人取橋の別離

Last-modified: 2024-07-12 (金) 19:51:46

伊達家 伊達家

伊達軍は蘆名領を破竹の勢いで進軍
蘆名家に与(くみ)する二本松義継は
伊達政宗に和議を申し込んだ
 
しかし、伊達政宗はこの申し入れを拒否
困り果てた二本松義継は政宗の父の
輝宗にとりなしを頼んだ
 
将兵を休ませるために宿坊にいた政宗を
輝宗が訪れた
 
伊達政宗
父上自ら足を運んでいただけるとは
まことにうれしゅうございます
 
伊達輝宗
先ほどお前の采配を見させてもらった
実に見事だ
それでこそ一軍を率いる大将じゃ
 
輝宗は政宗が幼い頃から
目をかけていたため
政宗の活躍を誰より喜んだ
 
伊達輝宗
ときに政宗よ
ひとつ頼みたいことがある
 
伊達政宗
何でございますか、父上?
 
伊達輝宗
わしはかつて義継殿に
兵を借りた恩がある
義継殿を見逃してはもらえぬか?
 
義継を許しますか?
許す
許さない

「許す」を選択

伊達政宗
承知しました
父上がそこまでおっしゃるなら
和議を進めましょう
 
伊達輝宗
無理を言ってすまぬな
 
さすがの政宗も父の言葉には逆らえず
和議を受け入れたのであった
 
伊達輝宗
義継殿の知行は先ほど申したとおりで
よろしいかな?
 
二本松義継
命が助かっただけでもありがたい
輝宗殿がおらねば今頃どうなっていたか
 
伊達輝宗
はっはっ、我が子ながら政宗は
獅子のごとき気質なれば一度怒りだすと
わしにも手がつけられませぬ
 
政宗は供の者と鷹狩りをしていた
そこへ政宗の腹心、景綱が
血相を変えて現れた
 
片倉景綱
殿、一大事にございまする!
会見の折に義継殿が大殿をさらい
蘆名領に向けて逃亡中とのことです
 
伊達政宗
義継め……
やはり裏があったか!
 
片倉景綱
川を越えられたら蘆名領に入りまする
もはや一刻の猶予もございませぬ
 
伊達政宗
早馬を出せ!
城に留守だけ残して全軍、義継を
追うよう下知せよ!
 
片倉景綱
ははっ
 
伊達政宗
者ども我に続け!
遅れし者は誰であろうと斬り捨てる!
 
政宗はそう言うや否や手綱を引き絞り
木々の間を疾走していく
 
政宗は、城から出陣した本隊を合流し
まさに義継が国境の阿武隈川を渡ろうと
しているところで追いついた
 
二本松義継
ええい、それ以上近づくでない
近づけば輝宗の命はないぞ!
 
伊達政宗
何をぬかすか、この下郎めが!
命を救った我が父を盾にとるとは
恥を知れい!
 
二本松義継
そちらこそ卑怯な手を使いおって!
わしをだましておきながら
義を説くとは笑止なり!
 
互いに声を張り上げ、罵声を浴びせるが
伊達、蘆名ともに動きがとれない
そのとき輝宗の言葉が転機をもたらした
 
伊達輝宗
ここで撃たねば伊達くみしやすしと
必ずや諸国は一気呵成に攻めてこよう!
かようなことで禍根を残すでない!
 
伊達政宗
しかし……
 
伊達輝宗
何をためらうか、政宗!
お前の覚悟はその程度か!
撃て、撃つのじゃ!
 
政宗が号令を下すべく手を挙げる
義継も覚悟を決め
輝宗のそばに寄り、短刀を振りかぶった
 
二本松義継
くっ……もはやこれまで!
 
伊達輝宗
政宗、後のことは頼んだぞ……
 
伊達政宗
撃てー!
 
政宗のほえるような号令とともに
何百もの銃弾が雨のように降り注ぐ
崩れた蘆名の兵に騎馬隊が突っ込んだ
 
勝敗は一瞬にして決した
蘆名の兵は伊達の嵐のごとき突撃に
さらされ、ただ逃げ惑うばかりであった
 
こうして輝宗は壮絶な死を遂げた
政宗は、より力を強大にせんと
誓うのであった

「許さない」を選択

伊達政宗
……父上の頼みでもこればかりは譲れませぬ
 
伊達政宗
今、義継を許せば、今後我らの敵は
いざというときは投降すればよいと
思い上がるでしょう
 
伊達政宗
そうか……
それでは仕方ないな
 
情に流されることの危うさを知る政宗は
父の申し出を拒んだのであった
 
この事件は瞬く間に諸国に知れわたり
多くの者が政宗の冷徹さに恐れをなした
 
いつしか、人は政宗のことを
畏敬の念とともに「独眼竜」と呼ぶように
なったのであった

蘆名家 蘆名家

伊達軍は蘆名領を破竹の勢いで進軍
蘆名家に与(くみ)する二本松義継は
伊達政宗に和議を申し込んだ
 
しかし、伊達政宗はこの申し入れを拒否
困り果てた二本松義継は政宗の父の
輝宗にとりなしを頼んだ
 
伊達輝宗
義継殿の知行は先ほど申したとおりで
よろしいかな?
 
二本松義継
命が助かっただけでもありがたい
輝宗殿がおらねば今頃どうなっていたか
 
伊達輝宗
はっはっ、我が子ながら政宗は
獅子のごとき気質なれば一度怒りだすと
わしにも手がつけられませぬ
 
輝宗と義継の会見は
終始和やかな雰囲気で進められた
 
一方、館の裏手では
酔った伊達の足軽が
刀を研いでいた
 
そこを通りかかった義継の従者が
何気なく、伊達の兵士に声をかけた
 
家臣
そのように刀をお研ぎになって
いかがした?
 
足軽
これで義継殿の首を頂こうと思うてな
 
家臣
!
 
義継の従者は驚愕した
平素なら戯れと思う言葉も政宗の気質を
知る者にはまことに思えた
 
従者は急いで屋敷に戻り
義継にその旨を報告した
 
家臣
義継様、一大事にございます!
伊達は殿を亡き者にしようと
企てております!
 
二本松義継
なに!
それはまことか?
 
家臣
はっ
伊達の兵士が義継様を討たんと
館の裏手で刀を研いでおりました
 
二本松義継
伊達め、謀りおったな……!
かくなる上は輝宗を捕らえて
盾にしてくれる
 
政宗は、城から出陣した本隊を合流し
まさに義継が国境の阿武隈川を渡ろうと
しているところで追いついた
 
二本松義継
ええい、それ以上近づくでない
近づけば輝宗の命はないぞ!
 
伊達政宗
何をぬかすか、この下郎めが!
命を救った我が父を盾にとるとは
恥を知れい!
 
二本松義継
そちらこそ卑怯な手を使いおって!
わしをだましておきながら
義を説くとは笑止なり!
 
互いに声を張り上げ、罵声を浴びせるが
伊達、蘆名ともに動きがとれない
そのとき輝宗の言葉が転機をもたらした
 
伊達輝宗
ここで撃たねば伊達くみしやすしと
必ずや諸国は一気呵成に攻めてこよう!
かようなことで禍根を残すでない!
 
伊達政宗
しかし……
 
伊達輝宗
何をためらうか、政宗!
お前の覚悟はその程度か!
撃て、撃つのじゃ!
 
政宗が号令を下すべく手を挙げる
義継も覚悟を決め
輝宗のそばに寄り、短刀を振りかぶった
 
二本松義継
くっ……もはやこれまで!
 
伊達輝宗
政宗、後のことは頼んだぞ……
 
伊達政宗
撃てー!
 
政宗のほえるような号令とともに
何百もの銃弾が雨のように降り注ぐ
崩れた蘆名の兵に騎馬隊が突っ込んだ
 
勝敗は一瞬にして決した
蘆名の兵は伊達の嵐のごとき突撃に
さらされ、ただ逃げ惑うばかりであった
 
こうして輝宗は壮絶な死を遂げた
政宗は、より力を強大にせんと
誓うのであった

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伊達家の伊達輝宗が
二本松義継にさらわれた末に死亡しました

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