【愛美の女神】フレイア【1】
「集いし戦士たちよ、これより選定の儀を始める」 フォールクヴァング宮殿内、セスルームニルの広間には玉座が存在している。そこには、高潔な面立ちの女神が座していた。彼女の名はフレイア、戦乙女たるヴァルキリーたちを統率する役目を与えられていた。 |
【愛美の女神】フレイア【2】
「お前たちは、人の世で戦場に生きた強き者。誰もが勇者たる資格を持っている、だが……」フレイアは、言葉を途中で濁すと、広場に立ち尽くす戦士たちを見回した。この広場にはいくつもの戦場で散っていった戦士たちの魂が集められている。彼らの顔をフレイアは丁寧に観察した。 |
【愛美の女神】フレイア【3】
「今から呼ぶ者は、この広間に残れ」 フレイアに名を呼ばれたものたちは嘆き悲しんだ。戦場で命を落とせば、大神オーディンのおわすヴァルハラ宮殿へ行けると信じて戦ってきたのだ。戦場で果てたというのにヴァルハラ宮殿へ行けないという現実に、彼らは絶望していた。 |
【愛美の女神】フレイア【4】
「選ばれしものたちよ、私のために剣をとるがいい」 フレイアが指名したのは、戦士たちの間でもえりすぐりの猛者であった。女神の声を聞いて初めて、戦士たちはその事実を悟る。彼らは一騎当千の勇者。少数なれど、フレイアに選ばれし真の精鋭だった。 |