【神眼】ハニエル【1】
「失礼ですが、あなたのお名前をお聞かせいただけますか?」 天界に続く門の前に、一人の天使が立っている。彼女の名はハニエル。物腰は柔らかく言葉遣いも丁寧で、門を通ろうとするものに不思議な安心感を与える女性だった。 |
【神眼】ハニエル【2】
「かしこまりました。開門の手続きをしてまいりますので、こちらのお部屋でお待ちください」 旅人の名前を確認したあと、ハニエルは旅人を待合室に案内する。ここまでの対応で、大抵の旅人は安心してしまう。丁重な扱いゆえに、あっさりと門を通れるものだと思い込んでしまうのだ。 |
【神眼】ハニエル【3】
「お待たせいたしました。申し訳ございませんが、調査の結果、お客様が門を通る許可がこちらでは確認できませんでした」 丁寧な物言いだが、要するに「通さない」とハニエルは言っているのだ。後ろ暗い部分のあるものは、この時点で首をかしげる芝居などをしつつ、そそくさと立ち去ってしまうという。 |
【神眼】ハニエル【4】
「お調べいたしますが、時間がかかりそうですので、あちらの部屋にお移りいただけますか?」 この段階でごね続けるのは、大抵の場合、さらに後ろ暗いたくらみを持つ人々だ。そういった者へも、ハニエルは丁寧な対応を続ける。次に案内する部屋が、実は監獄だとしても。 |