居場所 (42-958)

Last-modified: 2007-03-22 (木) 00:37:25

概要

作品名作者発表日保管日
居場所42-958氏07/03/1307/03/13

作品

今日の市内探索は遠出したので帰りが遅くなってしまった。
これ幸いとハルヒが夕食を提案した。家に電話しなけりゃいけなくなった。まったく面倒だな。
5人でぞろぞろと適当な店に入る。ちょうど夕飯時なのでずいぶん混んでいた。
4人席は空いているようだが5人はちょっとなさそうだ。どうするよハルヒ。
「ここで店を変えたら負けたみたいじゃない。断じてここで食べるわ」
どうしてこう無駄に負けず嫌いなんだろうね。別にどこでもいいじゃないか。
「で、実際どうするんだ。2人と3人に分かれるか?」
「だーかーらー、それじゃ意味ないでしょ。5人揃ってSOS団なの!ホントバカね!」
バカで悪かったな。
「仕方ないな。つめれば何とかなるだろう。そっちの2つの椅子で頑張って女子3人座ってくれ」
「はあ!?なんであたしたちが妥協しなきゃいけないのよ」
…お前な。じゃあどうしろって言うんだ。俺が空気椅子でもやってればいいのか?
「それもいいわね。役職的にはあんたが一番下なんだから」
長門はヒラだったはずだが団員その1かつ雑用はそれより低いらしい。
「まあそれも可哀想かなって少しだけ思うからやめてあげる」
好き勝手言いやがって。いつか団長に下克上してやろうか。おそらく勝ち目は0だが。
「有希はそこ。みくるちゃんはそこ、で古泉君がこっち。キョン、空いてるここに座りなさい」
それは構わんがお前の席がないぞ。どっかから椅子を取ってくる気か?やめとけ迷惑だ。
「そんなのしないわよ。とりゃ!」
かけ声と共にハルヒは俺の膝の上に乗ってきた。
俺の太ももに座り、俺の上半身を背もたれのように寄りかかってきた。
「これならいいでしょ。さあオーダーは…」
「ちょっと待て」
「何よ」
常識的に考えておかしいだろ。いや常識でこいつを測るのは間違っているわけだが。
でも違うって。重いし、前が見にくいし、どうやったってハルヒに触れてしまうし、食べるとき邪魔だし。
見ろ、朝比奈さんが「ふえ~」なんて言いながら真っ赤になってる。気のせいか他の客の目も痛いし。
「うっさいわね。空気椅子のほうがいいの?」
だからってこれはないだろ。いろいろヤバイって。
「じゃあ古泉君のほうへ行こうかしら」
…人に迷惑をかけるな。そんなことさせるくらいならこのままでいい。
「じゃあ問題なしね。すいませーん。注文お願いしまーす」
結局そのまま食事となった。
二人羽織みたいなこの体勢はとても食べにくく、ハルヒに「ヘンなとこ触るなっ!」と何度も怒られた。
俺に罪はないと思うのだが、こういう時はいつも男が悪いといわれるに決まってる。甘んじて受けよう。

 

帰り道。当然のように古泉が寄ってきた。
「仲がよろしいですね」
俺は被害者だ。
「では僕も被害者でしょうか。目の前であんなことをされては当てられてしまいますよ」
「別に構わねえよ。あいつが加害者だってことに変わりない」
「それは共犯だと思いますがね。しかしお二人の未来を見ているようでしたよ」
すごく聞きたくない。
「まさに尻に敷かれていましたからね」
だから聞きたくなかったんだ。
「まあまあ、でも構図だけで見れば涼宮さんはあなた無しではいられないようにも思えましたよ」
「なんだその誤解を招きそうな表現は」
「あなたという土台がないと、涼宮さんは今のように自由に振舞えないという意味ですよ」
あいつは俺がいなくたってあのままだと思うがね。
「ご冗談を。あなたに会う前の涼宮さんを思い出しても同じことが言えますか?」
さてね、そんな昔のことは忘れちまった。この一年振り回されっぱなしだったからな。
「あなたの前、もしくは上にいるのが今の涼宮さんの居場所なんですよ」
「勝手な奴だな」
「まったくです。…嫌ですか?」
せめて対等な立場になりたいね。こき使われるだけってのはまっぴらだ。
「いつかは涼宮さんの隣にいたい…つまり「自分の隣が涼宮ハルヒの居場所だ」というわけですか?」
「お前は曲解しすぎだ。…勝手に言ってろ」
「否定しないのは慣れでしょうか、それとも?」
古泉のむかつくニヤニヤ顔から目を離しハルヒを見る。
隣なら手を引っ張るなりでもっと簡単に止められるのかも知れない。だったらあいつの隣も悪くないかもな。

 

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