「やっぱりあれはダメなのか?」
当たり前だ、と心の中でツッコミをいれ、とりあえすお菓子が無難だろうと思い
マルスはアイクをそこまで導く
ポ○トチップスやらプ○ッツやらの定番のお菓子が並んでいる
「お菓子が無難だと思うので、そこから良さそうなものを選んでください」
「わかった」
アイクは色々なお菓子を手に取り、色々考え始めたが
風船ガムを手に取ったときはやっぱり全部任せちゃダメだと思い、助言をする
悩み始めて数分が経った時、思ったより骨が折れるや、とマルスが一つため息をついたとき
アイクが店の外の一点を凝視していることに気づいた
「アイク兄さん?」
そう声をかけながらマルスもアイクの視線の先を追ってみる
そこには自分たちの家族が絡まれている姿があった
それを視界におさめたときには二人は揃ってすぐに店を飛び出した
物陰に隠れ様子を伺う、どうやら強盗に絡まれているようだ
「なんでミカヤ姉さんがいるんだ?」
「わかりませんけど、ほっておくわけにもいきませんね、
見つからないように夜中に抜け出しましたけど、それが仇になったみたいです」
そういいながらマルスは愛剣を手にした
「こうなったら、もう仕方ありません、素直にミカヤ姉さんに白状しましょう」
確かに弟の言うとおりだ、姉が絡まれているのにほっては置けない、
だけど変装道具も何もない、ここは素直にでてお叱りを受けるべきか…
元々は自分の起こしたことであることに罪悪感でいっぱいになり飛び出そうとした
アイク、そのとき閃いた、即席だが変装道具があることを
「マルス、お前はここにいてくれ」
え…とマルスは思い、アイクの方を見た、そしてアイクの手にしているものを見て唖然とした
「兄さん…それって…」
アイクは「それ」を使い、物陰から飛び出した――――――

241 名前: ほわいとでー4 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 16:17:33 ID:f1WR70TX
前編は>>205-207です  

(暗いわね…)
普段歩きなれない夜道を歩きながらアイクとマルスの足取りを追っていたミカヤ
には
弟たちが向かう場所の大体の見当がついていた
不思議な力とか、そういうのではなく姉としての勘だった
(大方あの方面ならコンビニかしら…)
予想的中、恐ろしい勘である
もはや見つかるのは時間の問題だろうか
ところどころ街灯の白い光と月の優しい光が照らす薄暗い道を確実に進みながら
弟たちとの距離を一歩、また一歩と縮めていく
コンビニが見えてきたところで影からそっとコンビニのガラスごしに中を伺ってみると
そこにはアイクとマルスの姿があった
―――――よかった、見つかったわ…
弟たちを無事に発見できたことの安堵感と夜遅くに
こっそり出かけた二人に対しての怒りを抱きつつ、しばらく様子を見る
一つの商品棚の前であれやこれやと討論をしているように見えた
(…もしかして工務店や学校で必要なものを買い忘れてたのかしら…
もう二人とも大人であるのだから、一々細かいことに首を突っ込んだりはしないけど)
でもやっぱりこんな夜遅くに出歩いていることは後で注意するべきだろう、
明日にでも少し問い詰めてみようと思い、二人の事を確認するのが目的であって
見つけて連れ戻すことが目的ではないので、家の方に足を向けようとした時だった
「おい、姉ちゃん、こんな夜遅くに散歩かい?」
急に声がかけられた
弟たちの事を気にするあまり背後の二つの影に気づかなかった
足を向けた先には二人の男の姿があった
(しまった気づかなかった…)
しかしもう遅い、平常心を保ちながらミカヤは男たちと相対した
「何か御用ですか?」
「ちょっと金を恵んでくれねぇかな、さもなくば痛い目にあうぜ?」
どうやら強盗らしい、ものすごくわかりやすい

(しょうがない…人を傷つけたくないけど、光魔法でなんとか…)
そう心中でつぶやき、護身用にもっていた光の魔道書を手に取ろうとしたが
魔道書にあと数センチのところで手が止まる
(今…深夜よね、こんな時間に光魔法なんて使ったら…)
 強盗追い払うため光魔法使用
     ↓
 夜の住宅街が照らされる
     ↓
   安眠妨害(ご近所迷惑)
     ↓
    苦情が殺到
     ↓
エリウッド「蝶サイコー!」

(これはちょっと避けたいわね…)
ミカヤは自己犠牲タイプの考え方が多い、被害を受けるなら自分だけの方を選ぶ
なるべくなら騒ぎは大きくしたくないという理由で光魔法の使用をためらった

242 名前: ほわいとでー5 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 16:18:46 ID:f1WR70TX
(暁流杖ポコ戦術でも習っておけばよかったかしら…)
光魔法が使えない(使わない)、他に武器もない…ならば
(逃げるしかない)
そう結論づけて、逃げられる体制を整える

その時だった

――――――カシャン
なにかの音が閑静な住宅街に響いた
強盗たちも聞こえたようで、ミカヤから視線を外し、周囲を見渡す
――――――カシャン
また聞こえた、ミカヤは気のせいではないのがわかると逃げるのを忘れ、
周囲を見て音のする方向を向く
――――――カシャン
もう近くにいる、強盗たちも音のする方向がわかったのかそちらを向く
そして
――――――カシャン!
暗闇の中から人の影が現れた

(あれは…ア…アイク…って…え、何コレ?)
ミカヤは思わず呆然としてしまった
それも当然だ、暗闇の中から出てきた人は髪の毛の先から爪先まで
服も持っている物もなにもかもが銀一色だったのだから
思わぬ出来事にミカヤは思考が停止してしまった
強盗たちも思わず硬直していたが、すぐに我にかえり
相手は一人、こっちは二人という数の差から優位であると考えたのか
「なんだテメーは?」
とおなじみの言葉を銀色の人間にぶつけた

(バレていないだろうか…)
強盗たちを視界に納めつつ、傍らに居るミカヤにも視線を向ける
(自分では案外いけていると思うんだが…)
アイクが強盗たちと対峙する、
一方こちら物陰では
マルスは成り行きを見守りつつもアイク乱入前の出来事を思い返していた
(なんでアイク兄さん、あんなもの持ってたのさ…)
突入前アイクが手にしているのを見たときは唖然とした
アイクの手には緑色の箱かブロックのようなものがあった
側面には白色で『!』が書かれており、マルスも見覚えがあるものだった
そう、それは地区対抗格闘技大会の『緑ブロック』
使うと使用者がメタル化し、姿が変わるアイテムだ
(ていうか変装っていうには無理があるよアイク兄さん!!)
姿が変わるといっても、あくまで体が銀色になり表情が読め取れなくなる程度のものだ
人間の輪郭までは変わらないし、自分の姉という存在ならすぐにバレてしまうだろう
(でも…もう乱入しちゃったしなー…)
もう後は、なるようになれとしか言えない
アイクは変装のつもりで乱入した以上、マルスが乱入する事はできない
(見守るしかないか)
マルスは物陰から見ているだけしか出来なかった

243 名前: ほわいとでー6 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 16:20:22 ID:f1WR70TX
「誰だよ、オメーは?」
そう聞かれた、アイクは口を開き
「名乗る必要はない、悪いが退いてもらおうか」
そう言おうとした、だが…
(む…声が出ない…)
口パクになってしまった、メタル化すると何故だか声が出なくなる
そのことを忘れていたアイクはそういえばそうだったな…と心中でつぶやくのだった
(仕方ない…とにかく追い払うか)
アイクは強盗たちに向かって足を踏み出した
アイクにとってはなんでもない行動に思えたかもしれないが、
強盗たちには意外な効果を生み出した
暗闇から現れたのは竜やラグズといった普通の人とは少し違った存在や
反則並みの力をもった化け物(警察署署長とかグルグルランド所有者とか)のような
存在がある地区でも異端過ぎる全身銀色の人間が姿を現し、
こちらの問いかけにも答えず、剣を構えて一歩、また一歩と近づいてくるのだ
そしてその表情は全く読み取れず…その行動には何かものすごい恐怖を感じて…
「う、うわぁぁ!!」
「た、助けてくれぇー!」
一目散に逃げ出したのだった
追うべきだろうか…とアイクは考えないでもなかったが、
今は姉の安否が気になるのでここは見逃すことにした
とりあえずミカヤに向き直り、それからどうするべきかと思った
バレてはいない(とアイクは思っている)が声が出ないゆえにどう接したものか…
色々思案しているとミカヤが口を開いた―――――――

「あ…その、ありがとうございます、助かりました」
そう言葉を発した、とりあえず思考を巡らすのをやめ、
アイクは剣をもっていない方の手をあげ、「気にしないでくれ」のポーズをとる
「それでは…これで」
一礼をしてミカヤは家の方へと走っていった
それを見送ると、マルスが物陰から出てきた
「なんとかなったみたいですね」
マルスは先ほどの強盗たちの事をメモに取りつつ、アイクに声をかけた
その瞬間メタル化が解け、声を出せるようになったので
「ああ、なんとかなった」
そう返した
「とりあえず、店に戻って用を早く済ませましょう」
「ああ、実はさっき良さそうなものを見つけてな、あれならいいんじゃないか」
「へぇ、良さそうなものですか…(変なものじゃないだろうな…)」
アイクとマルスは会話を交わしながらコンビニへ戻った
(それにしても…ミカヤ姉さん本当に気づかなかったのかな?)
マルスは先ほど去り際で敬語で礼を言ったミカヤが
あれがアイクだと気づかなかったように思えた、気づいているならあの行動は不自然だ…
(まあ…今はいいか)
一旦考えるのをやめ、アイクが会計済ませるのを待ちながら
(それにしても、珍しく無難だったな、アイク兄さん)
アイクの選んだものをみて、小さく笑みをうかべるのだった

244 名前: ほわいとでー7 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 16:21:26 ID:f1WR70TX
朝、家族全員リビングで朝食を摂っている時
「あ、そうだ…はい、ミカヤ姉さん」
マルスがお返しを渡し始めた、ミカヤはいきなり渡されたので
とりあえず受け取りながらも頭に疑問符を浮かべた
「あと、リン姉さん、そしてこれは…」
次々と女性陣にプレゼントを渡しているマルスを見て、ミカヤはカレンダーを見る
(あ、そういえばホワイトデーだったわね…)
バレンタインなら忘れないのだが、ホワイトデーは時々忘れてしまうミカヤは納得し、
マルスがお返しをし始めたのをきっかけに次々と渡されるプレゼントを受け取る
食卓で女性陣からの「ありがとう」という言葉でしばしリビングが騒がしくなる
「はい、セリカ、ホワイトデーのお返しだよ」
「ありがとう、大好きよアルム!」
「自重しろお前らー!」
「シグルド兄さんも自重してよ」
というおなじみの会話も聞きつつ、ミカヤはアイクとマルスに夜遅くに出かけていた事を
今ここで切り出すべきだろうかと考えていた、マルスには突然の事で聞きそびれた
プレゼントを渡されるときアイクから今聞くべきか…どうするべきか…
そう考えていたとき
「ミカヤ姉さん、これを…」
思考の中心にいたアイクに急に声をかけられ、驚きながらもプレゼントを
とりあえず受け取ろうと手を伸ばしたときだった
(…!)
アイクの心の中が見えてしまった
ミカヤには人の心の中を見る事ができる力が何故か備わっている、
といっても人の心を簡単に見るものではないと思い、
ミカヤ自身その力は使わないようにしていたのだが
急に声をかけられたのに驚き、思わず力が発動してしまった
(…そういうことだったの)
助けてくれた時、深夜出かけていたことに聞くべきだとは思った
でも、なぜだか聞く気にはなれなかったのだ、それでわざと気づいていないフリをして
家に帰り、帰ってきたのを影で確認して、自室に戻った、
そして機会があったら聞くつもりだった
でも、聞く前になにもかもがわかってしまった
アイクがホワイトデーのプレゼントを前日まで忘れていて、それを買いに行ったこと
そしてその事で姉を巻き込んでしまったことへの後悔
マルスに付添ってもらい、心から助かったと思う反面、申し訳なく思っていること
深夜に出かけることはダメだと姉に言われているのを破ったことへの罪の意識
そしてそれらの事を言い出すことができない自分自身への嫌悪感…
アイクの心の中は罪悪感で一杯になっていた
(ここまで反省しているのなら叱る必要なんかないわね
きちんと反省をしている、ならばそれでいいわ、アイク…だから)
―――――あの時助けてくれたのがあなただってこと、ずっと秘密にしておいてあげる
「姉さん?」
こちらに手を差し出したまま硬直している姉を不思議に思い、アイクが声をかける
はっと我にかえったミカヤは
「ありがとう、アイク」
あのとき助けてくれたことへの二重の意味をこめて、お礼を言って笑顔で受け取った
うけとってくれたのを確認し、アイクは工務店に行く準備をしに部屋に戻った
(マルスもお疲れ様…)
それを見届け、自分の手にあるチョコレートクッキーに視線を向け、笑みを浮かべ
学校や仕事に行く家族たちを見送るために一旦のテーブルにそれをそっと置いた
245 名前: ほわいとでー8(終) [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 16:22:26 ID:f1WR70TX
「いってきます」
「いってらっしゃい」
笑顔で家族たち全員を見送り、家にはエリンシアとミカヤだけが残る
ミカヤは今日は占いをお休みすることにした
掃除、洗濯、買い物と家事を済ませると、エリンシアとミカヤはホワイトデーでもらった
お菓子でお茶にすることにした
紅茶をいれ、もらったお菓子を一つずつ味わって食べていく
「美味しいですわ」
「そうね」
エリンシアとミカヤは笑みをうかべる
もらったお菓子はどれもおいしかった、中にはたまに食べたりするお菓子もあったが
いつもより一層美味しく感じた
ミカヤはふと窓を見て、外の景色を見る
本日は快晴、太陽のポカポカとした暖かな日差しが入ってくる
紅茶のカップを手に取り、一口飲む、口の中に甘い味が広がる
その心地よい甘さの余韻を楽しむ
時計を見るとあと少ししたら皆が帰ってくる、その時に
「おかえりなさい」
と笑顔で迎えるのが楽しみなのだ

紅茶をもう一口飲み、受け皿に戻したとき先ほど洗濯をしている際に
アイクのズボンから出てきたコンビニのレシートの事を思い返し
ミカヤは笑みを浮かべる
―――――詰めが甘いわよ、アイク
心の中でそうつぶやき、笑みを一層深める
もう一度窓から外の景色を見た

(今日も皆が元気な姿で帰ってきますように…)

―――――そう願いながら…