アサシン レン【1】
「……任務、か」 女は手にしたメモを丸めると、マッチで火をつけた。炎がメラメラとメモを燃え上がらせる。その炎が収まった時には、女の姿は消えていた。 |
アサシン レン【2】
「潜入成功」 黒い衣装をまとった女が屋敷の屋根に姿を見せる。レン、と呼ばれていたのは遠い昔。もはや、彼女の本名を知るものはいない。 |
アサシン レン【3】
「……悪く思うなよ」 眠っている男の口に、透明の液体を含ませる。無味無臭のこの毒薬は、朝になったころには男の命を奪っているだろう。 |
アサシン レン【4】
「完了した。ああ、報酬はいつもの通りに」 レンがつぶやくと、後ろに立っていた男が頷いた。お互いの名前も知らない。ただ暗殺の任務だけが、この二人を繋いでいる。 |