今川家
今川義元の死は周辺諸国のみならず 今川家にも大きな影響を与えた 今川義元が討たれたという噂は 今川家に従っていた 松平元康の耳にも入っていた 酒井忠次 殿、義元殿が討たれた今こそ 岡崎城に戻る千載一遇の好機ですぞ! 松平元康 義元殿が討たれたといえども 今川家はいまだ健在じゃ いつ再び兵を挙げるかもわからぬ 酒井忠次 しかし、義元殿の嫡男たる氏真殿は 蹴鞠や闘鶏に明け暮れており 父の仇をとる気概もないようですが…… 松平元康 左様なことはわかっておる だが、今川軍がまだ城に残っている以上 我々は岡崎城に入ることはできぬ 酒井忠次 ……承知いたしました 忠次は家のために屈辱に耐え続けてきた 元康の渋面を見て 言葉を返せなかった 松平元康 それよりも、大樹寺に入り 皆を休ませるのが先じゃ 酒井忠次 ははっ 大樹寺は松平家代々の主が眠る いわゆる菩提寺であった 元康は兵を休ませると、座敷に上がった そこへ血相を変えた本多重次が 駆け込んできた 松平元康 重次よ、いかがしたのだ? 本多重次 物見が申すところによると 今川軍が岡崎城を捨て 駿河に戻ったとのことにございます 酒井忠次 なんと! それはまことでござるか! 家臣たちは狂喜したが 元康の表情は冴えない 幼少の頃より苦労を重ねてきた元康は 慎重になっていた 本多重次 殿 今をおいて岡崎に戻るときは ございませぬ! 松平元康 …… 酒井忠次 何をためらっておられるのですか? あとで氏真殿に問いただされても いかようにでも申し開きできまする! 本多重次 三河に戻るのは殿だけではなく 我ら家臣一同の悲願 なにとぞ岡崎城にお入りくださいませ 松平元康 ……岡崎城は今川勢の捨てた城 落ちているものを拾うのであれば 誰も文句は言うまい 元康は家臣の熱意に動かされ ついに重い腰を上げたのだった 元康帰還の噂はすぐに三河中に広まった 家臣たちだけではなく民にとっても 元康の帰還は悲願であった 元康の勇姿を一目見ようとする民で 岡崎城までの道は埋め尽くされた 農民 元康様じゃ! 元康様が戻ってこられたぞ 老人 ううっ、元康様があれほどご立派に…… お父上の広忠様も生きておられれば さぞお喜びになったじゃろう 民の歓声やむせび泣く声を聞くうちに 元康の目頭も熱くなる 松平元康 ……三河の民はここまで 我らを慕って おってくれたのか 酒井忠次 左様でございます 身分の隔てなく全ての三河人が 元康様のご帰還を待ちわびていたのです そう言った忠次の頬を涙が伝う 元康は、涙を流す家臣や民衆を目にし 馬を止めた 本多重次 元康様、いかがなされました? 家臣たちが見守る中 元康は手綱を引いて馬を返し 万感の思いを込めて叫ぶ 松平元康 ……松平広忠の子、松平元康 ただいま岡崎に戻った! 元康の力強い言葉に皆が打ち震えた 民衆は歓喜し、元康の名を叫びながら いつまでもその後ろ姿を見守った 担当する勢力を選択してください 今川家 松平家
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元康謀反の報に今川勢は激怒した 家臣たちは、元康を討つべく 義元の嫡男氏真に出陣を促した 太原雪斎 元康め! まさか、岡崎城を乗っ取るとは! ただちに元康を討つべく出陣を! 朝比奈信置 左様にございます 今ならば背後を気にせず 岡崎城に兵を集中できまする 今川氏真 待て、待て そう焦るな いまいちど奴の真意を確かめてみよう 太原雪斎 …… 義元の仇を討とうと意気込んでいた 家臣たちは 氏真の言葉に呆気にとられた 家臣たちは義元が失われたことを 改めて痛感し 大きな不安を感じるのであった こうして義元の死は元康の独立を 許す結果となった 今川家の命運は氏真に 託されたのである
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城に入った元康は、天守から 岡崎の町と三河の地を眺めていた その美しい風景とともに 家臣に討たれ、非業の死を遂げた 祖父と父に思いを馳せた 松平元康 祖父上、父上、さぞや無念であったでしょう それがしは必ずや生き抜き この父祖伝来の地を守り通してみせまするぞ 元康は今川の呪縛から逃れたものの 三河の統治は予断を許さぬ状況であった だが、元康の決意は固かった 今川家での長き忍従を経て ようやく解き放たれた三河の鷲は 今、戦国の世に飛び立たんとしていた
その他の大名家
今川家の松平元康が 主君、義元の討死に乗じて 岡崎城で独立しました