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神属性/LLR/【光神】ヴィシュヌ

Last-modified: 2018-03-02 (金) 11:59:10

【光神】ヴィシュヌ【１】

「我が身が平穏ならば、世に災いもなし」
ヴｨｼｭﾇはおだやかな時間を過ごしていた。彼女は世界であり、世界は彼女である。彼女の身が平穏であるかぎり世界には平穏がつづくのだ。

「災いの気配がする」
ヴｨｼｭﾇの顔のまわりを、黄金のﾊﾁが飛び交い始めた。ぶんぶんとうるさく飛びまわっている。放っておいても不快だが、殺してしまうのも不快だ。一体どうしたものかと、ヴｨｼｭﾇは戸惑っていた。

「……去れ、災いよ」
ヴｨｼｭﾇが手のひらで蜂を追い払おうとしている間、人の世では大恐慌が起きていた。市場に出回る食物が不足し、貨幣価格は乱高下。ついには戦争目前の事態となっていた。

「善き香りだ、魂が鎮まる」
ヴｨｼｭﾇは蜂が嫌う花の咲く園へと逃げ延びた。蜂は去り、花々の芳しき香りにヴｨｼｭﾇの心が平静を取り戻す。人の世では大恐慌は治まり、敵対していた国々も平和条約を結んだ。世は全て己の心次第。できる限り、心穏やかにあろうとヴｨｼｭﾇは自らに誓うのだった。