毛利家
元就の居城に久しぶりに息子たちが揃った
嫡男の隆元、吉川家を継いだ元春、
小早川家を継いだ隆景である
それぞれの家を継いだ元春、隆景は
実家毛利家の運営に干渉しなくなり、
疎遠になっていた
元就はこのことを憂慮し
息子たちを呼んだ
3人はいつもとは違う父の気配を感じていた
毛利元就 □毛利家
こうして親子が揃うのも久しいな
今日はお前たちに大事な話をしようと思い
呼んだのじゃ
毛利元就 □毛利家
隆元、元春、隆景、
この矢を折ってみよ
元就は息子たちに1本の矢を渡した
毛利隆元 □毛利家
なんの、造作もないことです
3人はその矢を難なく折ることができた
吉川元春 □毛利家
父上、矢ごときも折ることができぬと
お思いですか!
毛利元就 □毛利家
ならば、これはどうじゃ
そう言うと元就は3本の矢の束を渡した
吉川元春 □毛利家
うぐぐ……
力の強い元春は矢を折ることが
できなかった
毛利元就 □毛利家
折れぬか、隆景
折ってみよ
小早川隆景 □毛利家
うむむ……
毛利元就 □毛利家
隆元、お前に折れるか?
毛利隆元 □毛利家
2人に折れぬものを折れるとは
思いません……
毛利元就 □毛利家
そうか、3人とも聞いてほしい
毛利元就 □毛利家
1本の矢は弱きものなれど、弱き矢も
3本束ねれば折れることはないのじゃ
毛利元就 □毛利家
わが国に毛利家の繁栄を望む者など
おらぬであろう
毛利元就 □毛利家
毛利家が弱まればそれぞれの家中にも
乱れが生じよう
毛利元就 □毛利家
元春、隆景、隆元をよく補佐し
毛利家を盛り立てよ
毛利元就 □毛利家
ここに教訓状を渡しておく、わしが死した
のちもこれに記したこと忘れるでないぞ
小早川隆景 □毛利家
ははっ
吉川元春 □毛利家
常に戦場にいる心構えで精進いたします
毛利隆元 □毛利家
父上、頼もしき弟たちを持つことができ
幸せでございます
元就の渡した三子教訓状は14条
からなり、息子たちの協力、兄弟への配慮、
自分の信念などがつづられていた
こうして元就は家中の不和を解消し
毛利家の地盤を強固にしたのであった