徳川家など
徳川家康は息子の信康に 戦(いくさ)話を聞かせていた 古今東西の戦話の中から得られるものは多い それが家康の考えであった 松平信康 父上、お待ちくだされ 急に信康が席を立つ 徳川家康 話の途中ぞ、いかがした? 松平信康 しょ、小用にございまする しばしお待ちを…… 厠より戻ってきた信康に対して 家康は厳しい口調でしかりつけた 徳川家康 戦話は国にとって大事な話であるぞ 例え小便を垂れ流すことになろうとも 戦話の席を立ってはならぬ 徳川家康 徳川の子が戦話に聞き入って 座敷を汚したとあらば 我が家の面目も立つ 松平信康 か、かしこまりましてございます 信康は父の言葉を聞き それ以降、戦話を聞くときは身を引き締めて 臨むようになったという