点睛召将術

Last-modified: 2021-05-29 (土) 18:48:05
名称点睛召将術
日本語てんせいしょうしょうじゅつ
英語Summoning of Painted Eyes
繁体字點睛召將術
簡体字点睛召将术
 

魏無羨が使う邪術のひとつ。
人形に血で瞳を描いて魂を宿らせ、それを使役する術。

 

その他の呼び名:
点睛召喚術(てんせいしょうかんじゅつ)(ラジオドラマ)

 

参考資料

魏無羨が紙人形の姉妹を召喚するために唱えた呪文「媚眼含羞合,丹唇逐笑開。不問善與惡,點睛召將來。」の前半部分は南朝斉の文人・何思澄(かしちょう)の「南苑逢美人」が原典。この詩は、作者が南苑で美人に逢ったことを詠んだものである。
また、陰力士を召喚した呪文は「野火燒不盡,春風吹又生。」だが、これは唐の詩人・白居易(はくきょい)の「賦得古原草送別」から引いたものである。

 

漢詩紹介

南苑逢美人(作者:何思澄)

洛浦疑廻雪  洛浦(らくほ) 廻雪(かいせつ)かと疑う
巫山似旦雲  巫山(ふざん) 旦雲(たんうん)に似たり
傾城今始見  傾城(けいせい) 今始めて見る
傾国昔曽聞  傾国(けいこく) 昔 (かつ)て聞く
媚眼随羞合  媚眼(びがん) (しゅう)(したが)いて合し  
丹唇逐笑分  丹唇(たんしん) 笑を()いて分る
風捲葡萄帯  風は()く 葡萄帯(ぶどうたい)  
日照石榴裙  日は照らす 石榴裙(せきりゅうくん)
自有狂夫在  (おのず)から 狂夫(きょうふ)の在るあり  
空持労使君  空しく()して 使君(しくん)を労せしむ

 

(意訳)
洛浦の神女は風に舞う雪のようで、巫山の神女は朝の雲のようだといわれる。
傾国の美人がいるとは昔聞いたことがあるが、傾城の美人は今初めて見た。
恥ずかしそうに瞳を閉じ、赤い唇が微かな笑みを浮かべている。
錦の帯は風で巻かれ、ざくろ色の裾は陽光に照らされている。
この美人には既に夫がいるようだ。よそから来た太守が口説いても無駄骨に終わるだろう。

 

賦得古原草送別(作者:白居易)

離離原上草  離離(りり)たり 原上(げんじょう)の草
一歳一枯栄  一歳(いっさい)に ひとたび枯栄(こえい)
野火焼不尽  野火(やか) 焼けども尽きず
春風吹又生  春風(しゅんぷう)吹いて 又(しょう)
遠芳侵古道  遠芳(えんぽう) 古道(こどう)(おか)
晴翠接荒城  晴翠(せいすい) 荒城に接す
又送王孫去  また王孫(おうそん)の去るを送れば
萋萋満別情  萋萋(せいせい)として別情(べつじょう)()

 

(意訳)
生い茂る野原の草は、年に一度、枯れてはまた生える。枯れた草を燃やしてもその根は残り、春風の吹く頃にまた生えてくる。
見渡す限りの草は古道を覆い、晴れた日の青々とした草は荒れ果てた城壁まで続いている。
また旅立つ友を見送るが、生い茂る草のように別れの悲しみで胸がいっぱいになる。