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Last-modified: 2008-03-26 (水) 23:18:28

422 名前: マーシャのお兄ちゃん [sage] 投稿日: 2008/03/24(月) 15:53:22 ID:bRjs7ifu
――グレイル工務店

アイク 「………っ!……来るぞ!」
ミスト 「え、何が?どうしたのお兄ちゃん」
アイク 「奴だ!みんな心をしっかり持て!」
ワユ  「大将一体………って何この重くのしかかる虚脱感は?!」
ヨファ 「ううぅ………なんか無性に怠けたくなるよぅ……」
セネリオ「アイク……これはまさか……」
アイク 「そうだ、きっとマカロフがまた金貸してくれとたかりにやってk」

(ガシャァァァン!!)工務店の窓を突き破って当のマカロフが馬に乗って店内を駆けてくる。

マカロフ「悪い!ここ通過させてくれ!」

工務店一同「( ゚д゚)」

(ガシャァァァン!!)そしてまた窓を割って外へと出て行くマカロフ。

ワユ  「なんか……お金も借りずにあっという間に出てっちゃったね」
ミスト 「誰かに追われてたのかなぁ?」
ヨファ 「それにしても………壊された窓とかその他諸々はどうするの?」
アイク 「仕方ないから直すしか………ん、また誰か来るぞ?」

マーシャ「待てーっ!!こんの馬鹿兄貴がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ………あ?!」

ふと我に返ったマーシャはペガサスを止めて自分のいる場所を確認した。

マーシャ「あれ?ここグレイル工務店?一体あたしどこから入って…………」
セネリオ「志村うしろうしろ」
マーシャ「え?ぅぁぁぁぁ………」振り返ると(兄に)メチャクチャに壊された窓ガラスが
セネリオ「そしてこれが修理費です」つ電卓
マーシャ「いちじゅうひゃく…………げぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
セネリオ「あのアホは馬の機動力と固有結界のせいで捕獲出来そうに無いので妹のあなたに頼みます。払ってもらえますね?」
マーシャ「うぅぅぅぅ…………」
アイク 「もうその辺にしといてやれセネリオ。うちは工務店なんだから修理くらい自分達でどうにかなる」
セネリオ「しかしアイク………」
アイク 「マカロフには俺が捕まえてちゃんと払わせる。それでいいだろう?」
セネリオ「はぁ、アイクがそう言うのでしたら……」     
アイク 「だからあんたは何も気にするなマーシャ」
マーシャ「………え?!……あ………ありがとうございます…………」
423 名前: マーシャのお兄ちゃん [sage] 投稿日: 2008/03/24(月) 15:53:54 ID:bRjs7ifu
工務店昼休み、外で弁当を食べながらマーシャの愚痴を聞くアイク。

マーシャ「それでー!今度は何言い出すかと思ったら『働いたら負けかなと、と思ってる』ですよ?!
     もう私怒って求人情報誌で百叩きにしてやりました!!」
アイク 「それあまり痛くないんじゃないか?」
マーシャ「これが結構効くんですよねー。あと職安連れてったりリクルートスーツ着せたりしても苦しみますね」
アイク 「………あんたら面白い兄妹だな」
マーシャ「全然面白くないですよ!!あのアホ働かないわ借金するわ果てはあたしのお金で賭けしてパーにするわで……!!
     ああもうアイクさんと取り替えて欲しいくらいです!」
アイク 「俺と………?」
マーシャ「あっ…………!いやえっとその…………アイクさんちって大家族じゃないですか!!いっぱい兄弟いて楽しそうで……
     あ、あたしもそんなアイクさんの妹の一人になってみたいかなー、なんて!」
アイク 「そうか。でもうちの家は大変だぞ。朝から晩まで何かしら武器とか魔法が飛び交ってるからな。
     この前スーパーで会った時のように貧乏で食事に困ってることも多い。あと二日にいっぺんくらい家が倒壊する」
マーシャ「へぇー…………(うわぁ兄弟のメンバー濃そうだなぁ……)」
アイク 「………でも」
マーシャ「でも?」
アイク 「大切な家族だ。何物にも代えられん」
マーシャ「…………そう………ですね」
アイク 「ああ」
マーシャ「…………」
アイク 「どうした。ぼーっとして」
マーシャ「…………やっぱりいいなぁ」
アイク 「…………?」
マーシャ「強くて、優しくて、かっこよくて、それから家族想いで。妹を全力で守ってくれるような、自慢のお兄ちゃん。
     そんなお兄ちゃんがいる妹って幸せですよね……!」
アイク 「…………」
マーシャ「(う…………言い過ぎたかな…………アイクさん引いてるかも……)」

アイク 「…………そうだな。あんたは幸せ者だ」
マーシャ「はい…………えぇ?!ちょ………私?!」
アイク 「そうだ。マカロフのことを言ってるんだろう?」
マーシャ「な……?!どう受け取ったらそうなるんですか!!うちの兄さんは駄目男の代名詞みたいな奴でニートでどうしようもなくて」
アイク 「だけど、あんたの兄だ」
マーシャ「え?」
アイク 「あんたの兄はマカロフだけだ。誰にも代わりは出来ん。あんたを困らせて泣かせるのも、何かからあんたを守ってやるのも全てあいつの特権だ」
マーシャ「は、はい……」
アイク 「それにマカロフにとっても妹はあんただけだ。いくら借金をして迷惑をかけようがあんたを大事に想ってないわけがない」
マーシャ「…………やっぱ………そうなんですかね?」
アイク 「きっとそうだ。兄とはそう言うものだろう」
マーシャ「………そう……ですね!  よし……!んじゃあたしあのアホ捕まえに行ってきます!!」
アイク 「ん、捕獲は俺に任せといていいんだぞ?」
マーシャ「いえ!これは妹の特権ですから!久々に家に連れ帰ってあたしの不味いご飯食べさせてやるんです!!」
アイク 「そうか。気を付けろよ」
マーシャ「うん!いってきまーすっ!!」

マーシャ「(あれ……今あたしとアイクさんなんか兄妹みたいな感じだったかも………。えへへ……!)」

その夜マーシャはマカロフを求人情報誌でフルボッコにした後久々に食べる兄妹二人での夕飯を楽しんだという