5月に引き続いて商品売買の取引や、現金・当座預金に関する仕訳を順次見ていきます。
6月の取引①(一部のみ)
<2001年6月1日&2日>
まーくんは、商品@800円を5冊仕入れ、代金は掛けとした。なお、掛け代金の決済について「30日後に支払い。ただし10日以内に支払うときは代金の2%を割り引く」という条件がついている。割引適用期間内であったため、翌日に掛け代金4000円について2%の割引を受け、残額を当座預金口座から支払った。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 4,000 | 買掛金 | 4,000 |
買掛金 | 4,000 | 仕入割引 | 80 |
当座預金 | 3,920 |
<2001年6月3日&4日>
まーくんは、得意先に商品@1000円を5冊売り上げ、代金は掛けとした。なお、掛け代金の決済について「30日後に支払い。ただし10日以内に支払うときは代金の2%を割り引く」という条件をつけている。割引適用期間内であったため、翌日に掛け代金5000円について2%の割引を適用し、残額は当座預金口座に支払われた。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売掛金 | 5,000 | 売上 | 5,000 |
売上割引 | 100 | 売掛金 | 5,000 |
当座預金 | 4,900 |
※割引については三分法・分記法・売上原価対立法ともに同じ。
①三分法の場合
<2001年6月6日>
仕入先から1,000円の割戻し(一定期間に大量に商品を仕入れてくれた取引先に対して、リベートとして代金の一部を還元すること)を受け、買掛金と相殺した。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 1,000 | 仕入 | 1,000 |
<2001年6月7日>
得意先に対して1,000円の割戻しを適用し、売掛金と相殺した。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売上 | 1,000 | 売掛金 | 1,000 |
【②分記法の場合】
<2001年6月6日>
仕入先から1,000円の割戻しを受け、買掛金と相殺した。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 1,000 | 商品 | 1,000 |
<2001年6月7日>
得意先に対して1,000円の割戻しを適用し、売掛金と相殺した。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
商品売買益 | 1,000 | 売掛金 | 1,000 |
※商品は戻ってこないため、商品売買益のみ取り消す!
【③売上原価対立法の場合】
<2001年6月6日>
仕入先から1,000円の割戻しを受け、買掛金と相殺した。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 1,000 | 商品 | 1,000 |
<2001年6月7日>
得意先に対して1,000円の割戻しを適用し、売掛金と相殺した。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
売上 | 1,000 | 売掛金 | 1,000 |
※商品は戻ってこないため、商品⇔売上原価の振替の仕訳はない!
<2001年6月10日>
①得意先の中央アカデミー社(株)に商品30,000を売り上げ、代金は中央アカデミー社(株)振出の小切手で受け取った。
②得意先の中央アカデミー社(株)の売掛金50,000の回収として、送金小切手(45,000円分)と郵便為替証書(5,000円分)を受け取った。
③商品1,200円を売り上げ、代金は商店街発行の商品券で受け取った。
番号 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
① | 現金 | 30,000 | 売上 | 30,000 |
② | 現金 | 50,000 | 売掛金 | 50,000 |
③ | 受取商品券 | 1,200 | 売上 | 1,200 |
<2001年6月13日>
①まーくんは、中央アカデミー社(株)に対する売掛金10,000円について、中央アカデミー社(株)振出の小切手で受け取り、ただちに当座預金口座に預け入れた。
②まーくんは、中央アカデミー社(株)に対する売掛金25,000円について、以前にまーくんが振り出した小切手(自己振出小切手)で受け取った。
番号 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
① | 当座預金 | 10,000 | 売掛金 | 10,000 |
② | 当座預金 | 25,000 | 売掛金 | 25,000 |
<もしものパターン>
まーくんは仕入先に対する買掛金30,000円を支払うため、小切手を振り出した。なお、イルカ書店(株)の当座預金口座の残高は1,230円であったが、取引銀行と限度額100,000円の当座借越契約を結んでいる。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 30,000 | 当座預金 | 30,000 |
※決算時に当座預金口座がマイナスの場合は、マイナス分を当座預金から当座借越(負債)に振り替える。
<2001年6月18日&19日>
①まーくんは仕入先に商品60,000円を注文し、内金(うちきん)として24,000円を現金で支払った。
②翌日に、①で注文した商品を受け取った。代金のうち内金は相殺し、残額は掛けとした。
番号 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
① | 前払金 | 24,000 | 現金 | 24,000 |
② | 仕入 | 60,000 | 前払金 | 24,000 |
買掛金 | 36,000 |
<2001年6月20日&21日>
①まーくんは得意先から商品20,000円の注文を受けた。その際、内金(うちきん)として8,000円を現金で受け取った。
②翌日に、①で注文を受けた商品を引渡した。代金のうち内金は相殺し、残額は掛けとした。
番号 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
① | 現金 | 8,000 | 前受金 | 8,000 |
② | 前受金 | 8,000 | 売上 | 20,000 |
売掛金 | 12,000 |
<2001年6月22日>
購入した商品のうち、10,000円分を見本品(サンプル本)とした。
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|
見本品費 | 10,000 | 仕入 | 10,000 |
見本品費は「販売費及び一般管理費」。損益計算書上、見本品の原価は見本品費振替高(または他勘定振替高)として、売上原価から控除して表示する。
原価率について
特に原価率算定の際に、原価は仕入割戻・仕入戻しは全て控除するが、売価は売上戻りのみ控除する(売上割戻は売価から控除しない)。なぜなら⋯
種類 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 | 原価への影響 |
---|---|---|---|---|---|
仕入割戻 | 買掛金 | ○○ | 仕入 | ○○ | あり |
仕入戻し | 買掛金 | ○○ | 仕入 | ○○ | あり |
売上戻り | 売上 | ○○ | 売掛金 | ○○ | あり (商品が戻ってくるので、原価に影響アリ) |
売上割戻 | 売上 | ○○ | 売掛金 | ○○ | なし (商品が戻ってこないので、原価に影響ナシ) |
【用語確認】
・原価率ー売価に対する原価の割合(原価/売価)
・利益率ー売価に対する利益の割合(利益/売価)
・付加率ー原価を100%とした場合の利益の割合