軌道上に多量の燃料を運ぶためのSSTOの研究と実験機開発。計画コードネーム"Big Orange"。
作成者 : tom
KSPバージョン : 0.23.5(1号)、0.24.0(2号、3号)、0.24.2(4号、5号)
概要
作者が燃料輸送用の大型SSTOの開発に挑戦した記録です。"Big Orange" はオレンジ缶(Rockomax Jumbo-64 Fuel Tank)そのままの意味で名付けました。
目標
4号での目標です。目標輸送重量(1号24t、2号32t、3号64t、4号72t、5号144t)以外は他の機体もほぼ同じです。
主目標
- MODの使用は情報表示MODと自動操縦MODのみ
- Kerbinの高度250kmの軌道上に燃料72t(LiquidFuel 6480、Oxidizer 7920)を運んだ後、帰還できること
- 周回軌道に乗るまでの安定した打ち上げ方法を確立させること
副目標
- 改修が容易であること
- 機体を壊さずに草原に着陸できること
- 不時着水でパイロットが脱出できること
使用MOD
- Kerbal Engineer Redux
- MechJeb
- EnhancedNavBall
- Editor Extensions
1号
まずは、オレンジ缶を輸送用燃料タンク兼ペイロードとして使うことにしました。
とりあえず軌道投入はできますが、LV-N を長時間フル稼働すると爆発するとか、重心の都合で後ろ向きに再突入するとか、ツッコミどころの多い機体です。
乗員 | 1名 |
総重量 | 53.85t |
空虚重量 | 17.85t |
LiquidFuel | 3760 |
Oxidizer | 3520 |
総コスト | 120829 |
パーツ数 | 285 |
主基TWR | ジェット0.85、ロケット0.11 |
2号
軌道にオレンジ缶1個分32tを運ぶことを目標として開発しました。
大きく分けて、初期型の2号A型と後期型の2号B型に分かれています。
スペック
2号B型のスペックです。A型と比べてロケット燃料タンクを増やしたり等しています。
乗員 | 1名 |
総重量 | 67.66t |
空虚重量 | 22.18t |
LiquidFuel(標準/最大) | 4635/4695 |
Oxidizer | 4455 |
総コスト(KSP0.24.2時点) | 203664 |
パーツ数 | 360 |
主基TWR | ジェット1.01、ロケット0.090 |
エンジン
種類 | 静止時推力×基数 | 用途 |
TurboJet | 112.5kN×6 | 主推進ジェット |
LV-N | 60kN×1 | 主推進ロケット |
24-77 | 20kN×2 | 補助推進ロケット、燃料消費 |
24-77 | 20kN×2 | 補助逆進ロケット、燃料消費 |
アクショングループは、全てON/OFF切り替えで、ジェットは1対2基×3系統、ロケットは主推進・補助推進・補助逆進で各1系統です。
補助推進と補助逆進を同時にONにすると、機体を動かすことなく燃料を消費できます。
機体外観
機体側面左右方向にタンクやエンジンを置いて、それらを主翼2葉で上下から挟んでいます。
エアインテークは1号と同じく主翼の下に側面方向に積んでいます。
飛行
打ち上げ手順は割愛しますが、後述する4号の場合とほぼ同じです。
着陸は、不整地では主翼の端が地面をこすって破損することがあります。
着陸速度は、満載時約70m/s、空荷時約25m/sです。
3号
開発方針の迷走の末、初飛行すらせずに中止にしました。全体的に余裕の無い構造で、拡張性に乏しかったと思います。
4号の開発方針が拡張性重視・利便性重視・外観度外視になった原因のひとつです。
4号
目標は輸送72tです。
3号の開発が難航したため、外観度外視での開発にしました。
基本的にすべてのパーツが外から見えるようになっていて、翼パーツやエンジンの増減があまり手間をかけずにできるようにしています。
機体外観
スペースプレーンとしては小さいTWRと、4段重ねの巨大な主翼が特徴です。
主翼は端の部分以外は上下対称になっています。端の部分は安定性確保と接触防止のために上反角を付けています。
ランディングギアは機体後方に1対2個、前方に1個、主翼下に各1個です。着陸時の転倒防止のため、ブレーキは後方の2個だけ有効です。
乗員 | 0または1名 |
総重量 | 124.05t |
空虚重量 | 36.20t |
MonoPropellant | 87.5 |
LiquidFuel | 8700 (ロケット7200+ジェット1500) |
Oxidizer | 8800 |
総コスト | 289494 |
パーツ数 | 481 |
主基TWR | ジェット0.74、ロケット0.098 |
エンジンの構成は2号とほぼ同じです。
種類 | 静止時推力×基数 | 用途 |
TurboJet | 112.5kN×8 | 主推進ジェット |
LV-N | 60kN×2 | 主推進ロケット |
48-7S | 30kN×2 | 補助推進ロケット、燃料消費 |
48-7S | 30kN×2 | 補助逆進ロケット、燃料消費 |
アクショングループは、全てON/OFF切り替えで、ジェットは1対2基×4系統、ロケットは主推進・補助推進・補助逆進で各1系統です。
2号と同様、補助推進と補助逆進を同時にONにすると、機体を動かすことなく燃料を消費できます。
打ち上げ手順
おおまかな手順は、離陸、上昇、方向転換、水平加速、再上昇、ロケット点火、ジェット停止です。
ジェットエンジンのフレームアウト防止のため、MechJebの使用を推奨します。
- 満載では自力で滑走路から離陸できないため、滑走路で加速した後に滑走路端からスキージャンプ
- 離陸したら機体のPitchを50度まで上げる
- しばらく機体のPitchを50度で維持
- Surface Prograde のPitchが20度まで下がったら、機体のPitchを45度まで下げる
- Surface Prograde のPitchが10度まで下がったら、機体のPitchを40度まで下げる
- しばらく機体のPitchを40度で維持
- 高度25km付近から機体のPitchを下げ始め、機体の上昇率を抑える
- 高度32~33kmで、上昇率を20~30m/s程度に維持して速度を稼ぐ。高度33kmで対地速度1.7km/sが目安
- 高度40km付近まで、上昇率を30~40m/s程度に維持する。機体のPitchは13度ほどが目安
- 高度43.5km付近でジェットの推力がメインロケットの推力を下回る。ジェット用燃料が切れてたらロケットのみに切り替え、余っているなら高度45kmほどでメインロケットに点火してジェットを2個ずつ止めながら高度49kmほどまで混合で引っ張る
- ロケットに切り替えてからは、特記事項は無いので省略
作者による打ち上げでは、高度250kmへの軌道投入時点で、残り LiquidFuel 6810、Oxidizer 8220、DeltaV 8690m/s ほどでした。
着陸
傾斜5度くらいまでは満載でも着陸できます。
降下から接地直前までの姿勢は、平坦地ではPitch 5~15度、傾斜地ではPitch 10~20度が目安です。
着陸速度は、満載時ではジェットエンジン2基有効で40~50m/s、空荷時では滑空で15~20m/sです。
狙った位置に着陸するのは難しいので、燃料が十分残っているなら、強引に滑走路に降りるよりは滑走路北~北西の空き地に降りてから地上走行するほうが簡単だと思います。
機体データ
KERとMechJebのMODパーツは外してあります。
4号改
4号の項目が長くなったので項目を分割します。区別のため、初期型を4号A型、改良型を4号B型とします。
機体外観
4号A型をベースに調整しました。主な変更点は、
- 主翼面積を減らした(Wing Connector×128→112)
- 補助翼を増やした(Standard Control Surface×4→8)
- エンジンの位置を微調整して、機体側面、両端のジェットエンジン付近にタンクなどを増設できるようにした
- 機体先頭部のドッキングポートを蓋付き(Clamp-o-tron Shielded Docking Port)や爪(Advanced Grabbing Unit)に替えられるようにした
- RCSを全てオプション扱いにした
機体への増設は、合計で4~5tほどまでなら中央部の大タンクが満載でもジェット用燃料は1500で足りると思います。機体上部への増設の上限は1tほどです。
機体側面に固体ロケット RT-10 を1対2基つければ満載でもスキージャンプを使わずに離陸できます。満載時の機首引き起こし速度は約100m/sです。
RCSをオプション扱いに変えたので、実質的な変更は主翼まわりだけです。
乗員 | 0または1名 |
総重量 | 122.94t |
空虚重量 | 35.41t |
MonoPropellant | 7.5 |
LiquidFuel | 8700 (ロケット7200+ジェット1500) |
Oxidizer | 8800 |
総コスト | 278934 |
パーツ数 | 459 |
主基TWR | ジェット0.75、ロケット0.10 |
エンジン構成、アクショングループ種別は4号A型と全く同じなので割愛します。
打ち上げ手順
おおまかな手順は、離陸、上昇、方向転換、水平加速、再上昇、ロケット点火、ジェット停止です。
- ジェットを1対2基のみ起動して離陸開始
- 滑走路の残り1km付近でジェットを全開
- 滑走路の終端少し前から機首上げ操作最大でスキージャンプ
- 機体が上昇を始めたら機体のPitchを50度まで上げる
- 機体のPitchを50度で維持し、機体の速度と上昇率がどちらも増加し始めたら離陸成功
- しばらく機体のPitchを50度で維持したまま上昇
- Surface Prograde のPitchが20度まで下がったら、機体のPitchを45度まで下げる
- Surface Prograde のPitchが10度まで下がったら、機体のPitchを40度まで下げる
- もし、Surface Prograde のPitchが5度以下で上昇率が下がり始めたら、機体のPitchを37度まで下げる
- 高度26km付近から機首を下げ始め、機体の上昇率を抑える
- 高度32~33km付近で、上昇率を抑えて速度を稼ぐ。高度33kmで対地速度1.7~1.9km/sが目安
- 高度40km付近まで、上昇率を30~40m/s程度に維持する。機体のPitchは13度ほどが目安
- 高度42~45kmでメインロケットに点火
- ジェットを1グループずつ停止
- 高度46~50kmでジェットを完全停止
- ロケットに切り替えてからは、特記事項は無いので省略
高迎え角での上昇時、機首を下げるのを忘れてそのまま放置し過ぎるとディープストールを起こします。
機体データ
KERとMechJebのMODパーツは外してあります。
アクショングループの番号割り当てを変えています。2号機以降の割り当て番号を揃えたのが原因です。
5号
目標輸送重量は4号の2倍、144tです。
基本的には4号の拡大版です。
ジェットエンジンの搭載数を変えながら実際に飛ばして必要な板(Wing Connector)の数を割り出しました。その結果、候補は、
- ジェット×16 + 板×216
- ジェット×18 + 板×168
- ジェット×20 + 板×136
の3案になりました。ジェットをこれより減らすと上昇に必要な主翼面積と燃料消費が増え、増やすと満載着陸に必要な主翼面積を確保する必要があるため必要以上に重くなります。
最終的に、ジェットエンジンは18基にしました。
最大の弱点は、CPU負荷が大きすぎることです。等倍速でタイマーが1分進むのに実時間で5分近くかかります。
乗員 | 0または1名 |
総重量 | 244.794t |
空虚重量 | 68.264t |
MonoPropellant | 7.5 |
LiquidFuel | 17700 (ロケット14400+ジェット3300) |
Oxidizer | 17600 |
総コスト | 475926 |
パーツ数 | 708 |
主基TWR | ジェット0.84、ロケット0.10 |
エンジンの構成は4号とほぼ同じです。
種類 | 静止時推力×基数 | 用途 |
TurboJet | 112.5kN×18 | 主推進ジェット |
LV-N | 60kN×4 | 主推進ロケット |
48-7S | 30kN×2 | 補助推進ロケット、燃料消費 |
24-77 | 20kN×4 | 補助推進ロケット、燃料消費 |
48-7S | 30kN×2 | 補助逆進ロケット、燃料消費 |
24-77 | 20kN×4 | 補助逆進ロケット、燃料消費 |
アクショングループは、全てON/OFF切り替えで、ジェットは 10+4+2+2 の4系統、ロケットは主推進・補助推進・補助逆進で各1系統です。
高度250kmの軌道上での、最初で最後の勇姿。残り LiquidFuel 13500、Oxidizer 16228。
大気圏離脱までに実時間で2時間近くかかりました。4号の3倍くらいです。この後無事に陸地に着陸しました。
いつもならさらに改良を重ねるところですが、CPU負荷が大きすぎて常用に耐えないのと、KSPの新バージョン0.25が出たのとで、5号の開発はこれで終了とします。
更新履歴
- 2014-08-06 初版
- 2014-08-10 1号~3号を追加
- 2014-08-26 4号の加筆修正、4号改の追加
- 2014-10-13 主に4号・4号改の加筆修正、5号の追加
コメント
- 初投稿です。よろしくお願いします。 -- tom? 2014-08-06 (水) 03:09:32
- やはり、オレンジ一缶まるごとあげるとでかくなるですぬ(^ω^) -- 2014-08-07 (木) 23:47:42