医師 フローネ【1】
「今は忙しいのです。話なら後で」 ここは最前線の駐屯地。負傷兵が並んでいるテントの中で、彼女はめまぐるしく手を動かしていた。 |
医師 フローネ【2】
「部隊付き医師のフローネです。用件は?」 椅子に腰を下ろすと、仮面を外して大きく息を吐き出した。その顔は疲労が浮かんでいたが、それでも美しかった。 |
医師 フローネ【3】
「どんなに治療をしても、生き延びるのはせいぜい半分。それでも私は……」 そこまで言うと、フローネは両腕を高く上げて伸びをした。 |
医師 フローネ【4】
「勝ってこいとは言いません。生きて、歩いて戻ってね」 回復した兵士にフローネがかける言葉は、毎回同じ内容だ。そこには、彼女の祈りが籠められている。 |