ドラゴンと少女の物語 (104-502)

Last-modified: 2009-07-26 (日) 02:19:29

概要

作品名作者発表日保管日
ドラゴンと少女の物語104-502氏09/01/1409/02/01

プロローグ

これは遥か昔の人と龍が同じ世界に生きた時代の物語。
ひょっとしたら之はこの世界の物語ではないのかも知れない。
しかし、確かに起こった出来事。1匹のドラゴンと1人の少女の物語。
 
【遥かなる時のはて。神話と呼ばれた時代。世界は滅びようとしていた。
その世界を救ったのが1匹の神の龍と1人の聖なる少女であったと伝えられる】
 
 
その少女は何時も変わらない世界に不満を持っていた。
しかし、少女が暮すその小さな村に起こる事といったら年に二度行なわれるお祭り位しかなかった。
少女はこんな小さな村を飛び出し、もっと世界を見てみたいと思っていた。
世界にはもっと不思議なことがある。人伝えに聞くドラゴンや魔法や妖精の話。
でもこの小さな村にはそんな者はおらず、村外れの丘にある小さな古びた祠に祭られる名も知れぬ神くらいしかなかった。
少女は村で薬師として生活していた。別に薬師になるつもりは無かった。
家が代々薬師の家系なだけ。生活する為に仕方なくだった。
 
そんな少女も何時しか美しく成長した。村中の若者が彼女に求婚した。
しかし少女は誰一人としていい返事を返さなかった。決まって
 
「詰んない男に付き合ってる暇は無いの!」
 
と言って村の男達を遠ざけていた。何時しか少女に求婚する者はいなくなった。
 
 
そんなある日。村の外れにある丘の祠に化け物が住み着いたと、村の猟師が知らせてきた。
少女は周囲の静止に耳もかさず真っ先にその祠に向かった。
この村に化け物が出るなんて今まで聞いたことが無かったからだ。
そして少女が目にしたのは、うわさに聞く”ドラゴン”であった。
 
「ちょっとあんたドラゴンよね?何て名前?どこから来たの?」
【…普通 俺を見たら逃げるか怯えるかするもんじゃないのか?人間は】
「このあたしをそんじょそこらの人間と一緒にしないで欲しいわ。あたしは"ハルヒ"。でアンタは?」
【やれやれ 長旅でしばし休憩と思ってこの霊場によってみればトンだオマケ付だよまったく】
「あんたの話を聞いてないの?…あんた旅してるって言ったわね?それも詳しく聞かせなさい。取合えず名前!」
【はぁ~ どうして人間はこうせっかちなのかね …俺の名前は…】
「…名前は?」
【…名前は正直言う 無い】
「は?ドラゴンって名前無いの?」
【そうじゃない 正直に言うと誰も俺の名前の知らないのさ 同じドラゴン仲間でも俺の名前を知ってる奴はいない だから俺は旅をしてるのさ】
「何の?」
【俺の名前を知ってる奴を探す旅】
「誰も知らないような名前を誰が知ってんのよ。」
【定かじゃない しかし伝説に聞く『神龍』ならもしかしたらと思ってな】
「じゃあ、あんたはその『神龍』を探して旅してんの?」
【彼此100年位かな】
「100年?!」
【人には長い年月でも俺達ドラゴンにとっては大した時間じゃないのさ】
「…ふ~ん、そっか。ところであんた此処に何時まで居るの?」
【前の大陸から此処まで歩き通しで大分魔力を消費してるから その魔力が回復するまでかな】
「…歩いて?あんた飛べないの?」
【俺の背中見てみろよ 翼なんて無いだろ?】
「ドラゴンて空飛べるんじゃないの?」
【そんな種族もいる 単に俺が飛ばない種族なだけだ】
「何よツマラナイわね。…でも世界を旅してきたんでしょ?何か面白い事無かった?」
【人間のお前に面白いかどうか分からんぞ】
「それを決めるのはあたしよ!いいから聞かせなさい!」
【やれやれ まぁ話してやっても良いが今日は勘弁してくれ なんせ長旅で疲れてるんだ 今日は休ませてくれ】
「何よドラゴンの癖にだらしないわね。良いわ、じゃあ明日また来るから絶対聞かせないさいよ。」
【ああ】
「…でも、名前が無いのは不便ね。よしあんたの名前は『キョン』よ!!」
【ちょっと待て なんだその間抜けな名前は】
「あらいいじゃない。あんたみたいに空も飛べないドラゴンにはお似合いよ。」
【はぁ~ 今まで色んな人間見てきたがお前みたいな奴は初めてだ】
「ふふん。どう?驚いた?
【正直驚いた 旅はしてみるもんだ】
「じゃあ明日また来るからね、ちゃんと此処に居なさいよ『キョン』!」
【わかったよ『ハルヒ』】
 
こうしてキョンとハルヒは一緒に過ごすようになった。
しかし、村の者達はこの心優しいドラゴンを退治しようと冒険者を雇ったのだった。
 
「ちょっとキョン、あんた何もしないで逃げるき?大体あんた何も悪い事してないじゃない!」
【例えそうでも人間は得体の知れないものを恐れるのさ 何こんな事今まで何度もあった 大事になる前に退散するさ】
「…待ちなさいよ。」
【…なんだハルヒ】
「だったら。あたしも一緒に連れて行って。」
【…は?】
 
こうして1匹のドラゴンと1人の少女の旅が始まった。
まだ見ぬ伝説の『神龍』をキョンの『真の名』を求めて。
やがて、1匹また1匹と旅する仲間。もといドラゴンも増えていく。
そして1匹と1人は嘗て伝説に聞いた世界を滅ぼす『闇』と出会うのであった。
 

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