マヒナ【1】
「綺麗な月ね。さぁ、マヒナの踊りを見て下さる?」 そこは人間達が踏み入ったことのない、遥かなる地の常夏の島。美しい海に囲まれた豊かな島は、神様の島。そこに住んでいるのは可憐なる女神、マヒナだ。月夜、島に集う数多の神々の前、マヒナは美しい踊りを披露する。 |
マヒナ【2】
「神様だって休める場所がないと。ーーこの島は、そういう場所なの」 マヒナの美しい踊りは、神々の心を安らがせる。奏でられる音楽の中、月の下、薄衣をはためかせる女神の動き一つ一つはまるで芸術品のよう。観客たちに手拍子や喝采はない。それほどまでに惹き込まれ、ただただ見惚れているからだ。 |
マヒナ【3】
「私が休める場所? それはね、この島そのものよ。綺麗な海と緑が、私の心のリゾート地なの」 名も無き常夏の島は、マヒナの心そのものと言ってもいいだろう。マヒナはこの島を愛している。そしてかの地を訪れた神々もまた、この島を愛してくれる。マヒナはそれがとても嬉しいのだ。 |
【月下の舞神】マヒナ
「いつでもお越し下さいね。ここは、みなさまの心の故郷ですから」 月が地平に沈み、そして朝日が東の空からやって来る頃、マヒナのおもてなしは幕を閉じる。それぞれの場所へ帰って行く神々、その背中を見送れば、島には静寂が訪れる。波の音に女神は瞳を細めた。今日も世界に一日がやって来る。 |