目標設定
アポロ計画が有名なので、Munの有人往復をしたくなるのではないでしょうか。
しかし有人ポッドは重く、往復には大きなΔVが必要とされます。
ΔVは現実のロケットでも使われる「どこまで行けるか」を示す指標です。
WikipediaにおけるΔVの定義(計算式)
現実世界(太陽系)のΔVマップ
KSP世界(Kerbol系)のΔVマップ
自分で作ったロケットでも試験してみました。
ミッション | 必要ΔV[m/s] |
Kerbin周回軌道に乗る | 4299 |
Munフライバイ(30km)~帰還*1 | 5541 |
Mun周回軌道(30km)に乗る | 5402 |
Mun着陸(片道) | 6535 |
Munに着陸して帰還*2 | 7848 |
これは実測値ですが機体設計とフライトによって多少増減します。
MODのKerbal Engineer Reduxをインストールすると、VABで設計時にΔVを見ることができます。
今回は比較的ΔVが少なくて済むMun周回軌道に乗せる片道無人機を打ち上げます。
通信の中継
無人機を操作するには、通信がKerbin*3まで届く必要があります。
中継衛星を配置すると遮蔽による通信断を回避できます。
通信距離の目安は英語Wikiにありますが、重要なのは次の2つでしょう。
- トラッキングステーションLevel 1+HG-5 Minmusまで
- トラッキングステーションLevel 3+RA-15 Dunaまで常時通信可
現状でHG-5を利用できるので、これを搭載した中継衛星をMun周回軌道に配置します。
サイエンスポイントの獲得
科学実験の条件は
- 実験方法
- 天体
- バイオーム
- 状況
によって決まります。
すでに取得したサイエンスポイントについてはR&Dで記録を見ることができます。
この例では
- 実験方法=クルーレポート
- 天体=Kerbin
- バイオーム=ランチパッド
- 状況=Landed(着陸)
のサイエンスポイントは1.5取得されており、同じ実験を繰り返してもこれい以上ポイントを得られないことが分かります。
科学実験したときに実験結果を保存(緑)と送信(青)でポイントが異なる場合があります。
この例では、実験機機内にデータを保存し持ち帰ったときに16ポイントを得るか、今すぐ送信して8ポイントを得るかを選択することができます。送信を選んだ場合、差の8ポイントは再び実験して持ち帰ると得ることができます。
今回は片道のロケットに使用可能な4種の実験機器を搭載して、通信によってIn Space HighとIn Space Lowサイエンスポイントを得ることを目指します。
Science Jr.とMystery Gooは一度しか使用できないので持って行く数によって得られるポイントが決まりますが、重量的に無理しないように1個ずつにします。
ロケット
大気圏内での打ち上げ: 固体燃料ロケット×2ステージ
周回軌道に乗るところ: LV-T45
Kerbin周回軌道~Mun: LV-909
合計ΔVは6314m/s
フライト
Kerbin周回軌道に乗れたら、マニューバーを作成して黄色のProgradeマークを引っ張ってMun周回軌道まで伸ばします。
Munをダブルクリックして視点の中心を移動。黄色、水色、紫色のマーカーの上にマウスカーソルを合わせてホイールで微調整します。減速時の通信を確保するために、Kerbin側(図中左)を通過するように。ここでPeを低くしておくと減速に必要なΔVが小さくて済むので、15kmに調整しました。
Pe=15km、Ap=1842kmの長楕円軌道にしました。理由は3つ。
- 減速に必要なΔVが少なくて済む
- In Space HighとIn Space Lowの両方で実験できる
- 長楕円軌道のAp付近ではゆっくり動くので、通信をいつ中継できるのか見積もりを立てやすい
科学実験
現実世界の重力は、無限の遠くまで届きます。
地球上にいる我々は地球の引力を受けていますが、月と太陽の影響もあることは潮の満ち引きから分かります。
Kerbal Space Programの世界では計算を簡単にするために、引力を与える天体は常に1つだけです。
ある天体の引力が影響を及ぼす球形の空間をSphere of Influence(影響圏)と呼びます。
Kerbinを中心とした半径84,159kmはKerbinのSOIです。
この外側は恒星KerbolのSOIであり、内側にMunとMinmusのSOIがあります。
科学実験は使用する機器が同じであっても、SOI毎にポイントを得られます。
MunのSOIは60kmを境界にLowとHighに分かれており、それぞれでポイントを得られます。
通信により以下のサイエンスポイントを獲得しました。